ヘイトスピーチを理解する:ヘイトスピーチ VS 言論の自由
2023年06月16日
ヘイトスピーチと言論の自由
憎悪に満ちた表現、とりわけオンラインでの表現を規制する取り組みに対抗して、しばしば国や民間企業による検閲から表現の自由を守る必要性が引き合いに出されます。
実際、意見と表現の自由は人権の礎であり、自由で民主的な社会を支える柱です。これらの自由が、平和的に集会する権利、公共問題に参加する権利、宗教の自由といったその他の基本的権利を支えています。ソーシャルメディアを含むデジタル・メディアが、情報や知識を求め、受け取り、伝達する権利を強化してきたことは否定できません。したがって、自由な表現を規制する立法上の取り組みは、当然ながら、ヘイトスピーチに歯止めをかける試みによって異議や反対意見が封じられるのではないかという懸念を引き起こすのです。
ヘイトスピーチに対抗するため、国連は、より建設的なスピーチを支援し、表現の自由を尊重することを規範として掲げています。したがって、いかなる規制も例外的なものであり、害を防ぐよう努力し、すべての人の平等と社会参加を確保するものでなければなりません。関連する国際人権法の規定と並び、国連ラバト行動計画は、表現の自由と、刑法上禁止されている(差別、敵意、暴力の)「扇動」との違いに関する重要なガイダンスを各国政府に提供しています。言論の禁止が正当化されるほど有害である可能性が高いと判断するには、いまだに多くの議論があります。しかし各国政府は、教育やヘイトへの対抗メッセージの促進といった代替手段を通じて、オンラインおよびオフラインでのあらゆる種類の憎悪に満ちた表現に対処することもできます。
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「ヘイトスピーチに対処することは、言論の自由を制限または禁止することを意味するのではありません。それは、ヘイトスピーチがより危険なもの、特に国際法が禁じる差別、敵意、暴力の扇動へとエスカレートしないようにするということを意味します」
- アントニオ・グテーレス国連事務総長(2019年5月)
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原文(English)はこちらをご覧ください。