国連の警告:「イラクは紛争激化と大幅な資金不足により人道的危機に瀕している」
プレスリリース 15-045-J 2015年06月05日
支援を必要とする人数は2015年末までに1,000万人に達する見込み
2015年6月4日、ブリュッセル-本日、イラクでの人道活動を統括する国連幹部は、早急に資金を調達できなければ、数百万人に上るイラクの紛争被害者を支援する重要な援助活動が停止に追い込まれる恐れがあると述べました。
紛争の深刻化を受けて国連や連携するNGOは、今後6カ月間にわたりシェルター、食料、水、およびその他の人命に関わるサービスを提供するための費用として、4億9,700万米ドルの資金拠出をドナーに要請しています。この資金を用い、政府軍とISILの武力衝突によって被害を受けたり避難生活を余儀なくされたりしている国内の幅広い地域コミュニティを対象に支援を行う計画です。
ブリュッセルの欧州議会で行われた支援要請の発表において、Lise Grande国連人道調整官(イラク担当)は、援助活動が風前の灯であると訴えました。
「イラク危機は、世界中で最も複雑かつ不安定な危機の一つです。人道機関はイラクを支援するためにできる限りのことをしていますが、直ちに資金を確保できなければ活動の半分以上が停止または縮小してしまいます。」
さらに、そうなった場合の影響は「壊滅的」なものになるだろうと、Grande氏は付け加えました。
イラクにおける人道ニーズは膨大で、拡大する一方です。現在800万人以上が命を救う緊急支援を必要としており、その数は2015年末までに1,000万人に達する恐れがあります。
すでに300万人近くが武力衝突のために住む場所を追われ、国内の3,000カ所を超える場所に散り散りになって暮らしています。派閥間の対立が激しさを増すなか、人権と法の支配は絶えず脅かされています。集団処刑、組織的強姦、恐ろしい暴力行為が蔓延しています。
資金不足はきわめて深刻で、支援の最前線では77の診療所が閉鎖に追い込まれ、100万人以上の食糧配給が削減されました。追加の資金供給がなければ、さらに多くの救命サービスが中止されることになります。
「国際社会はイラクの人道ニーズに応えるために、まさに最大限の努力をしなければなりません。命を救う支援だけでなく、紛争や暴力に見舞われ続けている今の世代の子どもたちを救うための手段として、教育へのアクセスに注力することがきわめて重要です」と、欧州議会開発委員会のLinda McAvan委員長は述べました。
援助活動はイラク政府との緊密なパートナーシップのもとで運営されていますが、石油収入の低下にともなって政府の財源は大幅に減少しています。財政面、ロジスティクス面で実現可能となり次第、援助活動の責任はただちに国家当局に移譲されます。
「欧州議会は、イラクの治安と政治的安定を保証して国の分裂を阻止するために人道援助が果たす重要な役割を称賛すべく、今回の支援要請の発表を主催しました。多くの欧州諸国はイラクの状況について責任を負っており、同国の存続を保証するためにはいかなる金額の人道援助も正当化されるということを忘れてはなりません」と、欧州議会外交委員会のJavier Couso Permuy副委員長は述べました。
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イラクにおける国連の活動
イラクにおいて国連は、イラク政府の要請のもと、政治、選挙、人道問題に関わる国の開発活動を支援しています。国連は、イラク政府と国民に対して助言や支援を提供するとともに、民主主義への移行過程において国民と国家機関を強化するための能力構築にも取り組んでいます。
イラクの国連は、国連イラク支援団(UNAMI)と国連カントリーチーム(UNCT)で構成されています。UNCTには、現在イラク国内で活動している20の国連機関が含まれます。
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