プレスリリース 第3回国連防災世界会議、「地元レベルでの関与が防災には重要」(2015年3月16日、仙台)
2015年03月16日
本メディア用参考資料は国連広報局が3月16日に発行した英文の抄訳です。
閣僚級ラウンドテーブル(午前及び午後)
仙台での第3回国連防災世界会議は続き、発言者は「地元レベルでの関与が防災には重要」と述べる
仙台会議における発言者は本日、「災害リスク管理:困難の克服」と題された討議において、災害の破滅的影響を防ぐためのパラダイムシフトとして、トップダウン型のアプローチから、地元のリーダー、コミュニティ、地区、村々の協力に基づくボトムアップ型のアプローチへの転換を求めた。
防災への認識を新たにすることを目指し、国連防災世界会議の第3回閣僚級ラウンドテーブルに出席した閣僚などの高官は、様々なレベルの脆弱性及び能力、並びに異なる文化観及び政治観といった課題の中においても、自然災害の衝撃を弱め、その壊滅的・連鎖的影響を防ぐために積極的な地元にオーナーシップを持たせることの利点を検討した。
第一の防御となるのはパブリック・アウェアネスであり、その次が国、社会、そしてすべてのコミュニティ全体をあげた取組みだと述べた日本の赤澤亮正内閣府副大臣を含め、多くの発言者が地元の完全な関与と明確な責任分担の重要性について言及した。
赤澤副大臣は、人々が自ら助かろうとすることが重要であり、そのために国民をあらゆる取り組みでサポートすることが中央政府の役割だと述べ、日本は、防波堤や防災マップの作成にかなりの資金を投じてきてはいるものの、最終的には国民自身が自分の生命のために走って逃げることが非常に重要で、そうしないことには自らの命を救えないと語った。
インドネシアの国家防災庁長官は、同国が300を超えるエスニック・グループを抱えており、中央集権化は容易ではないため、この問題がより複雑になってきていると述べた。インドネシア政府は同じ州の近隣の地区や市どうしの連携は必須と考え、地方政府を防災に関与させようとしている。地方政府の知識は、「地元の知恵」だ、と同氏は述べた。
アフリカの高官の何人かは、地震、地滑りや干ばつから大洪水や熱帯サイクロンまでの様々な破滅的災害について述べた。ウガンダの災害対策・難民問題担当大臣は、同国が、国家とコミュニティ・レベルの権限が明確な制度構造を整備しつつあると述べた。
ボツワナの大統領府・行政担当副大臣は、村々やコミュニティなどの地元レベルの構想やプロジェクトについて言及し、その土地固有の伝統的な知識が一翼を担ったと述べた。また、脆弱なグループを対象とした対策の結果、ボツワナは干ばつによる死者をゼロに抑えたと話した。
エチオピアの農業省副大臣は、同国政府が「災害に強いエチオピア」を目指していると述べ、防災は草の根からの法的枠組の整備とともに同国の開発政策の最優先事項であると語った。
アフリカ連合の農村経済・農業委員は、現時点では、地域、準地域のプラットフォームが始動しており、アフリカ54カ国のうち、38カ国が国家プラットフォームを保有し、草の根レベルまでに至る作業委員会を設置している国もある、と2006アクションプログラムの実施の成功を語った。政策と戦略は導入されてきており、同連合は、引き続きアフリカ諸国と協力し、防災問題が「置き去り」にされないようにしていると同氏は述べた。
本日午後のラウンドテーブルⅣは、「都市部における災害リスク軽減」と題され、参加者は都市部における課題と防災並びに持続可能な開発の取り組み、気候変動の緩和、及び人道問題の改善とを連携させる方法を議論した。
ポスト2015防災枠組をめぐる交渉は引き続き行われ、明日3月17日のラウンドテーブルは、防災のための公共投資戦略を重点的に議論し、午後3時から始まる予定である。
閣僚級ラウンドテーブル III
エクアドル危機管理庁のマリア・デル・ピラール・コルネホ長官が議長を務め、「災害リスク管理:困難の克服」という表題でとして開催された今朝の閣僚級ラウンドテーブルは、全体会議と平行して行われ、国と地方のレベルでの防災に影響するガバナンス上のギャップに対処するための実用的な方法と手段を見出し、兵庫行動枠組みに引き続き2015年以降の枠組みの実施を促進することを目的とした。
議論に入る前に、議長は兵庫行動枠組みの実施状況につき、120カ国が政策と法的枠組みを修正し、190を超える国々が重点項目を指定し、そして85カ国が災害リスク軽減のための国家的基盤を確立した、と過去10年間の進展について述べた。しかしながら防災対策には国家レベルにおいて不十分な面があり、リスクの多方面的性質のために、防災対策は枠組みから外れた「単独」のスキームではあってはならなないものの、すべての区分を取り除くことが課題である、と語った。議長は、公共投資及び民間投資を誘致するための手段や、国家戦略を実行する上で政府が如何に地元のパートナーやコミュニティ・リーダーの積極的かつ包括的に参加を促進できるかといった課題を含む午前の会議で討議されるべき内容につき説明した。
様々な国、コミュニティ、地域からの参加者が発言する中、今後の道のりは容易であると考える人は誰もいなかった。自然災害に苦しむ人々の数は災害の頻度と過酷さの増加により倍増しており、脆弱性を最小限にし、強靭性を構築することは急を要すると多くの発言者が述べた。問題を軽減する上で効果的に貢献できるようにリーダーたちに自信、リソース、権限を持たせることにより、地方のガバナンスを強化させることも重要であると認識された。
日本の赤澤亮正内閣府副大臣は東日本大震災の歴史的規模の災害であり、その中で、16,000人が死亡し、いまだ数千人が行方不明であると述べた。赤澤副大臣は震災からの教訓は得たが、マグニチュード8.0以上の地震の20%が日本で起きている事実にも係らず、日本の国民はそのことについて「忘れていた」とし、「震災は自分にも起こりうる」ということを思い出させる必要があると述べた。赤澤副大臣は人々が自ら助かろうとするが必要であり、そのために国民をあらゆる取り組みでサポートすることが中央政府の役割だと述べ、日本は、防波堤や防災マップを作るのにかなりの資金を投じてきてはいるものの、最終的には国民自身が自分の命を守るために走って逃げることが非常に重要で、そうしないことには自らの命を救えないと語った。
同時に、赤澤副大臣は事前投資をすることで防災を確実にすることができるとし、防災のために必要なのは第一にパブリック・アウェアネスであり、第二に国、社会、そしてすべてのコミュニティ全体をあげた取組みであり、また構造的及び非構造的対策の組み合わせも重要であると語った。赤澤副大臣は、日本では震災が起こりうるということを「もう一度思い出してもらう」ために避難訓練を実施しており、また、新しい法律を制定し、絶対に起こしてはならない45の事態を定めたことを紹介した。更に、防災は政策の問題であり、政治の問題にされるべきではないと述べ、リスクは国民に伝えられるべきであり、国民は計画と準備によって災害と立ち向かうことが肝要だと訴えた。
インドネシアでは特に様々な文化と伝統を持つ300以上のエスニック・グループがいるため、討議されている問題は更に重要で複雑だとインドネシアのシャムスル・マーリフ国家防災庁長官は述べ、そのような社会で中央政府への集中化は難しく、インドネシア政府は同じ州の近隣の地区や市どうしの連携は必須という考えのもと、防災対策を地方政府に託してきたと説明した。地方政府の知識は、「地元の知恵」だ、と長官は述べた。
ナウルのアーロン・クック商業産業環境大臣は参加者の注意を海面上昇問題に向け、その現象が気候変動の衝撃を悪化させ、淡水や用水系統への海水の侵入を含む様々な問題を生じさせていると述べた。 大臣は、加えてリン鉱石の小島国であるナウルは36カ月間にも亘る干ばつにみまわれ、長期の干ばつが自然のエコシステムに多大なストレスを与えたことを説明し、災害リスクを管理したいが、そのためにはかなりの援助が必要だと訴えた。
アフリカ諸国の政府高官は、地震、地滑りや干ばつから大洪水や熱帯サイクロンまでの様々な破壊的災害の状況を説明し、危険管理を地方自治体に委ねる試みを現在進めていることを述べた。ウガンダのヒラリー・オネック災害対策・難民問題担当大臣は、同国が、国家とコミュニティ・レベルの権限が明確な制度構造を整備しつつあり、地方自治体はパートナーとして直接的に活動し、地域管理委員会はその過程において種々の機関を組み入れ、国レベルでは毎月一回討議をするための会議を行い、制度の枠組みと国の政策が整ったと述べ、現在国家災害法の法案が起草されていると語った。
ガーナのジェームズ・アガルガ内務副大臣は課題事項に注意を向け、特に防災・減災のための法律の制定に向けた政治的コミットメントの弱さを指摘し、準地域的機関においてもコミットメントは欠如しており、政府はリスク軽減のために予算を提供することに積極的ではなかったもののリスク対応には予算を組むことにより積極的であると語った。戦略的に防災対策が実際に実行されるよう法律の施行が必要であり、ガーナでは現在のリスクとその対応策を盛り込んだ法案を現在検討していると同氏は述べた。
ボツワナのディクガング・フィリップ・マクガレメレ大統領府・行政担当副大臣は、ボツワナが遭遇している問題を「限られた資源の国での甚大な災害」に特徴付けられると述べた。同氏は、国家的展望とその実現のために確立された機関について説明し、全ての人々の平等を保証するための幅広い支援に言及した。前の発言者と同様に、同氏は村々やコミュニティなどの地元レベルの構想やプロジェクトについて言及し、その土地固有の伝統的な知識が一翼を担ったと述べた。また、脆弱なグループを対象とした対策の結果、ボツワナは干ばつによる死者をゼロに抑えたものの、貧しい人々は定期的な鉄砲水に生活を脅かされ、家を破壊され、人としての尊厳を奪われており、その対応として政府は生活再建のために年間4百万ドルを費やしていると説明した。ボツワナ政府は2017年3月末までに悲惨な貧困を無くすことを公約しているが、制約はあり、競合する開発ニーズや防災や気候変動に向けた枠組みは困難を増すばかりであると同氏は言及した。
パレスチナのマハムッド・イッサ防衛長官は洪水と気候変動被害に対処するためのナショナルチームの擁立に出席者の関心を引いた。パレスチナでは、現在広範囲の法案を立案しており、近々防災法と国の防災戦略が定まることが望まれている。防災に向け、公共セクターと民間セクターは協力関係にあるものの、パレスチナではイスラエルの占領による「非自然災害」があると述べ、分離壁、入植地の建設、および土地と資源と財産のコントロールを指摘した。パレスチナとガザの「断絶」はすでに難しい状況をさらに悪化させるだろうと同氏は述べた。
エチオピアのミティク・カッサ・グティル農業省副大臣は同国政府が「災害に強いエチオピア」を目指していると述べ、災害の影響の最少化は優先事項であり、一方、防災は社会的及び経済的発展に貢献すると語った。事実、防災は草の根からの法的枠組の整備とともに同国の開発政策の最優先事項であり、同国政府は気候変動リスクへの強靭性を高める環境保護政策も展開している。より幅広い観点で見ると、同国は結果的な非常事態の対応に向けた対策より防災対策に重点を置いていると同氏は語り、その新アプローチの一つの要素に戦略的プログラムと投資の枠組みがあり、パートナーの支援で、エチオピアは指導を実施し、全ての関連団体間の協力体制を確実にする努力をしていると説明した。
防災に関して、ジョセフ・チェノットゥ駐日ローマ法王庁大使は、地方、国家、そして国際的なレベルで「強い結束」がなくてはならないと語った。大災害は最も脆弱な人々に一番大きく影響し、生命を奪うだけでなく、すでに脆い経済を一層不安定にすると同氏は述べ、2015年以降の行動枠組みには重大な役割を果たすのは家族であるということを念頭に入れた強靭性を主目的とした長期に亘る詳細計画の導入を求めた。復興には希望を持てることが必要であり、それ無くして再建ははじまらないと同氏は言及し、加えて、地域社会内の自己組織の能力は決して過小評価されるべきでなく、「外部」からの支援は避けるべきであると述べた。ポスト2015行動枠組みの最終採択文書は土着の文化のみならず他の文化や宗教的伝統についても触れられるべきであると同氏は訴えた。
アフリカ連合のローダ・ピース・ツムシメ農村経済・農業委員は、2006アクションプログラムの実施の成功を語り、現時点では、地域、準地域のプラットフォームが始動しており、アフリカ54カ国のうち、38カ国が国家プラットフォームを保有し、草の根レベルまでに至る作業委員会を設置している国もあると説明した。防災への政治的意志と理解が高まっており、防災政策を担当する政府役員の殆どは大統領府や内閣府のいずれかに属していると同氏は述べ、政策と戦略は導入されてきており、同連合は、引き続きアフリカ諸国と協力し、防災問題が「置き去り」にされないようにしていると語った。
当閣僚級ラウンドテーブルにはルクセンブルグ、マダガスカル、モーリシャス、アラブ首長国連邦、スペイン、モンゴル、フィンランド、ハンガリー、イタリア、タジキスタン、スーダン、英国、フィリピン、米国、フィジー、東ティモール、及びトルコの代表者が参加していた。
また、ニューカレドニア、経済協力開発機構(OECD),南アジア市民社会ネットワーク、国連ポスト2015開発計画担当特別顧問、国連訓練調査研究所(UNITAR)、および国連開発計画(UNDP)の代表者も発言した。
閣僚級ラウンドテーブル IV
「都市部における災害リスク軽減」と題された、午後のラウンドテーブルは、プラヴィン ・ジャムナダス・ゴーダン南アフリカ共和国協調統治・伝統業務大臣を議長として進められた。
高潮、気温上昇、洪水および水不足は、都市の住民ならびに都市部の複雑なインフラに対して最も脅威となるという認識のもと、参加者は都市部における課題と防災並びに持続可能な開発の取り組み、気候変動の緩和、ならびに人道問題の改善との連携について議論した。
当セッションの開始にあたり、ゴーダン議長は、都市人口は2050年迄に 63 億人、すなわち世界人口の3分の2に膨れ上がる予定であることに言及し、都市化現象の課題の重大性を強調した。都市人口の急速な上昇は、主に発展途上国で起こり、その中でもアフリカならびにアジアにおいて最も急速に起こるだろうとの見解を同氏は述べた。自然災害リスクに晒された地域では不十分な計画や管理に基づく既存環境は、リスクを増長させ、また、気候変動は、それらのリスクを激化させると議長は訴え、その中で暮らす貧困層やスラム街が最も脆弱であると強調した。
しかしながら、2030 年の都市環境の6割はまだ構築されていないため、過去の教訓から学び、都市政策と計画の中に復興力を組み込むまたとない機会があると議長は指摘し、財政的制約の中で実現する必要性を説いた。「新たな改良された防災指針に対するコミットメントの強化により戦略的機会は実現する。この機会を最大限活用しよう。」と議長は要請した。
続く討論の中で、複数の発言者が、都市部が急速に成長しているため、都市計画を推し進めるうえで明確な優先順位づけとベスト・プラクティスの共有が直ちに必要であると強く主張した。中国国家防災委員会の秦大河専門委員は、中国だけで2030 年までに都市人口は 10億人を超えるだろうと発言した。
国連人間居住計画(ハビタット)のホアン・クロス事務局長は、そのような都市部の急成長が人類の歴史の中で如何に著しく新しい変化であり、防災の責任を負っている人々にとって、如何に多くの圧力をかけうるかにという点について強調した。国際移住機構(IOM)のウィリアム・スウィング事務局長は、地方と都市部の両方の地域での災害が、災害難民の多くが都市部に移住するため、都市の成長を悪化させていると述べた。
その話の流れで、ウガンダのヒラリー・オネック災害対策・難民問題担当大臣は、都市人口の増加は、特に職を探している人々が集まる貧困地域において、しばしば計画より遥かに早く進むと指摘した。ウガンダでは都市人口が予測されるほど早く増加しないように、職業機会の分散化を図っていると同氏は述べた。
同様に、エラルド・エスカラ在日ペルー大使は、都市部での人口集中を減速させるために同国で実施している様々なサービスを国全体に広げるプログラム、およびより効果的な土地利用の規制について説明した。ガーナのエベネザー・コフィ・オフォリ・ポートュフィ国家災害管理機構長官は、都市部では、より適正な設備の分配を行うことにより、重要なインフラの周辺に集中している人口を減らすことが重要であると述べた。マダガスカルのスルナンジャサナ・オリヴィエ・マハファリ内務・地方分権化大臣は、都市の急成長に向けた具体的な計画を立て、洪水地域のような高リスク・エリアにおける人口増加を防ぐための土地管理のマスタープランの重要性について述べた。
都市近郊のエリアが急速な成長を遂げている場合には、災害リスクを管理するために、変化の状況を把握し続けることが必須となると複数の発言者が強調した。エジプトのライラ・イスカンダル都市再開発・非正規移住問題担当大臣は、エジプトでは貧困地域に焦点を当て、幅広いモニタリングと非政府組織(NGO)による啓蒙活動を行っていると説明した。国連人間居住計画のクロス事務局長もまた、日ごろから都市部のすべての近隣住民に対して都市災害リスクに関する情報提供を行うことの重要性を強調した。
日本の井戸敏三兵庫県知事もコミュニケーションの重要性を訴え、阪神大震災のような災害からの教訓を、世代を超えた都市文化の一部として継承されていく必要性を強調した。復興・防災を進めながらも、人々が、今後発生しうる災害に備えるように、災害について忘れないことが重要であると井戸知事は述べた。
都市の特別なニーズに対応して、地域のリスクの削減を優先させるという発言者もいた。パナマのミルトン・コーエン-エンリケズ大臣は、パナマでは中米における災害に対応するように地域救済センターを設立したと述べ、パナマは、救済支援物資やモニタリング機器を保管しておくには理想的な場所であると語った。欧州議会のエリザベッタ・ガルディーニ議員は、地方自治体がリスク管理を行うために必要とするツールを地域組織が提供することが重要であると述べた。
ニジェールのアブドゥール・カデル・アガリ大臣は、自国では都市の洪水に対する地域の備えが非常に重要である述べ、年間洪水管理に対する同国の総合計画には、データ収集や救済が含まれると付け加えた。ブラジルのジウベルト・マガルヘス・オッキ国内統合大臣は、自国では各都市が洪水に備えるために幅広い地域での降水量観測を行っていると発言した。コロンビアのハビエル・パヴァ防災・気候変動地方部門ディレクターもまた、防災と持続可能性に関して、水管理に関する地域の戦略を述べた。
地域の動員が重要である一方、都市部の防災には地方自治体のリーダーシップが必要であり、地方に権限を与えることが肝要であるとほとんどの発言者が強調した。ドイツのトーマス・ジルバーホルン経済協力開発省政務次官は、自国では強靭性を高めるための協力プログラムの実施の際、市民に権限を与えることに焦点を当てたと述べた。ポーランドのマチェイ・グラボウスキー環境大臣は、土地利用計画構想の成功には地元での信頼を構築することが重要であると述べ、防災戦略に関して消防軍団のような地元組織に助言を求めるべきであると加えた。
地方レベルでの行動の重要性を認める一方、参加者は国レベルでの指導、支援、および連携の重要性も強調した。その話の流れおいて、国連人間居住計画のクロス事務局長は、政府機関のすべてのレベルにおいて責任範囲を明確化することが必要だと強調した。ルーマニア内務省のラエド・アラファト大臣は、防災を決して地方任せにしてはならず、国家的システムの構築が極めて重要であると付け加えた。
ポルトガルのアナベラ・ロドリゲス内務大臣は、国家および地方レベルで同時にベスト・プラクティスを構築できるよう、自国では行政のすべてのレベル間での情報の共有化を最優先事項としていると述べた。エチオピアのミティク・カッサ・グティル農業省副大臣は、自国では都市部での防災指導を行う機関を設立し、同国のすべての都市部の防災をその機関が管轄していると述べた。イタリアのフランコ・ガブリエリ国家市民保護局長は、国の支援の下、地方に権限移譲された同国における都市防災体制について述べた。
何人かの発言者は都市部に特有の危険に焦点をあてた。セネガルのアブドゥレイ・ダウーダ・ダイヨ内務・公衆安全担当大臣は、自国では産業事故や急速に広がる生物学的脅威に対する不測事態対応計画を作成していると述べた。インドネシアのシャムスル・マーリフ国家防災庁長官を含む他の発言者は、病院や学校といった具体的な都市インフラの保護が最優先であるとした。
都市部の防災における協力体制の観点から、オランダのエリザベート・プルメン貿易・開発協力大臣は、自国では何世紀にも亘り革新的デザインを導入することにより、自然災害対策をしてきたと述べ、世界中の都市のために大胆な発想を展開することが重要であり、同国が引き続きそのような解決策の策定において支援を行っていくことを誓った。世界銀行グループのエデ・イジャズ・バスケス社会・都市・農村・強靭性グローバルプラクティス シニア・ディレクターは、世界銀行に支援されているプロジェクトと同様、都市部でのすべての開発協力プロジェクトは、防災という観点から入念に検査をされるべきであると述べた。
他、トリニダード・トバゴ、ガンビア、グアテマラ、ザンビア、カナダ、コロンビア、ノルウェー、アルメニア、ウズベキスタン、エクアドル、ならびに ネパールを代表する大臣や高官、さらに ヨルダンのアカバ市ならびにブラジリア大学の職員から都市部における災害リスク削減戦略に関する発言があった。