シリア危機と国連の対応【ウィークリー・アップデート第48号】6/25付資料
2014年06月28日
国連広報局(DPI)は、シリア危機への国連の様々な対応をまとめた資料を週に一度発表しています。以下はその日本語訳です。
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ウィークリー・アップデート
国連広報局(DPI)第48号/2014年6月25日
◆事務総長、シリアの前途に関する6項目を提案
潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は6月20日、アジア協会で「シリア危機:内戦とグローバルな脅威」と題する演説を行い、シリア情勢への国際的な対応に向けた合理的、統合的な道のりを示す6項目の提案を提示しました。6項目は次の要素からなっています。第1に、暴力を止めること。事務総長はこれを「国連の緊急優先課題」と位置づけています。第2に、国際社会が人々とその人権、人間としての尊厳、安心と安全を守るため、全力を尽くすこと。第3に、新生シリアに向けた政治的プロセスをスタートさせるため、新たな取り組みが必要であること。事務総長はこれに関し、民主的な政治体制移行に向けた明確なロードマップが2012年6月30日の「ジュネーブ・コミュニケ」で示されたことを指摘しています。第4に、和平プロセスには重大な罪に関するアカウンタビリティの確保が欠かせないこと。第5に、すでに92%の搬出と廃棄が済んでいるシリアの化学兵器を全廃すること。そして第6に、過激派の脅威を含む紛争の地域的側面に取り組むことです。
-事務総長の演説「シリア危機:内戦とグローバルな脅威」は以下をご覧ください。
http://www.un.org/apps/news/infocus/sgspeeches/statments_full.asp?statID=2261
◆事務総長、化学兵器搬出の完了を歓迎
事務総長は6月23日、残る7.2%の兵器用化学物質がシリアから搬出されたことを歓迎しました。記者声明の中で事務総長は、戦闘地域で最も困難な任務を完了した化学兵器禁止機関(OPCW)・国連合同査察団に祝辞を述べました。そして、「合同査察団の任務の遂行が証明するように、政治的意志さえあれば、和平に向けた前進は可能」であると指摘しました。
-詳しくは以下をご覧ください。
http://www.un.org/sg/statements/index.asp?nid=7807
◆シリア保有化学兵器の100%を廃棄または搬出
OPCW国連合同査察団は今回の搬出により、申告済み物質の廃棄・搬出割合が100%に達したことを明らかにしました。搬出活動の完了に加え、シリアは申告済みの生産、混合・装填機材と弾薬をすべて廃棄したほか、申告済み化学兵器関連の施設も多く解体しています。これにより、OPCW執行理事会の決定待ち状態にある12カ所の生産施設を除き、申告済みの化学兵器はすべて廃棄されたことになります。合同査察団は、シリア保有化学兵器の全廃に向けた作業のうち、最も遂行が困難な任務は完了したと付け加えました。
-詳しくは以下をご覧ください。
◆シリアでは1,000万人に人道援助が必要 – 国連報告書
事務総長は、決議2139の履行に関する安全保障理事会への報告書(S/2014/427)で、最も厳しい状況にある人々に人道援助を届けるための取り組みが引き続き、遅延と妨害に直面していることを明らかにしました。その結果、人道状況は悪化を続けています。事務総長報告書によると、援助が必要な人々は国内避難民640万人を含め、計1,080万人に上るものと見られます。立ち入り困難な地域に暮らす人々の数は470万人に達した公算が高く、特にこれら地域での持続的な援助提供という点で、改善はまったく見られていないのが現状です。
事務総長は、紛争当事者に国際法上の義務遵守を改めて求める一方で、安全保障理事会に対し、暴力の停止と、シリア全土への必須人道援助の配給を要求すべく、さらに取り組みを進めるよう強く促しました。
-安保理への報告書は以下をご覧ください。
http://www.un.org/en/ga/search/view_doc.asp?symbol=S/2014/427
◆暴力の停止は依然として国連の緊急優先課題
ジェフリー・フェルトマン政治担当事務次長は6月23日、安全保障理事会に中東情勢に関する報告を行いました。事務次長はその発言の中で、レバノンで登録された難民が110万人を超えていること、シリアからのパレスチナ難民の入国が再び制限されていること、パレスチナ難民キャンプは引き続き憂慮すべき状況に置かれていることを指摘しました。フェルトマン事務次長は、シリアの前途に関する事務総長の6項目提案を改めて強調しました。
-詳しくは以下をご覧ください。
http://www.un.org/News/Press/docs//2014/sc11446.doc.htm
◆UNRWA、ヤルムークでの援助物資配給の早期再開を要求
6月21日、シリア当局とヤルムーク・パレスチナ難民キャンプ内の反体制派集団との間で合意が成立したとの報告を受け、国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は、劣悪な人道状況が続くヤルムークでの人道援助活動を直ちに再開、拡大しようとしています。UNRWAは6月25日の記者声明で、ヤルムークで暮らす民間人の差し迫ったニーズと中長期的なニーズを満たせるよう、速やかに人道的対応を行う準備を整えていると述べました。
-詳しくは以下をご覧ください。
http://www.unrwa.org/crisis-in-yarmouk
主な国連ニュース記事
被災コミュニティに必要なのは慈善ではなく連帯、と専門家
人道援助専門家は6月24日、国連経済社会理事会に対し、全世界の人道援助機関は慈善ではなく、紛争の絶えない被災コミュニティとの連帯を重視する方針を採用するとともに、援助活動家に特定の任務を果たすうえで必要なスキルをしっかりと身につけさせるべきだと述べました。
「人道援助資金の調達が産業化している現実を直視すべきです。積荷崇拝が蔓延しています。援助される側が無力であることが強調されすぎているのです」ナイジェル・フィッシャー国連シリア担当地域人道支援調整官はパネル・ディスカッションでこのように主張しました。
フィッシャー調整官は、続いて開かれたシリア危機により生じた課題に関する討論でも、援助の政治化をはじめとする大きな障害がある一方で、人道機関間に連帯感が欠けているため、援助の効果について正反対の主張が展開されていると述べました。
http://www.un.org/News/Press/docs/2014/ecosoc6629.doc.htm
国連の事務局、機関、基金および計画へのリンク
国連広報局(DPI)シリア特集ページ
http://www.un.org/apps/news/infocusRel.asp?infocusID=146&Body=Syria&Body1=
化学兵器禁止機関・国連合同査察団(OPCW-UN)
国連児童基金(UNICEF)
http://www.unicef.org/media/index.html
世界食糧計画(WFP)
http://www.wfp.org/countries/syria
人道問題調整事務所(OCHA)
http://www.unocha.org/crisis/syria
世界保健機関(WHO)
http://www.who.int/countries/syr/en/
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
http://www.unhcr.org/pages/4f86c2426.html
国連人権高等弁務官事務所(OHCHR)
http://www.ohchr.org/en/NewsEvents/Pages/NewsSearch.aspx?CID=SY
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
ソーシャルメディア:
Twitter: https://twitter.com/UN
Flickr: http://www.flickr.com/photos/un_photo/
YouTube: http://www.youtube.com/unitednations
Tumblr: http://united-nations.tumblr.com/
フォトギャラリー:
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)
http://www.unhcr.org/pages/49c3646c25d.html
国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)
http://www.unrwa.org/photogallery.php
人道問題調整事務所(OCHA)
http://www.unocha.org/media-resources/photo-gallery
国連児童基金(UNICEF)
http://www.unicef.org/photography/photo_2013.php#UNI82253
統合地域情報ネットワーク(IRIN)
http://www.irinnews.org/photo/
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