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COP28、化石燃料からの「脱却」を呼びかけて閉幕:「段階的廃止は不可避」とグテーレス事務総長(UN News 記事・日本語訳)

2023年12月26日

アラブ首長国連邦(UAE)・ドバイのエキスポ・シティで開催された国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)の閉会式で壇上に並ぶスルタン・アル・ジャーベルCOP28議長(中央)、サイモン・スティル国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局長(左から4人目)ら © COP28/Christopher Pike

2023年12月13日 — 各国は本日、ドバイで開催された国連気候変動枠組条約第28回締約国会議(COP28)で、COPとしては初めて「化石燃料からの脱却」に向けたロードマップを承認しました。しかし、長く求められてきた石油、石炭、ガスの「段階的廃止」を合意に盛り込むまでには至りませんでした。

成果文書の採択を受けて、アントニオ・グテーレス国連事務総長は、世界の気候変動の主要因(化石燃料)についての言及が、この問題についての議論が何年も妨げられた後にようやくなされたと指摘しました。

また、化石燃料の時代を、公正かつ公平な形で終わらせなければならないと強調しました。

「COP28の合意文書に化石燃料の段階的廃止を明記することに反対した方々に対して、化石燃料の段階的廃止は、好むと好まざるとにかかわらず、不可避であると言いたい。手遅れにならないことを願おう」グテーレス事務総長は、このように付け加えました。

国連の年次の気候会議であるCOP28は、アラブ首長国連邦(UAE)最大の都市ドバイで、11月30日から開催されていました。

COP28は12月12日に閉幕予定でしたが、地球温暖化につながる石油、ガス、石炭などの化石燃料の「段階的削減(phase down)」または「段階的廃止(phase out)」を成果文書に盛り込むか否かについて、夜を徹して厳しい交渉が行われ、会議は延長されました。

この争点が主な障害となったことで、この2週間の大半において、活動家や気候変動に脆弱な国々と、一部の大国との間で対立が生じていました。

「科学は明白」

グテーレス事務総長はその声明の中で、2015年の画期的なパリ協定で設定された主な目標の一つである、世界の気温上昇を1.5℃に抑えることは、「すべての化石燃料の段階的廃止なくしては不可能である」と述べました。このことを認める国々の連帯は多様であり、拡大しています。

COP28の交渉担当者たちは、2030年までに再生可能エネルギー容量を3倍、エネルギー効率を2倍にする約束についても合意し、適応と資金に関しても進展が見られました。

それ以外に適応と資金についての進展もありました。資金拠出のコミットメントは非常に限定的ではあるものの、「損失と損害基金の運用が開始されたことも含まれます。

しかし事務総長は、危機の最前線にいる人々のために気候正義を実現するには、さらに多くの取り組みが必要だと強調しました。

「多くの脆弱な国々は負債に溺れており、さらに海面上昇のために溺れるリスクにさらされています。適応、損失と損害、国際金融アーキテクチャの改革を含め、今こそ資金を急増させる時です」

また、世界は「遅延、優柔不断、中途半端な対策」をとる余裕はないと述べ、「マルチラテラリズム(多国間主義)が依然として人類の最善の希望である」と述べました。

「気候危機の規模に見合った、現実的で実用的、かつ意味のある気候変動の解決策を中心に団結することが不可欠です」

「ゴールラインではなく、ライフラインだ」

国連気候変動枠組条約(UNFCCC)事務局のサイモン・スティル事務局長は、COP28は「真の前進」を遂げたものの、ドバイで発表されたイニシアティブは「気候行動のライフライン(生命線)であり、ゴールラインではない」と述べました。

スティル事務局長は、各国が自国の気候計画をパリ協定と整合するための手助けとなることを目的とした「グローバル・ストックテイクにより、進展が十分な速さではないことが明らかになったものの、ペースが上がっていることに「疑いの余地はない」と指摘しました。

それでも、現在のままでは世界の気温上昇が3℃近くにまで達して「人類に甚大な苦しみ」をもたらすことになるため、COP28で「一層の変化を起こす必要があった」と事務局長は語りました。

事務局長はメインホールの外で記者団に向けて、COP28では、人類にとって核心的な気候問題である「化石燃料と、それによる地球を燃やす汚染」に急ブレーキをかけるよう合図を送る必要があったと述べました。

「ここドバイでは、化石燃料を完全に過去のものにすることはできませんでしたが、終わりの始まりであることは明らかです」

「今回の合意は、まだ野心を持った段階であり、ここが天井ではありません。そのため、今後の数年間がきわめて重要であり、野心と気候行動を強化し続けなければならない」締約国会議(COP)のプロセスを推進する枠組みである気候変動枠組み条約(UNFCCC)のスティル事務局長は、このように述べました。

以下は、COP28のその他のハイライトと、今後の動向のスナップショットです。

COP28の結果

  1. 気候変動に対して脆弱な開発途上国を支援するための「損失と損害基金」がCOP初日に発足。各国は同基金に対し、これまでに数億ドルの拠出を誓約。
  2. 緑の気候基金の資金を補充するために、35億ドル相当をコミット。
  3. 後発開発途上国基金(LDC)および特別気候変動基金(SCCF)に対し、新たに総額1億5,000万ドル超の拠出を発表
  4. 世界銀行による気候関連プロジェクトへの融資を、年間90億ドル増額(2024年・2025年)。
  5. およそ120カ国が、深刻化する気候変動による影響から人々の健康を守るための行動を加速させるため、「気候および保健に関するCOP28 UAE宣言」を支持。
  6. 130カ国超が、気候変動と闘いながら食料安全保障を支援するため、「農業、食料および気候に関するCOP28 UAE宣言」に署名。
  7. 66カ国が、冷房関連の排出量を現在よりも68%削減する「世界冷房誓約」に賛同。

今後の動向

  • 国別の気候行動計画である「自国が決定する貢献(NDC)」の次回の提出期限は2025年で、各国は、自国の行動とコミットメントを十分に引き上げることが期待されています。
     
  • アルメニアの招致辞退を受け、アゼルバイジャンが東欧諸国の支持を得て、COP29(来年11月11日~22日)の正式な開催国として発表されました。
     
  • ブラジルが、2025年にアマゾンでCOP30を開催することを提案しました。

さまざまな反応

閉会式では何度も拍手が湧き起こりましたが、すべての代表団が気候関連交渉の結果に満足したわけではありません。市民社会の代表や気候活動家、小島嶼開発途上国の代表団は、明らかに今回の結果への落胆を示していました。

サモア代表で小島嶼国連合(AOSIS)の首席交渉官を務めたアン・ラスムッセン氏は、同グループがまだ成果文書への対応を調整中で本会議場にいなかった間に、決定が下されてしまったと指摘しました。

ラスムッセン氏は、自身が代表を務める代表団は、「このプロセスが私たちを見捨てたというメッセージとともに、自国の島々に戻るわけにはいかない」と嘆きました。

グローバル・ストックテイク(GST)プロセスの重要性を強調しつつ、ラスムッセン氏は、「今回の初のGSTは特に重要だ。それは、今なお地球温暖化を1.5℃に抑えられるようにする上で、重要な唯一のGSTである」と述べました。

しかし、ラスムッセン氏は、成果文書に「軌道修正」が盛り込まれなかったことを嘆き、「私たちが本当に必要としていたのは、行動と支援を飛躍的に変革することだったにもかかわらず、これまでと同じやり方よりもわずかに進展するにとどまった」ことに失望をあらわにしました。

©UNFCCC/Kiara Worth

最終文書の発表直後、気候行動ネットワーク・インターナショナルのグローバル政治戦略責任者であるハルジート・シン氏は、UN News に対して次のように述べました。「何十年にもわたる言い逃れの末に、COP28はついに気候危機の真犯人である化石燃料に眩しいほどのスポットライトを当てました。石炭、石油、ガスからの脱却という、長年の懸案だった方向性が定まったのです」

しかし、成果文書は、「実証されていない不確かなテクノロジーに依存する数多くの逃げ道を化石燃料産業に与える、抜け穴によって損なわれました」。

シン氏はまた、「グリーン移行についてお世辞を述べつつ、化石燃料事業を大規模に拡大し続けている(中略)裕福な国々の偽善」とみられる事項についても指摘しました。

シン氏は、未だに化石燃料に依存している開発途上国は、「再生可能エネルギーへの緊急かつ公平な移行」に向けた十分な資金援助について、確固たる保証が得られないまま放置されていると述べました。

「今回のCOPでは、気候変動による影響に対処する上での大幅な資金不足が認識された一方で、最終的な成果として、裕福な国々に資金面での責任を果たしてもらうまでには残念ながら至らなかった」シン氏は、このように付け加えました。

詳しくは、イベント特設サイトをご覧ください。記事、動画、解説、ニュースレターなど、COP28に関するあらゆる報道をご覧いただけます。

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原文(English)はこちらをご覧ください。