アディスアベバ:国連、開発資金会議の成果を2015年最初の節目として歓迎
2015年07月18日
潘基文(パン・ギムン)国連事務総長と国連高官は2015年7月16日、将来の持続可能な開発アジェンダと気候変動についても大事な決定が期待される重要な1年で最初の節目として、アディスアベバで開催された開発資金会議の成果を歓迎しました。
「アディスアベバ行動目標は、すべての人々が豊かさと尊厳を実感できる世界の構築に向けた重要な一歩となります」。潘事務総長は声明の中でこのように述べ、この成果が開発のためのグローバル・パートナーシップを再び活性化させ、将来の開発アジェンダ実施に向けた強力な基盤になると付け加えました。
第3回開発資金国際会議の閉幕にあたって採択されたアディスアベバ行動目標には、グローバルな金融慣行を一新し、幅広い経済的、社会的、環境的課題に取り組むための投資を生み出す一連の大胆な措置が盛り込まれています。
アディスアベバ行動目標は、モンテレー(メキシコ)とドーハ(カタール)で開催されたこれまでの会議の成果を土台としつつ、すべての資金源に目を向け、技術や科学、イノベーション、貿易、能力構築など、幅広い問題に関する協力を取り扱うものとなっています。
潘事務総長は、アディスアベバ会議が今年3つある大きな節目の最初にあたることを指摘しました。「加盟国は今、この第1のハードルを乗り越えました。私たちはこれから、9月にニューヨークで開かれる持続可能な開発サミットの成功と、12月のパリでの有意義な気候変動協定の成立に向け、さらに一層の努力を続けなければなりません」
会議で事務局長を務めた呉紅波(ウ・ホンボ)国連経済社会局担当事務次長は、100を超える具体的な措置といくつかの具体的成果物からなるパッケージを伴う具体的な一連の政策措置が、行動目標に盛り込まれているという事実を指摘しました。
サム・クテサ国連総会議長は、最終本会議での声明で「アディスアベバ行動目標は、より平等で持続可能な世界の中で、すべての人にとってよりよい未来を築こうという私たちの集団的決意を表すものです」と述べ、ポスト2015開発アジェンダの実施を支援する具体的な成果物、政策および行動について合意ができ上がったことを強調しました。
国際社会が「ともに貧困を根絶し、すべての人の生活を改善し、地球を守るための大事な旅へと出発」する中で、議長はすべての代表団に対し、行動目標の全面的な実施を呼びかけました。
「今回の会議が大きな成果を上げたことにより、9月にニューヨーク、そして12月にパリで開催される歴史的なサミットに向け、私たちが歩を進めていくための強力な基盤ができ上がりました。私は、ポスト2015開発アジェンダで野心的な成果を確保するという、皆様の変わらぬ決意を頼りにしています」議長はこのように述べています。
「アディスアベバ行動目標は、持続可能な開発への資金提供と、持続可能な資金の開発に向けたグローバルな枠組みを提供しています。この新たな枠組みは、すべての資金の流れと政策を、経済的、社会的、環境的な優先課題と整合させるものです」
同じく最終本会議で発言したレティー・チワラUNウィメン駐エチオピア・アフリカ連合・国連アフリカ経済委員会(UNECA)代表は、アディスアベバ行動目標がその他の目標と同じく、ジェンダーの平等の達成、すべての女性と女児のエンパワーメント、および、女性の人権の全面的な実現を、持続的かつ包摂的で公平な経済成長と持続可能な開発の達成に欠かせない要素としていることを指摘しました。
プムズィレ・ムランボ=ヌグカUNウィメン事務局長に代わり発言したチワラ代表は、世界のどの国もこれまで、ジェンダー格差を解消できていないと述べました。女性が無給で担っているケアや家事労働の削減と再分配、性と生殖に関する健康と権利、女性と女児に対する暴力、女性と平和、安全、さらには参加とリーダーシップなど、経済的エンパワーメントをはじめ、女性と女児にとって極めて重要な分野への投資が慢性的、恒常的に不足していることによって、ジェンダーの平等の実現や、女性と女児のエンパワーメントが妨げられているからです。
チワラ代表は「ジェンダーの平等に関する新旧の約束を実現するためには、あらゆるレベルのすべての資金源から、規模においても、範囲においても、野心においても、質においても、かつてなく変革的な資金の提供が必要です」と述べたうえで、すべての加盟国に対し、「ジェンダーの平等および女性のエンパワーメントのための変革的資金に関するアディスアベバ行動計画」を支持、実施するとともに、ジェンダーの平等を達成し、すべての女性と女児のエンパワーメントを図るために必要な財政的推進力を次世代の開発目標に提供するよう呼びかけました。
加盟国が合意した新規の取り組みの中には、9月にニューヨークで開催予定のサミットにおいて、持続可能な開発目標を支援するさまざまな主体間の協業を推進するための「技術促進メカニズム」を立ち上げることが含まれています。
加えて、各国はインフラ・ギャップを特定し、これに取り組み、投資と協力に向けた機会を発掘し、環境的、社会的、経済的に持続可能なプロジェクトの確保を図るための「グローバル・インフラ・フォーラム」の設置にも合意しました。
また、年次開発資金フォーラムや、開発資金会議の成果実施の進捗状況について毎年、報告を行う機関合同タスクフォースの設置を含め、置き去りにされる国が出ないようにするため、開発資金会議のフォローアップ・プロセスを強化するという決定も下されています。
各国はさらに、行動目標において、国内総所得(GNI)の0.7%を政府開発援助(ODA)に、また、その0.15%から0.20%を後発開発途上国(LDC)への援助に充当するという目標の達成も、改めて約束しました。
「私たちはこの成果に心から、本当に満足しています」。アミーナ・モハメッド事務総長特別顧問(ポスト2015年開発計画担当)は、特にODAに関する決定を歓迎し、このように述べています。「金融危機の数年後に私たちがこの話し合いを始めた時点で、0.7%の目標について語ろうとする向きはほとんどありませんでしたが、今日はこうして、新たな約束を取り付けることができました」
ギャン・チャンドラ・アチャリア国連後発開発途上国・内陸開発途上国・小島嶼開発途上国担当上級代表も、ODA目標の再確認を歓迎しました。
アチャリア上級代表は「アディスアベバ行動目標では、極めて前向きな約束が明らかにされました。GNIの0.2%をLDCへの援助に充当するという目標の実現も、期限付きで掲げられました。この目標は以前にも打ち出されましたが、やや希望的なものにすぎませんでした。しかし今回は、実現に向けた強い意欲が見られます」と述べています。
行動目標はまた、国連国際租税協力専門家委員会の実効性と運営能力、さらには経済社会理事会との連携を向上させるため、その活動に対する支援も強化するよう求めています。
気候変動についても、行動目標は先進国に対し、開発途上国のニーズに取り組むため、2020年までに、幅広い資金源から年間1,000億ドルを共同で動員するという目標の達成を呼びかけています。各国はまた、無駄な消費につながる非効率な化石燃料への補助金を段階的に廃止することも約束しました。
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