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インタビュー:AIの専門家、アフリカの「デジタル植民地化」に警鐘(UN News 記事・日本語訳)

2024年05月29日

国連の「グローバル・デジタル・コンパクト」は、AIのようなテクノロジーが全人類に寄与するものとなるよう、各国政府や産業界を結集することを目的としている © UN Photo/Elma Okic

202412 — 人工知能(AI)は、農業から医療分野に至るまで、アフリカが抱える主要課題の一部の解決に寄与するほどまでに成熟しました。しかし、セネガルの専門家セイディナ・ムーサ・ンディアイエ氏は、もしこのまま外国企業が現地関係者の関与なしにアフリカのデータを利用し続ければ、この新しいテクノロジーはアフリカの新たな「植民地化」につながると警鐘を鳴らしています。

機械学習に関する新たな国連のAIに関する諮問機関の38人のメンバーの一人であるンディアイエ氏は、自身の経験に基づいた今後の展望をUN Newsに語りました。同氏は、セネガルの高等教育におけるデジタル・トランスフォーメーションの推進を支援し、汎アフリカAI戦略の起草においてアフリカ連合(AU)で専門家を務め、AIに関するグローバルパートナーシップ(GPAI)にも貢献してきました。

セネガル出身のAI専門家、セディナ・ンディアイエ氏は、国連の人工知能(AI)に関するハイレベル諮問機関の38人のメンバーの一人だ © Courtesy of Seydina Ndiaye

UN NewsAIはどのような形でアフリカの役に立つのでしょうか?

セディナ・ムーサ・ンディアイエ:アフリカのいくつかの国では、AIに特化した戦略を策定し始めていますが、間もなくアフリカ大陸としてのAI開発のビジョンを含む、汎アフリカ戦略が発表されれる見通しです。

スタートアップ企業を立ち上げる若者たちがますますAIに関心を深めており、AI分野の知識を心から渇望しています。国際的な支援があれば、こうした関心の高まりを加速させることができます。

しかし、一部の分野では壁があり、AIは、農業部門などにおいて、特定の課題の解決に利用することができます。保健部門では、AIが実際に多くの課題を、特に人材不足の問題を解決することが可能です。

もう一つの極めて重要な要素は、文化的アイデンティティーの発展です。これまでアフリカは、文化的アイデンティティーを持ちながらも、それを世界中に広めることができていない大陸だと見なされてきました。AIの発展により、私たちはこのチャネルを活用して、アフリカの文化的アイデンティティーの認知度を高め、より尊重されるようにしていくことができるのではないでしょうか。

イタリアと国連の支援により、UNICOREの奨学金を得てコンピューター工学、サイバーセキュリティ、人工知能について学ぶコンゴ民主共和国出身の難民、ベルニス・クラクラさん © UNHCR/Agnese Morganti

UN News:アフリカを脅かすような、AIの負の側面はありますか?

セディナ・ムーサ・ンディアイエ:私にとって、最大の脅威は植民地化です。AIにおける巨大な多国籍企業がアフリカ大陸全体に自社のソリューションを押し付けることで、現地のソリューションを生み出す余地がなくなってしまうおそれがあります。

現在アフリカで生成されている大半のデータは多国籍企業が保有しており、そのインフラは大陸外で開発されています。ほとんどのアフリカ人のAI専門家が活動するのもまた、大陸の外です。これは、アフリカ人の人材の損失と言えます。

もう一つ考慮すべき重要な要素は、第四次産業革命に関するものです。先進の生命工学やテクノロジーと融合したAIの力が利用される可能性があります。アフリカはこうした新たなソリューションのすべてが実際にテストされる場所となる可能性があるのです。

監視の目が届かなければ、チップを埋め込む人体実験や、さらには、(最先端科学による)改良を受けて融合した生命工学の素子を用いた人体実験が行われる可能性もあります。私たちは、これらのテクノロジーを実際にうまく使いこなせてはいません。規制の観点で考慮されていない面もあります。アイデアを適用する枠組み自体や現行の規制が、効果的ではないのです。

具体的に言うと、こうしたことは、制御しなければ誰も知らないうちに起こってしまうおそれがあります。アフリカが新たなソリューションを実験するためのモルモットとして利用される可能性があり、これはアフリカにとって極めて重大な脅威となり得るのです。

「あらゆるものの未来:急速な技術革新の時代における持続可能な開発」の会合でロボットのソフィアと交流するアミーナ・J・モハメッド国連副事務総長 © United Nations/Kensuke Matsue

UN News:国連の新たなAIに関する諮問機関は、こうした問題を議論の対象として取り上げられるプラットフォームになると思いますか?

セディナ・ムーサ・ンディアイエ:はい、もちろんです。私たちは、真にオープンな形で活動を始めています。国際問題をよく理解しているハイレベルな方々ですし、タブーとなるテーマはありません。

大切なのは、アフリカの声が諮問機関に反映されることです。国際的な科学協力を強化し、協力を大国に限ったものにしてはなりません。諮問機関は、国際レベルであらゆる人々を包摂し、後発開発途上国LDGsの助けにもなります。

今は、現実に格差が存在しますが、これを解決しなければ不平等が拡大するおそれがあるのです。

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原文(English)はこちらをご覧ください。

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