第13回国連犯罪防止刑事司法会議:より効果的な国際協力による国際組織犯罪との闘い
2015年03月10日
資料(公的文書ではありません)
より効果的な国際協力による国際組織犯罪との闘い
犯罪活動のグローバル化により、国際的協力を強化する必要が生じています。捜査、検察、犯罪の規制を国境内に限定することはできません。国際組織犯罪、腐敗、テロ行為など現代の犯罪の形態に後れを取らないためには、改善され、合理化されたメカニズムが必要です。
犯罪人の引き渡し、法的相互協力、受刑者の輸送、刑事訴追の移管、資産の回収を含む没収のための国際的協力、国際的な法執行機関間の協力には、さらなる協調的な取り組みが必要です。
国連条約の役割
国連の多国間文書は、国際的な協力基準の調整に役立ちます。国連国際組織犯罪防止条約(UNTOC)および追加的な国連腐敗防止条約(UNCAC)は、1988年の麻薬及び向精神薬の不正取引条約(麻薬及び向精神薬の不正取引の防止に関する国際連合条約)に続いて、国境を超える犯罪と闘うための規則、制度、共同責任の確立を目的に採択されました。これらの条約は、義務の調整、刑事事件で国際的に協力する際の法律的な隔たりへの対応に重要な役割を果たました。例えば、これらの文書は犯罪人の引き渡しと相互法的支援の基盤を提供しています。
これら3つの犯罪関連の条約には、ほぼ全加盟国が加わっています。2014年12月5日の時点で、1988年の麻薬の不正取引に関する条約の締約国は189、UNTOCは183、UNCACは174でした。
さらなる国際協力への刺激としての国連の多国間文書
世界的な犯罪関連の条約は、二国間および多国間協定を締結して、国際協力の有効性を高めることを加盟国に奨励しています。
究極の目的は、二国間および多国間協定を組み合わせて利用することで、加盟国がよりどころにできる法的根拠の範囲を拡大し、国際協力を強化することです。
本会議を通して展開されたモデル条約は、関連する条約の条項集約への指針を提供しています。犯罪人引渡モデル条約と犯罪に関する相互支援モデル条約は、司法協力の分野での二国間および多国間提携の展開にとって、特に貴重な手段です。
国連薬物犯罪事務所(UNODC)も、刑事事件での国際的協力を推進、支援する手段を展開していますが、監督官庁要覧(Directory of Competent Authorities)、法的相互支援要請ライターツール(Mutual Legal Assistance Request Writer Tool)、最近では、犯罪対策法共有電子リソース、(SHERLOC:Sharing Electronic Resources and Laws against Crime)として知られるナレッジマネジメント・ポータルなどがそれに含まれます。UNODCはさらに国連テロ対策オンライン学習プラットフォーム(Counter-Terrorism Online Learning Platform)も運営しており、実務者(大多数は刑事司法と法執行機関)にネットワークの構築、情報の交換、ベストプラクティスの共有のために門戸を開いています。
地域的展望
20世紀後半には、同じ地域の国家間や共通の法的伝統を共有する国家間で、地域協定や地域的枠組みの実現が見られました。例えば、欧州連合の加盟国は、特定の拒否事由がない場合は、手続きなしで欧州内発行の逮捕令状を承認、実施することに合意しました。カリブ共同体(CARICOM)にも逮捕状条約があります。
中央および管轄国内当局
国際的な協力要請をすばやく行い、それに対応する能力は、犯罪の深刻さと越境性を考えた場合、特に重要です。犯罪関連の条約の下で、加盟国は刑事事件での国際協力を潤滑にするため、中央当局および管轄国内当局を指定します。
これらの当局は要請の送信、受信、処理を調整します。法的相互協力に最もよく指定される中央当局は、法務省、検事当局、外務省です。
加盟国は効果的な中央当局に関する経験を広範囲にわたって共有していますが、重要項目に含まれるのは、24時間利用できること、様々な条約の下での法的相互協力に対応する能力、要請の品質管理などです。
中央当局が効果的な調整を実行する能力のレベルは、インフラストラクチャー、職員の配置、教育の機会の有無、に依存します。UNODCは、法的相互協力の要請にすばやく効率的に対応し、国際的な協力を潤滑にする能力を強化するための技術支援を加盟国に対して行っています。
地域協力ネットワーク
地域ネットワークも国際協力の強化に貢献します。UNODCは、組織犯罪に反対する検察官の米国中央ネットワーク(REFCO:Central American Network of Prosecutors against Organized Crime)、西アフリカ中央当局と組織犯罪に反対する検察官のネットワーク(WACAP:Network of West African Central Authorities and Prosecutors against Organized Crime)など、検察官と中央当局を結ぶネットワークを構築する加盟国を支援しています。
国際協力の強化
第13回となる本会議では、加盟国が国際条約と地域条約の既存の枠組みの中で、刑事事件に際して国際協力を仰ぐための法的根拠の範囲を拡大する機会についてさらに検討します。