シリア危機と国連の対応 【ウィークリー・アップデート第7号 9/4付資料】
2013年09月07日
国連広報局(DPI)は、シリア危機への国連の様々な対応をまとめた資料を週に一度発表しています。以下はその日本語訳です。
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ウィークリー・アップデート
国連広報局(DPI)第7号/2013年9月4日
8月31日、国連調査チームは化学兵器の使用があったとされるダマスカス郊外グータでのサンプル収集を終えてシリアを出国し、ハーグに到着しました。潘基文(パン・ギムン)事務総長は9月3日、G20サミットへの出発を前に記者会見を開き、オーケ・セルストレム教授率いる国連調査ミッションが「シリアからの帰国後、収集した資料を分析用に整理する作業に24時間体制で」取り組んでいるとして、9月4日までには「すべての生体・環境サンプルが指定の分析施設に到着するはずだ」と述べました。分析結果は加盟国と共有されることになります。「誰がどのような理由で、またどのような状況で行おうとも、化学兵器の使用が確認されれば、それは重大な国際法違反と残虐な戦争犯罪にあたります」事務総長はこのように語るとともに、安全保障理事会(安保理)に対し再度、化学兵器使用の疑いに正当性があることが判明した場合、団結して適切な対応を図るよう強く促しました。「安保理はこう着状態を脱し、リーダーシップを示す義務があります」事務総長は、紛争のこれ以上の軍事化を避け、政治的解決の模索を再び活性化させるよう改めて呼びかけるとともに、世界は「いかなる制裁措置が講じられた場合も、さらなる流血を防ぎ、紛争の政治的解決を促すための取り組みにどのような影響が及ぶか」を考慮しなければならないと警告しました。
予想されていたとおり、この1週間は「シリア紛争における化学兵器使用の疑いに関する国連調査ミッション」の活動がニュースのトップを飾るとともに、国連や多くの国々の政府による外交活動の中心となりました。調査チームは当初、すでに化学兵器の使用があったとされていた3カ所の現場を調査する予定でしたが、事務総長から、8月21日にグータで起きた事件についてまず調査するよう要請を受けました。調査チームはシリア出国に先立ち、カーン・アルアッサルを含め、残る化学兵器使用の疑いについて調査するため、再び入国することをシリア当局に約束しました。
-事務総長による記者会見の詳細は以下をご覧ください。
http://www.un.org/sg/offthecuff/index.asp?nid=2967
9月3日、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は2011年3月の内戦勃発後に国外への避難を強いられたシリア人の数が同日中に200万人を超えたことを明らかにし、難民の流出が収まる気配は見られないと述べました。この12カ月で難民の数は180万人近く増加したことになります。去年のこの日、UNHCRは、難民として登録されたか、登録申請中のシリア人の数を23万670人としていました。また、国連人道問題調整事務所(OCHA)のデータによると、シリアの国内避難民の数も425万人に達しています。
-UNHCRによる発表の詳細は以下をご覧ください。
http://www.unhcr.org/522495669.html
9月1日、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は同機関がシリア国内のパレスチナ難民向けに運営する学校の半数以上が、校舎の破損または全般的な治安悪化により閉校を余儀なくされたと述べました。これにより、約4万5,000人の子どもたちに影響が及んでいます。シリア国内でUNRWAが運営する118校のうち、2013-2014年度の授業が開始できるのは、わずか49校となっています。
-UNRWAによる発表の詳細は以下をご覧ください。
http://www.unrwa.org/etemplate.php?id=1862
9月1日、国連児童基金(UNICEF)はイラクに逃れたシリア難民の子どもと家族を支援するため、100トンの緊急支援物資をクルド地域のエルビルに空輸しました。この物資は、イラクのシリア難民のニーズが高まっていることを受け、デンマークのコペンハーゲンにあるUNICEFグローバル支援物資倉庫から緊急に空輸されたものです。UNICEFによると、最近の2週間半の間にイラクに流入したシリア難民は約5万人に上りますが、その半数を占めるのは子どもです。
-UNICEFによる発表の詳細は以下をご覧ください。
http://www.unicef.org/media/media_70289.html
主な国連ニュース記事
シリア:化学兵器使用が疑われる現場で収集されたサンプルは「数時間内」に分析施設へ
2013年9月2日 – 潘基文(パン・ギムン)事務総長の報道官によると、国連化学兵器調査チームがシリアで収集したサンプルは現在、ハーグから分析施設に向かっています。
http://www.un.org/apps/news/story.asp?NewsID=45754&Cr=Syria&Cr1=
シリア:避難経路の危険性が高まる中でも、難民の流入は増加の一途
ザータリ難民キャンプ、ヨルダン、9月3日(UNHCR) – 内戦勃発前、ハミドさん一家はシリア西部ホムスの郊外に住んでいました。家族の最大の関心事といえば、飼っているヒツジやヤギと、先祖代々受け継がれてきた土地でした。政治を語る暇などなく、争いは避ける日々が続いていました。
http://www.unhcr.org/5225b01a6.html
シリアの子どもたちには今こそ助けが必要、とUNICEF高官
ニューヨーク、2013年8月30日 – シリア紛争が激化の一途をたどる中で、UNICEFの緊急援助専門家、アブドゥルカディル・ムーセ氏は、地球上で最も危険な場所の一つに戻ろうと準備を進めています。(ビデオリポートを含む)
http://www.unicef.org/infobycountry/syria_70268.html
シリアを逃れたパレスチナ難民家族、南の島からスウェーデンでの新生活へ
ニューデリー、インド、8月30日(UNHCR) – エジプト、リビア、そしてドバイを転々とした末、モルジブへの避難を余儀なくされていたシリア難民の家族が、UNHCRの支援によってスウェーデンに居を定め、新生活をスタートさせました。
http://www.unhcr.org/5220863d9.html
国連の事務局、機関、基金および計画へのリンク
国連広報局(DPI)シリア特集ページ
http://www.un.org/apps/news/infocusRel.asp?infocusID=146&Body=Syria&Body1=
国連児童基金(UNICEF)
http://www.unicef.org/media/index.html
世界食糧計画(WFP)
http://www.wfp.org/countries/syria
人道問題調整事務所(OCHA)
http://www.unocha.org/crisis/syria
世界保健機関(WHO)
http://www.who.int/countries/syr/en/
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
http://www.unhcr.org/pages/4f86c2426.html
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)
http://www.ohchr.org/en/NewsEvents/Pages/NewsSearch.aspx?CID=SY
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
ソーシャルメディア:
Twitter: https://twitter.com/UN
Flickr: http://www.flickr.com/photos/un_photo/
YouTube: http://www.youtube.com/unitednations
Tumblr: http://united-nations.tumblr.com/
フォトギャラリー:
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
http://www.unhcr.org/pages/49c3646c25d.html
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
http://www.unrwa.org/photogallery.php
人道問題調整事務所(OCHA)
http://www.unocha.org/media-resources/photo-gallery
国連児童基金(UNICEF)
http://www.unicef.org/photography/photo_2013.php#UNI82253
統合地域情報ネットワーク(IRIN)
http://www.irinnews.org/photo/
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