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地球温暖化防止条約京都議定書が発効

プレスリリース 05/017-J 2005年02月22日

地球温暖化防止条約京都議定書が2005年2月16日発効し、コフィー・アナン国連事務総長が、温室効果ガス制限に寄与することで地球を救うよう世界に呼びかけ、また国連環境担当責任者は、汚染を引き起こす世界最大の国である米国民に対し、たとえ政府が反対しても議定書を支持するよう強調しました。

1992年の国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)京都議定書のもとで、先進工業国は6大温室効果ガスの総排出量を、2008年から2012年までの5年間で、1990年の水準にまで削減するよう義務付けられています。これまで140カ国が条約を批准しています。

例えば欧州連合と日本は、排出量をそれぞれ8パーセントと6パーセント削減しなくてはなりません。多くの国にとって、京都議定書の削減目標達成は大きな課題であり、新たな政策や手段を導入する必要に迫られています。

「京都議定書は、これだけで人類を気候変動の危険から救えるものではありません」。1997年に交渉が行われた日本の古都・京都で開催された記念式典にあてたビデオメッセージの中で、アナン事務総長はこう述べました。「本日は記念すべき日ではありますが、これで満足してしまってはなりません」

「私は全世界に対し、強い意志を持って京都議定書を守り、早急に次のステップに向けた行動を取るよう呼びかけます。時間を無駄にしている暇はありません」

ヨーケ・ウォラー・ハンターUNFCCC事務局長は、基調講演において、過去7年間における気候変動の兆候を指摘しました。「極地域の氷、氷河、および降雨パターンにはすでに変化が起きています。干ばつ、洪水、ハリケーンなど、異常気象はますます増えています。さらなる調査が必要ですが、科学的調査で確認されたこれらの危険信号は、多くの国で気候変動問題を政治とビジネスの重要議題として取り上げる必要性を示しています」

国連環境計画(UNEP)のクラウス・テプファー事務局長は、米国が参加しない京都議定書は「死んでいるも同然」だとする人々を非難しました。米国二酸化炭素情報分析センターの数値によると、米国は全世界の化石燃料に関連した二酸化炭素排出の約24パーセントを占め、これは世界第二の排出国である中国の2倍近くになります。

「米政府は京都議定書に反対の決議を下しましたが、多くの州が議定書の精神に習い、温室効果ガス削減を導入、または計画しています」。メッセージの中でテプファー事務局長はこう述べました。

「また多くの企業が、新しい排出量取引制度と、それにより生じつつある市場に、積極的に参加しようとしています。政府自身も、エネルギー効率の向上と、水素や太陽熱などの代替エネルギー源開発を促進しています」

しかしテプファー事務局長も、さらなる努力を呼びかけるアナン事務局長に同調しました。「京都(議定書)を越えるため、迅速かつ着実に行動する必要があります。気候を維持するのに必要とされる温室効果ガス排出の60パーセント削減に向け、地球を正しい軌道に乗せなければなりません」

2001年にジョージ・W・ブッシュ大統領が議定書からの離脱を宣言した後は、ロシアの批准が議定書発効に不可欠となりました。発効には、UNFCCC加盟国55カ国以上が批准し、そのうち先進国の二酸化炭素総排出量が、1990年段階で全先進国の55パーセントを越えている必要があります。17パーセントを占めるロシアが11月に正式批准に踏み切ったため、総排出量が55パーセントという限界値を超え、発効に向けて時計が動き始めました。

テプファー事務局長は最近の報告から地球温暖化の「恐ろしい」影響を引用し、「コントロールを失って暴走する地球の姿」と表しました。

さらに事務局長は、UNEPと世界気象機関(WMO)が設立した各国政府への科学諮問機関である気候変動政府間パネル(IPCC)が数年前に、もし行動を起こさなければ、地球の気温は2100年までに5.8℃上昇すると発表したことにも言及しました。

また米国、オーストラリア、英国の3つのシンクタンクが合同で設立した国際気候変動タスクフォースが数週間前に発表した報告では、わずか2℃の上昇でも、地球は「後戻りできない」限界を超える可能性がある、としています。

「このような計算が間違っていることを心から願います。しかし、過去の理論的予測の多くは、悲しむべき現実となっているようです」

一方、国連後発途上国・内陸開発途上国・小島嶼開発途上国担当上級代表のアンワルル・K・チョウドリー氏は、気候変動と海面上昇が小島嶼開発途上国の持続可能な開発に与える悪影響を指摘しました。

「近年の気候変動の悪影響はかつてないほど顕著であり、世界各地でハリケーン、サイクロン、熱帯性の嵐、高潮、津波などの異常気象が、特に小島嶼開発途上国に大きな悪影響を与えています。これらの国々は、気候変動に対して最も弱いのです」とチョウドリー氏は強調しました。