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世界は2030アジェンダ達成の軌道から外れている、と副事務総長が警告 COVID-19からの復興で連帯を呼びかけ(UN News 記事・日本語訳)

2020年07月23日

ブラジル北部ボアビスタのインフォーマル都市居住区エンブラテルで、国連児童基金(UNICEF)が新設した手洗い施設を利用する女性と子どもたち© UNICEF/Yareidy Perdomo

2020年7月16日-新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の危機が発生する前からすでに、世界は2030年までに持続可能な開発目標(SDGs)を達成する軌道から外れていましたが、公共サービスへの投資を増やし、資金面での連帯を示すとともに、人々の働き方や学び方、生き方、生活や消費の仕方を「変える」ことにより、達成に向けた軌道に戻ることは可能です。

「私たちが2030アジェンダに誠実であり続ければ、状況を一変させることはできます」アミーナ・モハメッド副事務総長は、SDGs達成に向けた世界の進捗状況を把握するために毎年開かれるハイレベル政治フォーラム(HLPF)の閉幕にあたりこう語りましたが、「前途はさらに多難になった」と付け加えました。

副事務総長は8日間の議論の末、資金調達に関する連帯と先見性が必要であること、そして社会的保護や医療制度、教育、水、衛生、デジタル接続への投資増大が必要であることについて、メッセージは明らかだと述べています。

新たなアプローチ

2030アジェンダに誠実であり続けるためには、人々の働き方や学び方、生活や消費のやり方を考え直すとともに、正義と平等を求める若者の声に耳を傾ける必要もあります。また、国連を中心に据えた包摂的なネットワーク型のマルチラテラリズムにも投資しなければなりません。

「これらすべてを意識的、協調的、協力的に成し遂げれば、私たちが共有する目標である、より良い世界をつくることができます」副事務総長はこう断言しています。2030アジェンダの実施にさらに力を入れるため、あらゆる手を尽くさねばなりません。「私たちは国際社会として、この大事な時期を乗り越えなくてはならないのです」

 

行動の加速

2020年のハイレベル政治フォーラムを控え、「SDGs加速化のアクション」では、最近のわずか2カ月の間に提出されたアクションが35%、公表されたアクションが21%増加し、各国政府やその他のステークホルダーがSDGsの推進に向けて具体的に約束した野心的行動は、計182件に達しています。

フォーラムでは、47カ国が自発的国別レビュー(VNR)を発表したほか、テーマ別の分科会では、あらゆる地域を代表して首相1人と閣僚級高官31人を含む150人の登壇者がオンラインで発言しました。

 

COVID-19は「ニューノーマルを形作る」貴重な機会

「2030アジェンダが、私たちが望む未来を達成するための共有のロードマップであることに変わりはありません」2週間にわたるフォーラムを主催した経済社会理事会のモナ・ユール議長は、このように述べています。

ユール議長は、COVID-19によって「私たちが望む未来の実現」に向けた決意が揺らぐべきではないと強調したうえで、人間の福祉向上をはじめとして、前進を加速させる必要がある分野を指摘しました。議論では、女児の教育へのアクセス改善が中心的議題となりました。これによって乳児と妊産婦の死亡率が低下するからです。

議長は、包摂的な成長や農業、サステナビリティーを促進し、飢餓ゼロを達成するために、統合的なフードシステムが重要であることを明らかにしました。

ユール議長はまた、より良い復興を遂げるということは、気候変動や「恐るべき」ペースで進む生物多様性の喪失と土地劣化、森林破壊に取り組むことにより、地球を守ることでもあるとも述べています。

 

「機会に満ちた新しい世界」

ユール議長によると、数十億人に「機会に満ちた新しい世界」を提供するためには、手ごろな価格で信頼できる持続可能な近代的エネルギーへのアクセスを確保することが欠かせません。

都市開発の分野に関し、議長は、グローバルな意図を地域での行動へと変えるうえで、地方自治体が果たす不可欠な役割も重視しました。「私たちの議論ではいずれも、COVID-19がニューノーマル(新常態)を方向づける貴重な機会であることが強調されました」ユール議長はこう語っています。

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原文(English)はこちらをご覧ください。

 

COVID-19 RESPONSE