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人権理事会に関するQ&A

プレスリリース 06/017-J 2006年03月22日

国連総会は2006年3月15日、人権委員会を格上げした人権理事会の設立決議を賛成170、反対4(米国、イスラエル、マーシャル諸島、パラオ)、棄権3(ベネズエラ、イラン、ベラルーシ)で採択しました。以下は、新たに設立される人権理事会に関する基本情報です。

Q&A

  1. 新しくできる人権理事会のメンバーは何カ国になりますか。
    人権委員会のメンバーが53カ国であるのに対し、人権理事会の理事国は47カ国になります。
  2. 理事国はどのように選ばれるのですか。
    理事国になる資格は、すべての国連加盟国にあります。理事国は個別の直接投票により、総会が絶対過半数(96票)で選出します。議席は各地域に公平となるように配分されています(アフリカグループから13カ国、アジアグループから13カ国、東欧グループから6カ国、ラテンアメリカ・カリブグループから8カ国、西欧・その他諸国グループから7カ国)。新しい人権理事会の理事国は、2006年5月9日に選ばれる予定です。
  3. この新しい理事国選出手続きは、人権委員会とどう違いますか。
    新しい選出手続きでは、総会メンバーの絶対過半数票が必要とされます。人権委員会メンバーは、経済社会理事会の53の理事国が、出席、投票する国の過半数で選出していました。
  4. 理事国に期待されることは何ですか。
    理事国を選ぶ際、加盟国は人権の促進と保護に対する候補国の貢献度を考慮します。選出された理事国は、理事会と協力し、人権の促進と保護に関する最高基準をしっかりと守ることを約束します。理事国候補も、人権の促進と保護に関する自主的な誓約書や決意表明書を提出します。人権委員会メンバーに対し、このような期待はありませんでした。
  5. 理事会はどのようにして、理事国にこの人権基準を守らせるのですか。
    理事国は任期中、新理事会の普遍的審査メカニズムの対象となります。この普遍的な定期審査メカニズムの方法と頻度は、初会期から1年以内に理事会が決定します。
  6. 理事国が理事会での権利や特権を停止されることはありますか。
    総会は、ある理事国が任期中に重大かつ組織的な人権侵害を継続的に繰り返していると判断する場合、その権利と特権を停止することができます。権利停止の手続きをとるためには、総会で3分の2以上の賛成が必要になります。
  7. 理事国の任期は何年ですか。
    理事国は3年の任期で選出されます。2期連続して選ばれた場合、すぐ次の年に再選される資格はありません。
  8. 人権理事会は国連システムでどのような位置におかれますか。
    人権理事会は総会の補助機関となります。これによって、国連加盟国全体に対する直接の説明責任が生まれます。
  9. 人権理事会はどこで、どれだけの会合を開きますか。
    人権理事会の本部はジュネーブで、1年に3回以上の会期(本会期を含む)を開くことになっていますが、1年の開催期間は合計で10週間以上とされています。人権委員会の会期は年1回の6週間でした。理事会は緊急事態に取り組む会合を招集できるほか、必要に応じ、理事国全体の3分の1から支持を得た上で、ある理事国が要請する場合にも、特別会期を開催できます。
  10. 人権委員会のように、NGOなどのオブザーバーも理事会の議事に参加できますか。
    NGO、政府間機関、各国の人権機関、専門機関などのオブザーバーは、人権委員会で適用されていたものと同じ取り決めと慣行により、理事会に参加します。
  11. 理事会が設立されることにより、人権委員会の特別メカニズム(独立専門家、条約機関、特別報告者)の活動には、どのような影響が出ますか。
    移行の際に人権保護の空白が生じないようにするため、理事会は委員会の権限と責任をそのまま引き継ぎます。その上で、理事会初会期から1年以内に、見直しを完了します。この見直しでは、国連人権委員会の人権促進保護小委員会をはじめ、特別の手続きやメカニズムを合理化、強化する方法を検討します。
  12. 国連人権高等弁務官と人権理事会との関係はどうなりますか。
    新しい理事会は、高等弁務官事務所の活動に関連する人権委員会の役割と責任を引き継ぎます。
  13. 人権理事会の主目的をまとめると、どのようになりますか。
    理事会は、人権に関する対話と協力のための主要な国連フォーラムとなります。活動の焦点は、対話、能力育成、技術支援を通じて、加盟国が人権関連義務を守るのを助けることにあります。理事会はまた、人権分野での国際法の一層の発展を目指し、総会に勧告を提出してゆきます。
  14. 次のステップは何ですか。
    人権理事会の初代理事国の選挙が2006年5月9日に予定されています。理事会の初会合は同年6月19日となる予定です。

人権理事会と人権委員会:主な違い

項目 人権委員会 人権理事会
メンバー選出機関 経済社会理事会 – 54カ国 総会 – 191カ国
選出方法 投票なし。メンバーは地域・グループで選び、満場一致で選任 個別の直接投票。全理事国を実質的選挙で選出
選出に要する過半数 単純過半数(満場一致、28票あるいはそれ以下) 絶対過半数(96票)
メンバー数 53カ国 47カ国
年間会期数 1回 3回以上
会期の長さ 6週間 計10週間以上
特別緊急会期の要件 委員会メンバーの過半数 理事国の3分の1
メンバーの資格停止 なし 3分の2の多数票で、重大かつ組織的な人権侵害を犯した理事国の特権と権利を停止
候補国の資格要件 なし 人権の促進、保護への貢献

自主的な誓約と決意表明

メンバーの公約 なし 人権の促進と保護の最高基準を堅持

理事会との全面協力

任期中、普遍的審査メカニズムによる審査を受ける

メンバー全体による精査 なし 理事会発足1年以内に普遍的定期審査を開発
メンバー構成の変更 なし 2006年5月に新理事国選出
特別メカニズム 現行枠組み 理事会発足1年後に見直し、合理化、改善
検討課題 イスラエルに関する議題8を含む 白紙の状態からスタート
任期制限 なし 3年の任期を連続2期以内