潘基文(パン・ギムン)国連事務総長による 第3回国連防災世界会議開会の辞 (2015年3月14日、仙台)
プレスリリース 15-024-J 2015年03月14日
おはようございます。
私は国連を代表して、すべてのパートナーを仙台にお迎えできたことを光栄に思います。この重要な会議を招請していただいた日本政府と、私たちを温かく迎えていただいた仙台市民の皆様に感謝します。
私は特に、天皇・皇后両陛下のご臨席と、災害リスク削減というこの重要問題に対するご支援を光栄に存じます。両陛下に感謝申し上げます。
皆様、
日本は国連と世界に極めて多大な貢献をしています。
私はまた、マルガレータ・ワルストロム特別代表が優れたリーダーシップを発揮する国連国際防災戦略事務局(UNISDR)に対するドナーにも感謝します。
各国代表の方々、
皆様、
皆様のおかげで、この会議はこれまでの歴史において最も高いレベルの防災会議となりました。
今回の会議は、全世界の人々とこの世界を持続可能な道へと導く私たちの行程の出発点にあたります。
災害リスク削減は、持続可能な開発と気候変動に関する前進を促します。
この会議で野心的な成果が生まれれば、私たちは、一連の持続可能な開発目標を備えた新たな持続可能な開発アジェンダ、普遍的で有意義な気候変動協定、そして計画を行動へと変えるための資金調達に至る道を歩むことになるでしょう。
この会議での成果が、7月のアジスアベバでの開発資金会議、9月のニューヨークでの持続可能な開発に関する特別首脳会議、そしてパリでの気候変動首脳会議に向けた勢いを生むことになります。
持続可能性は仙台から始まるのです。
私たちは先日、東日本大震災4周年を厳かに迎えたばかりです。
皆様、
今まさに、サイクロン・パムがバヌアツをはじめとする地域を直撃しています。
昨夜、サイクロンの目は首都ポートビラの付近を通過しました。この災害で、どれだけの被害が出たのかはまだ明らかになっていませんが、破壊や損害が広い範囲に及んでいることが危惧されます。
私は、人的被害が最低限に止まることを望みます。また、バヌアツの人々と代表の方々に対し、心からのお見舞いを申し上げるとともに、深い哀悼の意を捧げます。
私はけさ、バヌアツ大統領にお会いし、個人的に、そして国連を代表して、深くお悔やみを申し上げるとともに、私たちの支援に向けた決意と、バヌアツの人々との連帯をお伝えしました。
ここで私たちが話し合う内容は、全世界の数百万の人々にとって差し迫った現実です。私たちは今回の合意に向けた交渉で常に、これらの人々のニーズを注視しなければなりません。
私たちはすべての被災者と思いを共にしています。私たちが用意できる最高の贈り物は、この会議を大成功させることに他なりません。
各国代表の方々、
皆様、
10年前に採択された「兵庫行動枠組」は、数千人の命を救いました。
そして今、私たちは個人のエンパワーメント、コミュニティへの支援、そして約束に見合う資金の確保により、増大の一途をたどる世界のニーズに応えなければなりません。
特に、最も貧しく、社会的に最も弱い立場にある人々を援助しなければなりません。
気候変動は、特に小島嶼開発途上国や沿岸部に住む数億人にとってのリスクを増大させています。
災害が起きれば、障害者や高齢者は大きな危険に晒されます。
災害による犠牲者の10人に9人は、低所得国と中所得国の人々です。
私たちは特に、これらの国々に注意を向ける必要があります。しかし、災害リスク削減はすべての人の利益であり、すべての人の課題です。
経済がグローバル化する中で、私たちの世界はこれまでになく小さくなっています。
ある国で地震が起これば、別の国の金融市場に影響が及びます。
ある地域が暴風雨に見舞われれば、別の地域で経済の混乱が生じます。
災害リスク削減は、気候変動の影響に対する第一防衛線です。それは企業にとってスマートな投資であると同時に、人命を救うための賢明な投資でもあります。
全世界の損害額は現在、年間3,000億ドルを超えています。より多くの人々が被災すれば、この数字はさらに跳ね上がるおそれがあります。その一方で、この数字を劇的に低下させ、浮いた資金を開発に投資することもできます。
毎年60億ドルを防災に割り当てれば、2030年までに最大で3,600億ドルの節約も可能です。
強靭性は単に、地震に耐えられるように建物を強くすればよいという話ではありません。
真の強靭性は、国々にとコミュニティの間の強い絆から生まれます。それこそまさに、私たちがここ仙台に参集している理由です。
国連は統一的な行動計画により、こうした絆を強化する決意を固めています。是非とも皆様の参画をお願いします。
グローバルな連帯の精神に則り、私たちの世界をすべての人にとってより安全で豊かなものにしていこうではありませんか。
ありがとうございます。