UNODC報告書:「黄金の三角地帯でのケシ生産量は高止まりし、 地域統合への脅威に」
プレスリリース 14-080-J 2014年12月08日
*国連薬物犯罪事務所(UNODC)のプレスリリースです
UNODC 報告書:「黄金の三角地帯でのケシ生産量は高止まりし、地域統合への脅威に」
バンコク(タイ)2014年12月8日―「2014年のミャンマー及びラオスでのアヘンケシ栽培は、2013年の61,200ヘクタールから63,800ヘクタールに上昇した。これで過去8年間連続の増加となり、栽培量は2006年のほぼ3倍に達している」と国連薬物犯罪事務所(UNODC)が本日発表した新しい報告書は指摘している。
UNODCの報告書『2014年東南アジアアヘン調査:ラオス、ミャンマー』は、ミャンマーが依然として東南アジアにおける最大のアヘン生産国であるとともに、アフガニスタンに次いで世界で2番目の生産国であると述べている。またミャンマーとラオスを併せると推計で年間762トンのアヘンを生産しており、そのほとんどは、両国に違法に持ち込まれたアセチルアンヒドライドなどの前駆化学物質(麻薬・覚せい剤等の製造に用いられる化学物質)を用いて、推計76トンのヘロインに精製されて近隣諸国や地域外諸国の市場へと密輸されているという。
「黄金の三角地帯に運び込まれる前駆化学物質とそこから運び出されるヘロインとの双方向取引は地域の安定と法の支配に対する大きな障害になっています。」とUNODC東アジア・太平洋地域代表のジェレミー・ダグラス氏は語る。「この地域にヘロインに対する大きな需要が存在するために、国境を越えて暗躍する犯罪集団がこの化学物質とヘロインの双方向取引に乗り出すインセンティブとなっているのです。つまりヘロイン生産に必要な化学物質を持ち込むこと、そして生産したヘロインを中国、東南アジア、そして世界の他の地域にある市場に密輸し販売することの両方から大きな収益が得られるということです。」
UNODCの調査によると、その域内に多数の紛争地域と反政府グループを擁しているミャンマー北部のシャン州が今もなおミャンマー国内におけるアヘン、ヘロイン密造密輸に関わる活動の拠点であり、同州だけで黄金の三角地帯におけるアヘンケシ栽培の89パーセントを占めている。ラオスでは、ポンサリー、シェンクアン、フアパンの北部3県でアヘンケシの栽培が確認された。
さらにUNODCによれば、ケシを栽培する村で実施された経済調査の結果、生きていくために必要な食料の調達が不安定で、貧困に脅かされている村人たちにとってはケシ栽培から得られる現金収入が不可欠なものになっていることが示された。
「ケシ栽培が、貧困及びケシに代わる経済的な選択肢・機会の欠如と分かちがたく結びついていることは明らかです。」とUNODCラオス事務所長(カントリーマネージャー)のシェイク・トゥール氏は述べた。「ケシ栽培に従事する農民たちは悪人ではありません。彼らはたいていの場合、地域の中心地や市場から遠く離れた場所に住んでいるために、貧しく、食料の調達が不安定な状態に生きている人々であるだけなのです。彼らに必要なのはケシ栽培に代わる持続可能な生業なのです。」
UNODCはまた、アヘンやヘロインに関わるビジネスや取引によって、そもそもは良い効果を意図して進められたはずの地域統合や開発計画が脅かされるという点にも警鐘を鳴らしている。
「私たちはこうした脅威に対して行動しなければなりません。黄金の三角地帯は地理的に大メコン圏の中心に位置し、ケシ栽培の行われている地域周辺も含め、国境を越えた交通網を拡張し貿易障壁を緩和する計画が順調に進められている場所でもあります。東南アジアにおける違法薬物の取引から利益を得ている犯罪組織のネットワークは地域統合につけ込むことのできる位置にいるのです。」とダグラス氏は語った。
Link to full report: http://bit.ly/15PGwW3
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UNODC Regional Office for Southeast Asia and the Pacific
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