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ジェノサイド条約とは?

2024年01月23日

1994年にルワンダで起こったツチ人に対するジェノサイドを追悼する2019年の式典(資料画像)©UN Photo/Violaine Martin

2024111 南アフリカは、230万人のパレスチナ人が暮らすガザ地区が砲撃・包囲されている現状について、イスラエルがジェノサイド条約に違反しているとして提訴する手続きを開始しました。

オランダのハーグに本部を置く国連の司法機関の一つである国際司法裁判所(ICJに南アフリカが2023年12月29日に提訴した主張には、特に同107以降、イスラエルが「ジェノサイドを防止してこなかったこと、また、ジェノサイドの直接かつ公然の扇動を訴追してこなかったこと」が指摘されています。

では、ジェノサイド条約とは何でしょうか。

基礎知識

1948年の「集団殺害罪の防止および処罰に関する条約」は、国連総会で採択された最初の人権条約です。ナチス・ドイツが600万を超えるユダヤ人を組織的に殺害したホロコーストを契機として、第二次世界大戦後に結ばれました。

「ジェノサイド条約」として知られるこの条約は、ジェノサイドという残虐行為を二度と繰り返さないという国際社会の決意を表しています。しかしながら、1994年のルワンダ1995年のスレブレニツァにおいてなど、他の事例も発生しています。

19条から成るジェノサイド条約は、「ジェノサイド」という用語に、初めて国際法上の定義を与えています。また、同条約を批准、また同条約に加入した153の締約国が、ジェノサイドの犯罪を防止して処罰する義務を負うことも規定しています(41の国連加盟国が条約を批准または同条約に加入しておらず、うち18カ国がアフリカ、17カ国がアジア、6カ国が米州)。

コンゴ民主共和国・ゴマにあるンドシャ・キャンプで休息する、両親を亡くしたルワンダの子どもたち。1994年7月25日撮影(資料画像)© UN Photo/John Isaac

「ジェノサイド」の意味は?

ジェノサイド条約の第2条によると、ジェノサイドとは、国民的、人種的、民族的または宗教的集団の全部または一部を破壊する意図をもって行われた、次の行為のいずれをも意味します。

(a)集団構成員を殺すこと。

(b)集団構成員に対して重大な肉体的または精神的な危害を加えること。

(c)全部または一部に肉体の破壊をもたらすために意図された生活条件を集団に対して故意に課すること。

(d)集団内における子どもの出生を防止することを意図した措置を課すること。

(e)集団の子どもを他の集団に強制的に移すこと。

男性や男児が収容されていた倉庫から回収された物品。旧ユーゴスラビア国際刑事裁判所での裁判で証拠として使用された(資料画像)© ICTY/Isabella Tan Hui Huang

処罰の対象となる行為とは?

条約の第3条に基づき、以下の行為が処罰の対象となります。

(a)集団殺害

(b)集団殺害を犯すための共同謀議

(c)集団殺害を犯すことの直接かつ公然の教唆

(d)集団殺害の未遂

(e)集団殺害への共犯

ジェノサイドに対する訴追を免除される人はいるのか?

いません。

誰もジェノサイドの罪を免れることはありません。ジェノサイド条約の下では、ジェノサイドまたは第3条に列挙されているその他の行為のいずれかを犯した者は、憲法上の君主であれ、公務員であれ、私人であれ、処罰の対象となります。

南アフリカの共同代理人であるヴシムジ・マドンセラ氏、国際司法裁判所(ICJ)にて © ICJ-CIJ/ Frank van Beek

裁判が行われる場所は?

上述のような行為について告発された者は、行為が行われた地域の属する国の権限ある裁判所で審理されます。

また、国際刑事裁判所の管轄権を受諾している締約国に対する管轄権を有する国際刑事裁判所で審理されることもあります。

これには国際司法裁判所(ICJも含まれます。

ハーグで南アフリカ対イスラエルの訴訟を審理する国際司法裁判所 © ICJ-CIJ/ Frank van Beek

国際司法裁判所(ICJ)の役割とは?

国際司法裁判所(ICJ)は、国家間の紛争を扱います。南アフリカがイスラエルを相手取った訴訟は、ジェノサイド条約違反に関する申し立てです。

ジェノサイド、またはジェノサイド条約の第3条に列挙されているその他の行為のいずれかに対する国の責任に関するいかなる裁判も、ICJに付託することができます。

ICJの詳細については、こちらの解説をご覧ください。

ガザ地区では、空爆が続く中で子どもたちが食料の支給を待っている © UNDP PAPP/Abed Zagout

ジェノサイドの犠牲者を追悼する国際デー

毎年12月9日、ジェノサイド予防および保護する責任に関する事務所は、ジェノサイド条約の採択を記念しています。同条約の採択は、世界人権宣言が採択された日の前日にあたり、きわめて重要な世界の決意を表しています。

この日は、「ジェノサイド犠牲者の尊厳を想起しその犯罪防止を考える国際デーとして知られるようになりました。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、「この条約とその不朽のメッセージが、私たちの世界において生きた原動力としてあり続ける」必要性を強調しています。同条約を「この条約から生まれた厳粛な約束を果たすよう私たちに動機づけをしてくれる力」とすべきであり、加害者が責任を問われるようにしなければならないと述べています。

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原文(English)はこちらをご覧ください。

【関連記事】国際司法裁判所(ICJ)とは? その重要性とは?(UN News 記事・日本語訳)