アフリカで事業を行っている日本企業 シリーズ③:住友化学株式会社
2013年06月20日
住友化学株式会社:
長期残効型防虫蚊帳「オリセット®ネット」
◆会社概要
住友化学は、基礎化学、石油化学、情報電子化学、健康・農業関連事業、医薬品の5分野で事業を展開する総合化学メーカーである。1913年の創業以来、自社の利益のみを追わず、事業を通じて社会に貢献するという理念の下、人々の暮らしや産業を支える製品や技術を広く社会に提供している。
◆プロジェクト地域
アフリカ
◆プロジェクト
世界三大感染症の一つであるマラリアを媒介する蚊から身を守り、安心した生活環境を実現することを目的に「オリセット®ネット」は開発された。
もともとは工場の虫除け用の網戸として使われていた「コントロール・リリース」と呼ばれる技術を蚊帳に応用した。時間の経過や洗濯等により表面の防虫剤が落ちても、プラスチックに練り込んだ防虫剤が中から徐々に染み出し、防虫効果が5年以上持続する。2001年には世界保健機関(WHO)から世界で初めて長期残効型蚊帳として認められた。さらに、暑いアフリカでも使いやすいよう、網目の形状を工夫し、通気性を高めた。
住友化学はタンザニアの A to Z 社に製造技術を無償供与し、2003年に現地アルーシャにて生産を開始した。さらに、その企業と合弁会社を設立し、大幅な増産を実現。当初、年間40万張だった生産能力は、現在、約3千万張になり、最大で約7,000人の雇用が生まれている。
◆効果
マラリア感染率の減少、雇用創出
◆今後の展望
「オリセット®ネット」はシリーズ展開も進んでおり、2011年にはケニアで一般消費者向けの「オリセット®クラシック」が販売された。商品の流通は主に現地代理店の販売網で行われ、スーパーマーケットのように身近な場所で売られている。また、ピレスロイド系薬剤に抵抗性を持つ蚊に対応するため「オリセット®プラス」を開発し、2012年に WHO から長期残効型蚊帳として認められた。現在は、次世代の抵抗性対策蚊帳として「オリセット®デュオ」を開発中だ。
「マラリア撲滅」は、国連のミレニアム開発目標にも含まれる世界的課題であり、オリセット®シリーズの展開はこの目標へのさらなる貢献という意味でも期待できる。
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【参考資料】