グテーレス事務総長、日本被団協のノーベル平和賞受賞を祝福(UN News 記事・日本語訳)
2024年10月28日
2024年10月11日 — アントニオ・グテーレス国連事務総長は本日、ノーベル平和賞を授与された日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)に対し、祝意を表明しました。
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「被爆者(hibakusha)」として知られている、1945年の広島と長崎への原爆投下からの生存者たちによる草の根の活動は、国連の最優先課題でもある、核兵器のない世界の実現に尽力しています。
グテーレス事務総長は、被爆者を「核兵器がもたらす恐ろしい人的損失に対し、私心なき本心を語る証人たち」と表現しています。
年々その人数が減少していく中で、被爆者の方々のたゆまぬ努力と強靭さは、世界的な核軍縮運動の「支柱」となっていると、事務総長は続けました。
事務総長は、長年にわたり幾度も行ってきた被爆者の方々との対話を、決して忘れることはないだろうと述べています。
世界に向けたインスピレーション
「その脳裏を離れない生きた証言は、核の脅威が歴史の教科書上だけの話ではないことを世界に思い起こさせます。核兵器は人類にとって、今まさにそこにある明白な脅威であり、現実の国際関係において、日常的なレトリックとして再び姿を現しています」事務総長は、このように述べました。
「今こそ世界の指導者たちが、被爆者の方々と同じ曇りのない目で、核兵器の本質を見つめる時です。いかなる安全も保護も安全保障ももたらさない死の装置の本質を。核兵器の脅威をなくす唯一の道は、核兵器の完全な廃絶です」
グテーレス事務総長は、国連は誇りを持って「核兵器のない世界を築く私たちの共通の努力にインスピレーションを与えてくれる」被爆者の方々と共にあることを表明しました。
核軍拡競争に終止符を
ジュネーブの国連情報サービス(UNIS)のアレッサンドラ・ヴェルッチ所長は、日本被団協が国連と協力してきたことに言及しています。
日本被団協は2018年、中満泉国連事務次長・軍縮担当上級代表と共に国連を訪問し、核軍拡競争と核紛争に終止符を打ち、核兵器を廃絶することを求める請願書に800万人の署名を添えて提出しました。
核兵器を削減し最終的に廃絶することは、およそ80年前に第二次世界大戦による廃墟が広がる中、広島・長崎への原爆投下の後に創設された国連の優先課題であり続けています。
1946年1月に採択された最初の国連総会決議は、戦後に「原子力の発見によってもたらされた諸問題」に取り組むことを求めたものでした。
こちらのフォトストーリーは、核兵器がどのように世界を変えたのかを示しています。
「死の装置」
グテーレス事務総長は、最近の演説の中で「私たちの世界には、これらの死の装置が存在する余地などあってはなりません」と繰り返しています。
米国が1945年8月6日に広島に、そして8月9日に長崎に投下した原子爆弾は、核兵器が戦争で使用された唯一の例です。
2つの都市は壊滅しました。核放射線、爆発による衝撃波、熱放射によって20万を超える人々が死亡しました。さらに何十万の人々が、その後の長い歳月の中で亡くなりました。
原爆の投下後、被爆者はこのような破壊が二度と繰り返されないよう、精力的な調査を行いました。
作家キャサリン・バーキンショーのポッドキャストをお聴きください。彼女が執筆した若い被爆者に関する小説は、自身の母親の被爆体験に着想を得たものです。
国連と被爆者
国連と被爆者との間には長年にわたって交流しており、グテーレス事務総長も前任の潘基文(パン・ギムン)元事務総長も広島と長崎を訪れ、毎年開かれる追悼式典に出席しています。
2010年に長崎を訪れた際に、潘前事務総長は犠牲者に哀悼の意を表し、数人の被爆者の方々と面会しました。また、原爆が投下された地図上の中心を表す爆心地で献花を行いました。
グテーレス事務総長は2022年に広島で開催された式典に出席しました。各国の指導者たちが核兵器の備蓄を強化し、世界で1万3,000発近い核兵器が保有されていることを受け、事務総長は「新たな軍拡競争が加速している」と警鐘を鳴らしました。
グテーレス事務総長はその後、5人の被爆者(女性3人、男性2人)の方々と面会し、それぞれの話に耳を傾けました。事務総長は被爆者の方々に対し、皆様には「核兵器は愚かなものだ」と指導者たちに伝える道徳的権威があると語りました。
被爆者の方々が唱える「核兵器のない世界」は、同年にニューヨークの国連本部で開催された展示のテーマでもありました。
国連軍縮部(ODA)が主催したこの展示では、原爆と、その後継兵器であり1950年代に実験が始まったより強力な水素爆弾(水爆)によってもたらされた破壊がまざまざと描かれました。
展示に関する記事は、こちらからご覧ください。
危機に瀕する世界
国連軍縮部のトップを務める中満事務次長は、日本被団協のノーベル平和賞受賞という「素晴らしい朗報」で目を覚ました、と喜びを口にしました。
被爆者のたゆまぬ活動は、核軍縮に対し世界の人々の支持を集める上で「絶対的に重要」だったと、事務次長は国連本部で毎日行われているメディア向けブリーフィングに出席した記者団に語りました。
核兵器のリスクとレトリックが高まりを見せる中で、事務次長は国際社会が「現在の不幸で非常に危険な軌道を逆転させることができるだろう」と期待を示しました。
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原文(English)はこちらをご覧ください。