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国連の「未来サミット」について知っておくべき5つのこと(UN News 記事・日本語訳)

2024年09月12日

ニューヨークの国連本部の外壁に描かれた、エドゥアルド・コブラ氏による壁画© UN Photo/Rick Bajornas

執筆者:コナー・レノン

202493 世界を運営していく方法は、これ以外にあるでしょうか。世界が混迷を深める中、私たちはどうすれば、より公平な未来を築くことができるでしょうか。今年9月に国連本部で開催される一大イベントは、国際社会がこうした問いに取り組み、すべての人が恩恵を受けられるよう、新たな道を切り開くための一世代に一度の機会と言われています。

1 未来サミットとは?

国連は2020年に創設75周年を迎えることを契機に、未来への希望と不安に関する世界的な対話を開始しました。

これが、その4年後の「未来サミット」開催に至るプロセスの始まりでした。同サミットは、今年9月の一大イベントであり、国連総会のハイレベル年次討論の直前に国連本部で開催されます。

未来サミットが構想されたのは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが猛威を振るうさなかのことでした。国連では当時、私たち全員に影響を及ぼすこの世界的な脅威に対し、各国や人々が協力して立ち向かうのでなく、むしろバラバラになっているという認識がありました。

未来サミットの政策ディレクターを務めるミシェル・グリフィン氏は、次のように述べています。「私たちはまさに、75周年にあたって私たちが称えようとしていた国連創設者たちの願いと、今日の世界の現実との間のギャップに直面していました。それは、私たちが直面している問題、脅威だけでなく、その機会や私たちの対応方法の不完全さについてもです」

国連加盟国はアントニオ・グテーレス事務総長に対し、グローバル協力の将来像を提示することを求めました。それに対する事務総長の答えが、数多くのリスクや脅威に対処するための新たなグローバル協力に関する提言と、未来を見据えたサミットを2024年に開催する提案を盛り込んだ画期的な報告書である『私たちの共通の課題(Our Common Agenda)』でした。

未来サミットは、5つの主要議題(持続可能な開発と資金調達、平和と安全、すべての人々のためのデジタルの未来、若者と将来世代、グローバル・ガバナンス)と、人権やジェンダー平等、気候危機など、国連のあらゆる活動にまたがる他のトピックに基づいたセッションや全体会議で構成されています。

当面の成果としては、「未来のための協定」の最終版と、付属文書のグローバル・デジタル・コンパクトおよび将来世代に関する宣言となる予定で、いずれもサミット期間中に加盟国によって採択される見込みです。

2 なぜサミットが重要なのか?

それは、これらのテーマは過去にも取り上げられており、気候変動に関するパリ協定持続可能な開発目標(SDGs)などの画期的な合意がなされてはいるものの、国連の体制はその多くが数十年前に構築されたもので、もはや十分に公平・効果的なものではないという認識が広く共有されているからです。

未来サミットは、これまでになされた約束をより完全に実現し、これからの世界に向けて国際社会が備え、信頼を回復する機会を提供します。

「国際協力において最も重要な要素は、信頼です。お互いへの信頼であり、私たちが人間性を共有し、互いにつながっているという意識なのです。そして、このサミットは、各国政府や9月にニューヨークで国連に結集する人たちだけでなく、あらゆる人々に対し、私たちが協力して最大の共通課題を解決しなければならないということを思い起こさせることを目的としているのです」ミシェル・グリフィン氏は、このように述べました。

国連本部前での抗議活動「未来のための金曜日」に、気候活動家の若者たちと共に加わるスウェーデン出身の16歳の気候活動家グレタ・トゥーンベリ氏(中央)(2019年8月30日)© UN Photo/Manuel Elías

3 主要なプレイヤーは誰か?

サミットに先立ち、国連本部では2日間の「アクション・デー」も開催されます。そこでは、市民社会、民間セクター、学術界、自治体関係者、若者たち、加盟国他、多くの代表たちがイベントの主要テーマに関わる機会を得ます。

グリフィン氏は、こう言っています。「国連を見たとき、各国政府が主要プレイヤーだと思われることでしょう。それは確かにそうです。テーブルに着いているのはそういう人たちですから。ですが、それは国民を代表してそうしているのです」

「市民社会の関係者や若者たちは、これまでもずっと関与を続けており、サミットにも参加します。民間セクターは、今日の人々の生活や機会を形作る上で果たしてきた極めて大きな役割が認識されて、このサミットに参加します。このサミットは、あらゆる人々のための、あらゆる人々によるものであり、誰もが自分自身がサミットに反映されているとわかるはずです」グリフィン氏は、このように語りました。

カタール・ドーハでの第5回国連後発開発途上国会議(LDC5)に先立って開催されたユース・フォーラムに出席したユース代表団 © UN News/Anold Kayanda

4 サミットの後はどうなる?

未来サミットの主催者は、イベントが閉幕しても、4日間にわたる議論や提起された課題が終わるわけではないことを強調しています。

ミシェル・グリフィン氏は、それを“プロセスの始まり”と表現し、このように述べています。「このサミットで私たちが蒔く種の大半は、成長して花が開くまでにいくらか時間がかかるでしょう。私たち全員が関与し、各国政府に向けて、国際舞台での約束を果たす責任を問わなければなりません」

サミット後は、「未来のための協定」に盛り込まれた提言や誓約の実施へと焦点が移ります。11月には、国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)をアゼルバイジャンがホスト国となって開催し、そこでは気候変動のための資金調達が議題の中心となる見込みです。12月には、ボツワナで国連内陸開発途上国会議が開催され、持続可能な開発のための解決策が模索されます。また来年6月には、スペインで開催される開発資金国際会議(Ffd4)において、国際金融アーキテクチャ(世界銀行、国際通貨基金など、開発途上国への融資、助成金、技術援助の提供方法・条件を決定する機関を含む)を改革するための取り組みが強化されます。

United Nations

5 参加するには、どうすればいい?

ActNow」は、すべての人々に向けて、より良い、より平和で持続可能な未来を支持するよう促す、国連によるグローバル・キャンペーンです。このプラットフォームの目的は、地域コミュニティーでのボランティア活動であれ、現地における意思決定への参加であれ、または単に、より環境に責任を持つ生活を送るために個人の消費習慣を変えることであれ、声を上げて、プラスの変化をもたらす人々の数を増やすことにあります。

また、未来サミットに先立ち、国連ユース・オフィスは#YouthLeadというプラットフォームを立ち上げて、若者とその支持者を後押ししています。#YouthLeadでは、世界の指導者たちに対し、それぞれが奉仕するコミュニティーをより代表する形で、グローバルな政策を立案するよう訴えています。

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原文(English)はこちらをご覧ください。

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