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国連総会、人工知能(AI)に関する画期的な決議を採択(UN News 記事・日本語訳)

2024年04月12日

国連総会議場© UN Photo/Loey Felipe(file)

2024年3月21日 — 国連総会は本日、すべての人々の持続可能な開発にも恩恵をもたらす、「安全、安心で、信頼できる」人工知能(AI)システムの推進に関する画期的な決議を採択しました。

総会は、米国主導による決議案を無投票で採択するとともに、AIの設計、開発、展開、使用における人権の尊重、擁護、促進について強調しました。

120を超える加盟国が決議案支持し、「共同提案国」となりました。

総会はまた、17の持続可能な開発目標(SDGsの達成に向けた前進を加速させ、それを可能にするAIシステムの潜在力を認識しました。

総会がAIという新興分野の規制に関する決議を採択したのは、今回が初めてとなります。報道によると、米国の国家安全保障担当大統領補佐官は今月、この決議が採択されればAIの安全な使用にとって「歴史的な前進」となるだろうと述べています。

同一の権利を、オンラインでもオフラインでも

総会は、すべての加盟国とステークホルダーに対して、「国際人権法を遵守した形での運用が不可能な、あるいは人権の享受に過度のリスクをもたらすようなAIシステムの使用を抑制・中止する」ことを求めました。

また、「人々がオフラインで有する権利は、AIシステムのライフサイクル全体を含めて、オンラインでも保護されなければならない」ことを確認しました。

総会はまた、すべての国、民間セクター、市民社会、研究機関、メディアに対して、安全、安心で、信頼できるAIの使用に関する規制・ガバナンスにおけるアプローチや枠組みを構築し、それらを支援するよう要請しました。

デジタル格差を解消する

総会はさらに、国家間・国内において技術開発の「水準が異なる」こと、開発途上国が急速なイノベーションの速度についていく上で特有の課題に直面していることを認識しました。

また、加盟国とステークホルダーに対し、開発途上国が包摂的で公平なアクセスの恩恵を受け、デジタル格差を解消し、デジタル・リテラシーを向上させることができるよう、開発途上国と協力するとともに、これらの国々を支援するよう要請しました。

他分野への期待

採択に先立ち、米国のリンダ・トーマス=グリーンフィールド国連大使・国連常駐代表が決議案を発表しました。

トーマス=グリーンフィールド大使は、「この決議に結実した包摂的で建設的な対話が、例えば平和と安全や、AIの自律性の責任ある軍事利用など、他の分野でのAIをめぐる課題に関する今後の議論のモデルとなる」ことへの期待を表明しました。

決議案について、トーマス=グリーンフィールド大使は、国際電気通信連合(ITU)、国連教育科学文化機関(UNESCO)、人権理事会をはじめ、国連がこれまで行ってきた取り組みを強化するためのものであると指摘しました。

「私たちは、(決議案が)グローバル・デジタル・コンパクトに向けた交渉や、事務総長が立ち上げた人工知能に関するハイレベル諮問機関の取り組みを含めた、将来の国連のイニシアチブを補完するものとなることを意図している」と、大使は述べています。

AIを管理するのは「私たち」

トーマス=グリーンフィールド大使はまた、国際社会には「このテクノロジーに管理されるのではなく、このテクノロジーを管理する」機会と責任があることを強調しました。

「今後AIが、人間性と尊厳、安全と安心、人権と基本的自由のレンズを通じて開発され、展開されていくことを再確認しようではありませんか」大使はこのように述べました。

「国内・国家間におけるデジタル格差を解消し、持続可能な開発をめぐる共通の優先課題を前進させるために、このテクノロジーを使用することを決意しようではありませんか」

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原文(English)はこちらをご覧ください。