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国連人権高等弁務官、死刑執行件数の大幅増を非難(UN News 記事・日本語訳)

2025年03月28日

米国ワシントンDCの最高裁判所前での死刑に対する抗議デモ(資料画像)©splash/Maria Oswalt

2025225人権理事会で本日、死刑廃止に向けた国際的な取り組みに明確な焦点を当てた会合が開かれ、ヴォルカー・ターク国連人権高等弁務官は、過去2年間で死刑執行が世界で大幅に増加したことを非難しました。

「多くの国が死刑執行は国家の主権の範囲内であると主張していますが、私の見解では、死刑は人間の尊厳や生存権とは相容れないものです」ターク高等弁務官は、この問題をめぐる人権の推進に司法が果たす役割についての議論の中で、加盟国に向けてこう述べました。

続けて高等弁務官は、死刑は21世紀には「存在すべきでない」とし、「近年における死刑執行上位国」にはイラン、サウジアラビア、ソマリア、米国が含まれると指摘しました。

明確なエビデンス

最新の国連のデータによると、2023年に16カ国で1,153件の死刑が執行されましたが、これは2022年から31%増加しており、過去8年間で最多の執行件数となっています。

「これは、執行件数が2021年から2022年にかけて53%増加したことに次ぐものだ」と高等弁務官は述べ、さらにこれらの数字には「死刑に関する透明性のある情報や統計を欠く」中国が含まれていないことを指摘。「中国当局に対し、この方針を改め、死刑廃止に向けた流れに加わるよう求める」としました。

死刑廃止を先導するグローバル・サウス

薬物関連犯罪は、国際人権法の下での死刑執行の正当な理由である「最も重大な犯罪」に該当しませんが、死刑執行件数の40%を占めており、これは2016年以降で最多となっています。

「この割合もまた、過去2年間で急増しており、その大半がイラン・イスラム共和国で執行されている」とターク氏は説明しています。

よりポジティブな傾向としては、世界的な死刑執行件数の増加にもかかわらず、死刑を廃止する国が増えており、これに拍車をかけたのはグローバル・サウスです。

現在、113カ国が完全に死刑を廃止しています。その中には、2024年末に死刑執行を廃止する法律をエマソン・ムナンガグワ大統領が承認したジンバブエとともに、アフリカのその他26カ国が含まれます。

廃止の鍵は、死刑をより軽い刑罰に減刑する司法改革と司法の裁量であるとターク高等弁務官は主張しています。マラウイやマレーシアはこうした改革を実施し、死刑判決の減少につなげているとした上で、高等弁務官は世界の国々に対して、公正な裁判を確かなものとし、誤った有罪判決を回避するためのより一層の取り組みを求めました。

ターク氏は各国に向けて、死刑の完全廃止に向けて動き、執行の一時停止を提唱し、死刑を最も重大な犯罪にのみ適用するよう要請しました。

ジンバブエでは

ジンバブエのヴァージニア・マビザ司法長官も人権理事会で演説し、同国の死刑制度は18世紀に植民地支配者によって導入され、1980年の独立後も存続してきたと説明しました。

司法長官によると、1999年の調査では国民の56%超が死刑制度を法令に残すことを望み、1980年から2005年までの間に、有罪判決を受けた105人に死刑が執行されました。

「それ以降、ジンバブエで死刑は執行されていません。これは、極刑に反対する政策決定に加え、司法の裁量もあったからだと言えます」司法長官は理事会に対し、このように説明しました。

司法長官は、以前は共同謀議や強盗未遂など幅広い犯罪が死刑の適用対象であったものの、2013年までには、死刑が適用される罪の数の削減に関する国連総会決議に基づき、有罪判決を受けた犯罪者が死刑になるのは殺人の有罪判決のみとなったと言います。

また、ハラレの最高裁判所が死刑は囚人の人権侵害にあたるとしたいくつかの判例を挙げ、判決が「多くの場合、死刑判決から終身刑に減刑されてきた」と述べました。

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原文(English)はこちらをご覧ください。