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海面上昇の流れを変えるために、地球温暖化を食い止めよう(UN News 記事・日本語訳)

2024年10月22日

インドネシア・北ジャカルタのムアラバル近郊で部分的に浸水したモスク© UNICEF/Arimacs Wilander

2024925 世界の海面上昇が過去3,000年で最速で進む中、国連加盟国は本日会合を開き、存亡に関わるこの脅威にどのように対処するのが最善かについて検討しました。

ハイレベル会合を招集したフィレモン・ヤン国連総会議長は、状況は危機的だと述べています。全体会合とパネルディスカッションで構成されたハイレベル会合には、100人以上のスピーカーが参加しました。

ヤン総会議長は、2020年から2050年の間に海面が20 cm上昇すると見込まれており、最大で12億人が住処を追われるおそれがあると述べました。

「最前線にいる人々にとって、海面上昇の影響は生計を脅かし、居住地や重要インフラにも被害を与え、最も衝撃的な結果としては、島に暮らす人々や沿岸コミュニティー全体が住処を追われることもあり得ます」ヤン議長はこのように語りました。

地球温暖化に歯止めをかけよう

ヤン議長は各国に対し、協力してレジリエンス(強靱性)を構築し、災害への脆弱性に取り組み、気候変動適応戦略を確実に策定および実施し、沿岸管理の慣行を改善するよう要請しました。

「何よりも、私たちは気温上昇を1.5°Cに抑えるという目標へのコミットメントを新たにして、海面上昇に拍車をかけている地球温暖化を止めなければなりません」議長はこのように述べました。

グテーレス事務総長:行動と資金が極めて重要

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、海面上昇を抑えるために(温室効果ガスの)排出量を削減することと、人命を救うことの2つの側面から「抜本的な行動」が必要であることを強調しました。事務総長は、国連のイニシアチブに沿って、2027年までにあらゆる場所のあらゆる人々を早期警報システムで保護しなければならないと述べました

一方で、各国は1.5°Cの目標に整合し、経済のあらゆる部門を対象とし、化石燃料の段階的廃止に向けた近道となる新たな気候行動計画を提出しなければなりません。世界全体の排出量の約80%を占めるG20諸国は、主導的役割を果たさねばなりません。

事務総長は、11月にアゼルバイジャンで開催される国連の気候変動に関する会議について言及し、「資金が欠かせません。今年の気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29では、新たな革新的な資金源を含めた、資金面での強力な成果が必要だ」と述べました。

事務総長はまた、開発途上国を支援する新たな「損失と損害基金」に対する大幅な拠出も呼びかけ、豊かな国々に対して、適応のための資金を2025年までに少なくとも年間400億ドルまで倍増させるよう求めました。さらに、国際開発金融機関は、より無理なく利用できる資金を開発途上国に提供できるように改革されなければなりません。

出発点

前国連総会議長のデニス・フランシス氏は、海面上昇の問題に対して決定的な行動を起こした国連加盟国を称えました。前議長はこの会合が、総会が2026年9月を目途とする「野心的な宣言」の取りまとめに向けた出発点になる、と述べました。

宣言は、影響を受けるすべての国々とコミュニティーの繁栄と尊厳、権利を確保する機会です。私たちはこの宣言を通じて、主権と国家としての地位が不可侵の権利であること、そしてこうした権利は海面上昇をめぐる状況にかかわらず、永続的かつ恒久的なものであることを再確認しなければならない」と続けました。

フランシス氏は、「気候変動対策資金は現地レベルに十分には行き届いておらず、度重なる災害に苦しむ国々にますます多くの債務を負わせるべきではない」として、最も脆弱なコミュニティーにおける気候変動適応策に向けた支援の拡大を呼びかけました。

太平洋のツバルで浸水した土地をキックスケーターで進む幼い子ども© UNICEF/Lasse Bak Mejlvang

ツバル:各国の「基盤そのもの」が危険にさらされている

海面上昇は、小島嶼開発途上国の経済や文化、遺産、国土に対し、存亡に関わる脅威だとツバルのフェレティ・テオ首相は述べました。多くの国が広大な領土を失い、人がほぼ住めなくなるおそれがあります。

首相は、飲料水を供給している帯水層へと海水が浸透し、潮位の上昇や暴風雨の激甚化によって村や畑が荒廃するといった影響について言及しました。さらに、洪水によって土壌の塩分濃度が上昇することで作物の収穫量が減少したり、樹木を弱らせたりします。

私たちの国民は、何世代にもわたって故郷と呼んできた島や海岸で生活することができなくなるでしょう。生計が破壊され、家族は徐々に移住し、コミュニティーの結束が試され、遺産が失われ、最終的には、私たちの国の基盤そのものがますます脅かされることになります」テオ首相はこのように述べました。

「私たちの多くにとって、これらは今後訪れる未来の予測ではなく、今日経験している厳しい現実なのです」

EU:緩和とレジリエンスを促進しよう

欧州連合(EU)のウォプケ・フックストラ気候変動対策担当委員は、緩和、そして適応を通じたレジリエンスの構築という2つの「真に重要な要素」に焦点を当てました。

緩和については、「これ以上見て見ぬふりをしている時間はない」と述べ、各国が排出量正味ゼロの目標に向けて取り組み続けることが不可欠だと語りました。

フックストラ委員は、EUは2050年までに気候中立性を実現するというコミットメントを守ると述べました。この目標はEUの気候に関する法律の一部であり、「私たちは、公平かつ公正で、クリーンな経済成長を可能にする移行を実現する上で必要な政策の実施に向けて順調に進んでいる」と語りました。

しかしながら、気候リスクが高まる中で排出量を抑制するだけでは「不十分だろう」として、委員はレジリエンスを強化する必要性を強調しました。

また、脆弱なコミュニティーに対して「この闘いにおいてEUはあなた方とともにある」と断言し、EUは「緩和に向けたより大きな野心のために闘い続けるとともに、適応において、また『損失と損害』の分野で講じるべき対策について可能な限りの支援を続ける」とも語っています。

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原文(English)はこちらをご覧ください。