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第13回国連犯罪防止刑事司法会議:犯罪防止と刑事司法の強化における市民の役割

2015年03月10日

資料(公的文書ではありません

犯罪防止と刑事司法の強化における市民の役割

 犯罪に効果的に取り組むためは、地域社会が直面する問題やそれへの対処方法について、地域社会自身の声を聞く必要があります。一般市民を巻き込むことはチャンスであり、課題でもありますが、刑事司法制度への信頼の向上につながる可能性があります。

犯罪を防止し削減するために、裏付けのある諮問・参加型のアプローチを採用する国家が増えています。このアプローチには、非政府組織、学者、民間セクターなど、社会のあらゆる分野が関与します。

犯罪防止への重要な参加者

地域社会主導の治安維持や、警察と市民の協議的かつ共同的な対処を促す同様のアプローチをとることで市民や地域社会と連携して犯罪の防止と規制を目指す場合、警察が特に重要な役割を果たします。さらに、裁判所は修復的司法を行うことで重要な役割を果たします。検察官は、訴追に代わる方法を検討することで犯罪防止に貢献し、法律扶助提供者、無料弁護士、ボランティアの面々が、弁護士を雇えない人々も司法制度を利用できるように支援します。

ソーシャルメディアと通信技術の役割

犯罪防止および刑事司法活動に市民参加を呼びかけるためにソーシャルメディアツールを利用することが増加しており、今後、さらに増える可能性があります。好ましい変化をもたらす大きな可能性を含みますが、同時に治安と司法の問題もあります。

急速に発達する情報技術と通信技術は、人々の生き方、働き方、交流の仕方に根本的な影響を及ぼしています。世界中の捜査当局が、地域社会との関係強化や捜査目的のために、ソーシャルメディアプラットフォームを使用して市民と対話することがあります。直接、生の情報を捜査目的で入手しようと、発生した犯罪や発生しつつある犯罪について、捜査当局が一般のソーシャルメディアの投稿を使用することも一般的になっています。

 国民と地元住民の参加

犯罪防止と刑事司法への地域社会の参加には、地元住民と地元組織の積極的な協力が関係し、世界中の多数の国々に長期にわたる成功の歴史があります。地域の問題に関する知識を持ち、社会の中の脆弱で危うい状況にある人々に手を差し伸べることのできる地域社会や市民団体と政府が連携することも増えています。実際、地方自治体、警察、学校、保健・社会サービス、民間部門が関与する多様な地域社会との協力関係が、犯罪防止に必須の要素になっています。

地域社会は、条件付きの釈放や社会復帰後の犯罪者の治療、社会復帰、再統合プログラムに関与することができます。刑務所の過密は多くの国にとって問題であり、世界的に再犯率が高いため、犯罪者の社会復帰のための政策と手段は非常に重要です。元受刑者の雇用に対する地域社会、企業部門、非政府組織の協力は、再犯の低下と元受刑者の社会復帰支援にとって極めて重要です。

地域社会による治安維持は、対話を通じて警察と地域社会との関係を変化させようとするものです。効果を発揮するには、女性、若者、高齢者、少数民族、移民、強制移住者、難民など、最も危うい立場にある人々の特有のニーズに応える必要があります。徒歩での巡回、近隣の警備、諮問機関、学校や大学での警察による講義、警察と地域社会、特に若者との交流を育む特別活動などのアプローチが挙げられます。一部の国々では★女性警察官のいる警察署★、またはジェンダーデスクを設けることで、女性の犠牲者や犯罪の目撃者に特有のニーズへの警察の対応を改善しています。

司法サービスの提供も、法の支配に基づく公正かつ人道的で効率的な刑事司法制度に必須の要素として、何よりも重要です。多くの国々において、様々な司法サービスを提供する地域社会ベースのグループが増加しており、法律扶助の範囲拡大に役立っています。近年、特に人口に対して弁護士の人数が十分でない地域で、パラリーガル(弁護士補佐)の役割への認識が高まっています。パラリーガルは被疑者と刑事被告人に権利について伝え、人々が刑事司法制度を利用しやすいよう助けます。

メディアによる情報公開

マスメディアは、犯罪防止戦略や危険因子の認識や対応方法について人々の理解を促し、犯罪の経済的社会的原因を理解する手助けをしています。ただし、マスコミは犯罪の認識に悪影響を与える可能性もあります。先入観にとらわれた報道や不正確な報道では、根本原因を説明できない場合があります。マスメディアが地域社会での暴力行為について過剰に報じることで、市民が厳しい対応を要求することもあります。

犯罪防止における被害者の役割

最後に、犯罪の犠牲者が犯罪者にその行為の責任を取ることを要求し、犯罪に対する適切な対応の決定に関与し、法の支配と刑事司法制度の説明責任の強化を助け、最終的には和解を達成することもできます。被害調査、被害者への影響を考える小委員会(victim impact panels)、修復司法のメカニズムなどを通じて犠牲者の体験を伝えることも、犯罪防止と刑事司法の強化につながります。

犯罪の犠牲者と目撃者の保護も大変重要です。脅迫を受けたり身体的に脅かされることはしばしばあり、殺害されることも時にあります。より効果的な刑事司法制度を実現するには、犠牲者と目撃者の保護プログラムを強化する必要があります。

国連のガイドラインの必要性

参加型プロセスに関する知識の欠如や政府に対する市民の不信感など、犯罪防止と刑事司法への幅広い市民参加に対してマイナスに働く要素は多数ありますが、国連のガイドラインの展開は、この分野で加盟国などの支援に役立つ手段となるでしょう。