アフリカで事業を行っている日本企業 シリーズ②:サラヤ株式会社
2013年06月20日
サラヤ株式会社:
現地産のサトウキビ廃糖蜜を原料としたアルコール手指消毒剤で、感染症の予防
◆会社概要
1952年、サラヤは戦後間もない日本で赤痢などの伝染病が多発する中、石けん液と石けん液容器を日本で初めて開発・事業化した。石けんや洗剤、消毒剤などを製造販売し、代表的な製品に自然派洗剤「ヤシノミ洗剤」や薬用石けん液「シャボネット」がある。2010年にはウガンダで展開されているユニセフの “National Hand Washing Campaign” を支援するため、「SARAYA 100万人の手洗いプロジェクト」を開始した。
◆パートナー企業
国際協力機構(JICA)、三菱UFJリサーチ&コンサルティング
◆プロジェクト期間
2012年から2013年末まで
◆プロジェクト地域
ウガンダ
◆プロジェクト
サラヤ株式会社は2012年から、アフリカ東部のウガンダで JICA のBOP(Base of the Pyramid)ビジネス連携促進協力準備調査制度を利用し、ウイルス性感染症の予防に効く「アルコール手指消毒剤」を生産・販売する計画を進行中。同年2月から事業化の可能性調査(FS)に乗り出した。
同社は現地法人サラヤイーストアフリカを立ち上げ、ウガンダをはじめアフリカの人々にはまだ一般的でないアルコール手指消毒剤を普及させることによって、医療関連感染症の予防に取り組んでいる。ウガンダでは、アルコール手指消毒剤を使っているのは一部の大病院のみであり、その他の多くの病院においては助産師や医師は新生児でさえ“無消毒の手”で取り上げるケースが残っていると報告されている。こうした医療行為は医療関連感染症を蔓延させる原因となっており、WHO もアルコール手指消毒剤の使用量が増えれば増えるほど、医療関連感染症の罹患率は下がるとしている。サラヤは JICA との連携による調査を通し、ウガンダにある2つの病院で教育啓発活動を行い、その成果をモニタリング。アルコール手指消毒剤が現地で受け入れられるのか、どの位の量の消毒剤が病院に必要なのかなどを確認している。
ウガンダはサトウキビの生産が盛んな国。日本で売られている速乾性手指消毒剤「ウィル・ステラ V」(第3類医薬品)と同じ組成のアルコール手指消毒剤を、ウガンダ産のサトウキビ廃糖蜜を使って作るという BOP ビジネスを計画している。砂糖を精製する過程で発生する廃糖蜜をもとにしたアルコールを使って消毒剤を現地生産し、現地の公立病院に売るというものである。原価が抑えられる上に、現地製造により雇用創出にも繋がることが期待されている。
◆効果
感染症予防、衛生意識の向上、現地における雇用創出、産業振興
◆今後の展望
ウガンダには、同国政府が音頭をとる “National Hand Washing Campaign” がある。これはウガンダ国民に対し、石けんを使って手を洗おうという意識を啓発するもの。サラヤはこのキャンペーンと並行して、医療関係者にアルコール手指消毒剤の使用を呼びかけていきたい考えだ。
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【参考資料】
◆SARAYA 100万人の手洗いプロジェクト outline