「世界の先住民の国際デー」について知っておくべき5つのこと(UN News 記事・日本語訳)
2024年08月09日
2024年8月8日 ― 毎年8月9日は、「世界の先住民の国際デー」。2024年のテーマは「自発的な孤立とファーストコンタクトの状況にある先住民たちの権利の保護」です。
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今年のテーマについて知っておくべき5つのことは、以下の通りです。
1 「自発的な孤立とファーストコンタクトの状況」とは?
今年の国際デーの焦点は、現在、自主的な孤立とファーストコンタクトの状況にある約200の先住民集団に当てられています。
彼らは外の世界と接触せず、採集や狩猟によって暮らしています。
これらの集団はボリビア、ブラジル、コロンビア、エクアドル、インド、インドネシア、パプアニューギニア、ペルー、ベネズエラにある、天然資源が豊富で人里離れた森林に暮らしています。
2 なぜこれらの集団は、自ら孤立することを選ぶのか?
これらの先住民集団は主流社会を意図的に避けています。
コミュニティーごとにそれぞれ理由があり、自治を守るために孤立しているコミュニティーもあります。
また、文化と言語を守るために自ら孤立しているコミュニティーもあります。
3 先住民たちにとっての脅威とは何か?
外部と接触せずに孤立している先住民たちにとって、最も深刻な脅威の一つは疾病に身をさらすことです。
これらの先住民たちは、孤立していることで、どちらかと言えば一般的な疾病と闘う免疫防御力を持っていません。強制的な外界との接触は壊滅的な結果を招きかねず、これらの社会全体を破壊してしまうおそれがあります。
最も深刻な脅威の中には、私たちの日常生活によってもたらされるものもあります。先住民たちの領地での農作、採鉱、観光、天然資源の採取は、そうした人々の土地の森林破壊につながり、生活様式を混乱させ、何世代にもわたって先住民たちが守ってきた自然環境を破壊することになります。
4 自発的な孤立が生み出すものは?
自発的な孤立とファーストコンタクトの状況にある先住民たちは、最も優れた森林の保護者です。
土地や領地に対する先住民たちの集団の権利が保護されている場所では、社会とともに森林も繁栄しています。そうした人々の生存は、文化的・言語的多様性の維持にも欠かせません。
今日の高度に接続された世界において、自主的な孤立とファーストコンタクトの状況にある先住民たちの存在は、人類が複雑に織りなされた豊かなタペストリーであることの証しなのです。
5 私たちにはどのような支援ができるのか?
自発的な孤立を支援することは、独自の文化や言語、生活様式を保護することにつながります。消費者として持続可能な選択をしていくことは、こうしたコミュニティーを消滅させないことにつながるのです。
先住民にとって最大の脅威の一つは、リチウムやコバルト、再生可能エネルギー技術に使用するその他の重要鉱物を採取する採掘会社によって生じています。
事務総長は先ごろ、採取産業のバリューチェーンが人権を保護するように、「エネルギー移行のための重要鉱物に関するパネル」を設立しました。
簡単なまとめ
先住民たちには、自分たちの地域との植民地化以前からの歴史的な継続性や、自身の土地との強いつながりといった共通点があります。彼らは、独自の社会・経済・政治制度を少なくとも部分的には維持し、独自の言語、文化、信仰、知識体系を備えています。
先住民たちは、自らのアイデンティティーや独自の制度を維持・発展させる明確な意志を持っており、社会において非主流部門を構成しています。また、先住民でない集団と比較すると、極度の貧困の中で暮らしている可能性が3倍近く高くなっています。
先住民に関する簡単なまとめは、以下の通りです。
- 先住民の数は4億7,600万を超えており、世界人口の6.2%を占めています。
- 先住民は、世界90カ国に暮らしています。
- 5,000を超える、さまざまな集団が存在しています。
- 世界には7,000の言語があると推定されており、その圧倒的多数の数の言語を話しているのが先住民たちです。
- 国際デーの詳細はこちらをご覧ください。
- 8月9日の記念行事に参加するにはこちら。
- このテーマの詳細についてはこちらをご覧ください。
- 国連によるオンライン展示会「顔から覗く世界(The World in Faces)」では、世界各地の先住民たちの写真をご覧いただけます。
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原文(English)はこちらをご覧ください。
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