国連アカデミック・インパクト参加大学に聞く:九州大学編③
2013年05月10日
九州大学で経営を学ぶ大学3年生の佐藤暁浩さんは、SBRCを拠点に活動するユヌス・ソーシャル・ビジネス・クラブ(YSBC)のリーダーです。2012年1月に発足したこのクラブには、九州大学のみならず、近隣の北九州市立大学、九州工業大学、九州産業大学などからも学生が参加しており、現在約15名で活動しています。
YSBC では「若者のパワーで日本にソーシャル・ビジネスのハブを築く」という目標を掲げ、ソーシャル・ビジネスの活用を通して既存の社会・経済システムにとらわれない革新的なアイデアや人材を輩出することを目指しています。さらに、ソーシャル・ビジネスに携わる学生などの若者の全国ネットワークづくりも行っています。
佐藤さんによるとYSBC活動の段階には以下の3つがあるそうです。まず第一に、より多くの学生たちにYSBCの活動と社会的な課題解決の方法としてソーシャル・ビジネスがあることを知ってもらう。次に、毎年SBRCが実施するバングラデシュへのソーシャル・ビジネス・スタディーツアーにおける現地学生との交流企画や、現地でソーシャル・ビジネスを行っているグラミン企業へのインターン企画などを行い、実施する。そして、将来のキャリアとして、そのような若い学生たちがソーシャル・ビジネスを何らかの方法で興していけるように後押しをする。「ソーシャル・ビジネスに関わってみると、自然と自分の将来のキャリアについても今まで以上に真剣に考えるようになりました」と佐藤さんは話してくれました。
昨年度のYSBCの主な活動に、「ソーシャル・ビジネス・デザイン・コンテスト」というムハメド・ユヌス氏を審査員に迎えた全国学生向けコンテストの主催がありました。コンテストに向けて、YSBCは全8回の事前ワークショップを開催し、コンテストへの応募チームがソーシャル・ビジネス・プランを立案できるよう支援しました。優勝チームは、その数カ月後にオーストリアのウィーンで開催された「グローバル・ソーシャル・ビジネス・サミット(GSBS)」への出場権を手にする、というものです。佐藤さんも、このウィーン会議にYSBC代表として参加しました。
YSBCに参加する学生の中には、国連を将来の仕事場として考えている人も少なくないそうです。ただ、国連アカデミック・インパクト(UNAI)については、九州大学が参加しているとは言ってもまだまだ「未知の世界」に留まっていると佐藤さんは言います。「私たちのクラブが目指しているのは、ソーシャル・ビジネスを通して貧困撲滅など社会に変化をもたらすことです。つまり、国連ミレニアム開発目標(MDGs)と目指しているところは同じなのです。今後UNAIともいろんな形で連携し、同じ目標達成のために活動できることを望んでいます」
前述のウィーン会議に参加し、様々な価値観や文化的・社会的な背景の違いを超えて世界の若者たちとつながることの大切さを痛感した佐藤さん。今後の社会を変えていく力は若者の創造力にある。世界に良い変化をもたらそうとする佐藤さんのような若者から発信される新しいアイデアや取り組みに注目していきたいと思いました。
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