適応するか、滅びるか:国連、気候サミットCOP29での緊急行動を呼びかけ(UN News 記事・日本語訳)
2024年11月13日
執筆者:ヴィブフ・ミシュラ
2024年11月7日 — たとえどんな困難があろうと、各国は緊急に気候変動適応の取り組みを拡大させなければならず、来たる国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)で適応資金を増額することをまずコミットすることが求められている、国連環境計画(UNEP)は本日、このように警鐘を鳴らしました。
UNEPは『適応ギャップ報告書2024:どんな困難があろうと』の中で、脆弱な立場に置かれたコミュニティーは異常気象や災害によって、すでに気候変動の影響の矢面に立たされていると警告しました。
「気候変動はすでに世界中のコミュニティー、特に最も貧しく脆弱な立場に置かれたコミュニティーに、壊滅的な影響を与えています。猛烈な嵐が家屋を倒壊させ、山火事が森林を焼き尽くし、土地の劣化や干ばつが自然の風景を劣化させています」UNEPのインガー・アンダーセン事務局長はこのように述べました。
「気候変動の影響によって、人々と、その生計、そして人が依存している自然が、真の危険にさらされているのです。私たちが行動を起こさなければ、これが私たちを待ち受ける未来の予告編となり、世界が今すぐに真剣に適応に取り組まないことに何ら言い訳の余地もない理由です」
UNEPは、早急に行動を起こさなければ、世界全体の気温上昇は間もなく1.5℃を超え、今世紀末までに産業革命以前と比べて2.6℃から3.1℃という破滅的な上昇に達する可能性があると強調しました。
11月11日にアゼルバイジャンのバクーで開幕するCOP29では、世界中の代表団や国連高官、市民社会、その他の主要部門とともに進捗を評価し、気候変動に対処する最善の方法について交渉します。
気候危機は今起きている
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、「気候危機は今起きている」と宣言し、世界が異常気象の猛攻に直面している中で、即座に行動することの緊急性を力説しました。
事務総長は、「健康に打撃を与え、不平等を拡大し、持続可能な開発を損ない、平和の基盤を揺るがしている」こうした災害の裏にある「人類の悲劇」を強調しました。
グテーレス事務総長は、報告書の発表に寄せたるビデオ・メッセージの中で、国別気候計画に適応を盛り込み、効果的な早期警報システムを導入し、適応資金を迅速に拡大させるなど、主要分野における行動を呼びかけました。
事務総長はさらに、各国は「温室効果ガスという、危機の核心を突かねばならない」と述べました。
「気候危機は今起きています。対策は先延ばしできません。私たちは適応する必要があります、今すぐに」
新たな共通の目標
報告書は、地球温暖化のペースを遅らせるために必要な調整を行う「適応」に必要な資金と、現在の公共投資レベルの間でギャップが広がっていることを浮き彫りにしました。
開発途上国に向けた国際的な適応資金は2022年に280億ドルまで増加したものの、依然として必要な額をはるかに下回っており、適応資金ギャップを埋めるには、年間1,870億から3,590億ドルが必要になると推計しています。
こうした背景を踏まえ、UNEPはCOP29で気候変動対策資金に「新たな集団的数値目標(NCQG)」を設定し、ブラジルのベレンで開催されるCOP30に先立って来年前半に期限を迎える次回の気候変動に関する誓約に、さらに強力な適応要素を盛り込むよう求めました。
焦点を移す
同時にUNEPは各国に対し、資金を増額するとともに、適応資金の性質を短期的なプロジェクトベースの取り組みから戦略的で先見的な投資へ転換するなど、COP29およびそれ以降において相当のコミットメントを行うよう求めました。
そうすることで、特に気候変動の影響を最も大きく受けている、脆弱な立場に置かれた地域における長期的なレジリエンス(強靱性)に向けた取り組みに役立つでしょう。
UNEPは、基金や融資制度の創設、気候財政計画と気候予算のタグ付け、適応投資計画など、公共セクター、民間セクターの両方の資金の動員を可能にする「実現要因」を提案しました。
イノベーションを支援する
報告書はまた、革新的な金融ソリューションの支援や資金拠出の拡大において国際開発金融機関が果たす役割についても強調しました。
民間セクターに対しては、UNEPは適応にさらに多くの投資を呼び込むために、リスク軽減メカニズムの構築を唱えました。
資金だけでは十分ではない、とUNEPは付け加えており、各国に対して能力構築と技術移転を強化し、水、食料、農業といった主要分野における適応の取り組みを拡大させるよう求めています。
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原文(English)はこちらをご覧ください。