2024年は史上最も暑い年に ― 国連の気象機関が発表(UN News 記事・日本語訳)
2025年01月21日
2025年1月10日 — 世界気象機関(WMO)に所属する国連の気象専門家は本日、2024年が観測史上最も暑い1年であり、世界全体の気温が産業革命以前と比べて1.55℃上昇したことを確認しました。
*****************
「私たちは、異常な陸面および海面温度、異常な海洋熱とそれに伴う異常気象が、世界中の多くの国々に影響を与え、生命、暮らし、希望、夢を破壊する様を目の当たりにしました。多くの気候変動の影響で海氷・氷河が後退するのも見ました。まさに異常な年でした」WMOのクレア・ヌリス報道官は、このように述べています。
WMOが分析した日本の気象庁を含む6つの国際的なデータセットのうち4つが、昨年全体で世界の平均気温の上昇が1.5℃を上回ったことを示し、残り2つは違う結果でした。
1.5℃の基準が重要なのは、世界の気温変動が産業革命以前の水準と比べて2℃よりも十分低く保たれるよう努めながら、この1.5℃という値を超えて上昇しないようにするということが2015年のパリ協定の主要目標であるためです。
追い詰められる気候協定
WMOは、パリ協定の長期的な気温目標は単年ではなく数十年単位で測られると説明し、パリ協定は「まだ死んではいないが、重大な危機にある」と述べています。
しかしながら、WMOのセレステ・サウロ事務局長は、次のように主張しています。「気候の歴史的な出来事が、私たちの目の前で繰り広げられています。記録的な年は1年や2年だけでなく、10年間続いているのです。1℃にはるかに満たないわずかな度数でも温暖化が進むことは問題だと認識することがきわめて重要です。気温上昇が1.5℃以上にせよ以下にせよ、わずかでも地球温暖化が進むたびに、私たちの生活、経済、そして私たちの地球への影響はますます大きくなるのです」
ロサンゼルスの火災:気候変動が要因
ロサンゼルスの破壊的な森林火災についてWMOをはじめとする気象専門家は、気候変動により悪化しているとして、雨が植生の成長を促したあとに、乾燥した暖かく風の強い天候の日が増えたことによると主張しています。その火災がいまだ猛威を振るう中、WMOは、10年にわたる「記録的な気温の異常な連続」において2024年の気温が最も高いものだったと述べました。
アントニオ・グテーレス国連事務総長は、WMOの調査結果を地球温暖化のさらなる証拠だと述べ、すべての国の政府に対し、世界全体の長期的な気温上昇を1.5℃に抑えるための新たな国別気候行動計画を今年策定し、最も脆弱な立場に置かれた人々が壊滅的な気候変動の影響に対処するのを支援するよう要請しました。
グテーレス事務総長は、次のように述べています。「単年で1.5℃の上限を突破したとしても、長期的な目標が達成できなくなったわけではありません。軌道に戻るためには、さらに懸命に戦う必要があるということです。2024年の猛烈な暑さに対しては、2025年に先駆的な気候行動を起こすことが必要です。気候変動による惨禍の最悪の事態を回避する時間はまだ残されています。しかし、指導者たちは行動を起こさねばなりません ― 今すぐに」
WMOが使用しているデータセットは、欧州中期予報センター(ECMWF)、日本の気象庁、NASA、米国海洋大気庁(NOAA)、英国気象庁とイースト・アングリア大学気候研究ユニットとの協働(HadCRUT)、バークレー・アースからのデータに基づいています。
2024年6月末に米国で猛暑警報が発令されたことを受けて行われた、WMOの気候科学者アルバロ・シルバ氏のインタビューをお聴きください(音声はこちらから)。
海洋温暖化
WMOは、海洋温暖化に関する別の科学的調査を取り上げ、昨年の記録的な高温において海洋温暖化が重要な役割を果たしたと述べました。
「海洋は、表面だけでなく上層2,000メートルにおいても、これまで人類が記録してきた中で最も温かくなっています」WMOは、7カ国にまたがって行われ、『Advances in Atmospheric Sciences』誌に発表された国際的研究の調査結果を引用し、このように述べました。
WMOは、地球温暖化による余剰熱の約90%が海洋に蓄積されており、「海洋の熱容量が気候変動の重要な指標となっている」と指摘しています。
研究結果を大局的に見ると、2023年から2024年にかけて、海洋の上層2,000メートルは16ゼタジュール(1,021ジュール)温かくなっていますが、これは世界の総発電量の約140倍に相当します。
* *** *
原文(English)はこちらをご覧ください。