シリア危機と国連の対応 【ウィークリー・アップデート第6号 8/28付資料】
2013年08月29日
国連広報局(DPI)は、シリア危機への国連の様々な対応をまとめた資料を週に一度発表しています。以下はその日本語訳です。
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ウィークリー・アップデート
国連広報局(DPI)第6号/2013年8月28日
ダマスカス郊外で民間人を化学兵器で攻撃したとして、シリアに対する武力行使への動きが強まる中、潘基文(パン・ギムン)事務総長は8月28日、現地視察中の国連調査チームに事実関係確認の時間を与えるよう求めました。8月21日、化学兵器の使用で数百人の死者が出た可能性があることが報道されると、全世界の反発と非難は一斉に強まり、事務総長やナビ・ピレイ人権高等弁務官などは、直ちに事実関係の調査を求めました。また、バッシャール・アル=アサド政権に異を唱える国々の政府からは、シリアに対する制裁を求める声も上がりました。事務総長は8月22日、オーケ・セルストレム教授率いる「シリア紛争における化学兵器使用の疑いに関する国連調査ミッション」に対し、この事件について迅速に調査するよう要請しました。調査チームは8月26日、第1の事件現場を訪れたほか、8月28日には着弾場所を含むダマスカス郊外の数カ所を調査し、追加的な情報とサンプルを収集しました。8月28日、潘事務総長はハーグの平和宮竣工100周年記念式典でのあいさつで、シリアからの画像は「私たちが21世紀に入って見たどの光景とも異なり」、化学戦争の脅威をひしひしと感じさせるものだと述べました。すでに以前の演説で、化学兵器を使用すれば「人道に対する罪」にあたるとの指摘を行っていた事務総長は、「誰がどのような理由で、またどのような状況で行おうとも、化学兵器の使用は国際法に違反する残虐行為」であることを改めて強調しました。そして、国連調査チームは「貴重なサンプル」を収集し、「犠牲者や証人からも聞き取り調査をしていますが、その作業の完了には時間が必要」だと語りました。事務総長はすべての当事者に対し、「平和にチャンスを、外交にチャンスを、戦闘の代わりに話し合いを」と呼びかけ、国連安全保障理事会に再び、一致団結して平和のためにその権限を用いるよう強く促しました。
-式典における事務総長の発言は以下をご覧ください。http://www.un.org/sg/statements/index.asp?nid=7044
8月28日、ラクダール・ブラヒミ共同特別代表はジュネーブで記者会見に臨み、8月21日にダマスカス郊外で発生した事件により、シリアに関するジュネーブⅡ会議の成功に向けた条件の整備は、さらに急務になったと語りました。特別代表は質問に答え、国際法の下では、国連安全保障理事会による決定がない限り、軍事行動を起こしてはならないとの見解を明らかにしました。特別代表は、何らかの物質が使われ、多くの人々が殺されたことを認めたうえで、これは許し難い蛮行であり、シリア情勢の危険度の高さを物語っていると述べました。
-ブラヒミ共同特別代表の記者会見の模様は以下をご覧ください。http://www.un.org/sg/offthecuff/index.asp?nid=2953
8月22日、アダマ・ディエン(ジェノサイドの予防担当)、ジェニファー・ウェルシュ(保護の責任担当)の両特別顧問は、8月21日にダマスカス郊外で数百人の民間人が殺害されたとの報道を受けて、非難の意を示し、次のように付け加えました。「武力紛争における化学兵器の使用は、攻撃の標的や犠牲者が誰であるかに関係なく、国際法の重大な違反であり、戦争犯罪に当たります。その恐ろしい無差別的な影響を考えれば、政府であれ、反体制派の武装集団であれ、化学兵器の使用を軍事的に正当化できる理由はどこにもありません」
-特別顧問による共同声明は以下をご覧ください。http://www.un.org/en/preventgenocide/adviser/pdf/Syria23August2013.pdf
8月23日、アンソニー・レイク国連児童基金(UNICEF)事務局長とアントニオ・グテーレス国連難民高等弁務官(UNHCR)は共同声明を発表し、すでに3年目に入ったシリアの内戦により、故郷を逃れることを強いられ、難民となったシリアの子どもたちが100万人に達したことを明らかにしました。
-レイクUNICEF事務局長とグテーレス難民高等弁務官の共同声明は以下をご覧ください。
http://www.unicef.org/media/media_70225.html
http://www.unhcr.org/521621999.html
主な国連ニュース記事
イラクに逃れたシリア難民向け救援物資をエルビルに空輸
エルビル、イラク – 世界食糧計画(WFP)と国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)の緊急援助物資を積んだチャーター便がエルビルに到着しました。この援助物資は、シリアでの暴力を避け、イラク北部に逃れたシリア難民の差し迫った人道ニーズの充足を目的に提供されたものです。
瀬戸際のシリア情勢を受け、国連機関は近隣諸国に国境の開放継続を要求
2013年8月27日 – 救援を担当する国連諸機関のトップらはきょう、約200万人の難民を受け入れているシリア近隣諸国の好意を歓迎するとともに、これら諸国に対し、長引く紛争から逃れるシリア人の数が増大する中で、国境の開放を続けるよう訴えました。http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=45717&Cr=syria&Cr1=
UNHCRのアンジェリーナ・ジョリー特使、シリアの子ども難民が100万人に達したことを受け、声明を発表
アンジェリーナ・ジョリーUNHCR特使は8月23日、シリアの子どもたちが置かれた境遇を嫌悪すると述べるとともに、国際社会はシリアから目を背けてはならず、一層の切迫感と決意をもって平和の模索に努めなければならないと語りました。
http://www.unhcr.org/521848679.html
国連の事務局、機関、基金および計画へのリンク
国連広報局(DPI)シリア特集ページ
http://www.un.org/apps/news/infocusRel.asp?infocusID=146&Body=Syria&Body1=
国連児童基金(UNICEF)
http://www.unicef.org/media/index.html
世界食糧計画(WFP)
http://www.wfp.org/countries/syria
人道問題調整事務所(OCHA)
http://www.unocha.org/crisis/syria
世界保健機関(WHO)
http://www.who.int/countries/syr/en/
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
http://www.unhcr.org/pages/4f86c2426.html
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)
http://www.ohchr.org/en/NewsEvents/Pages/NewsSearch.aspx?CID=SY
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
http://www.unrwa.org/
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