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事務総長、パリ気候協定発効に向けた第一関門通過にあたり、「無駄にできる時間はない」と指摘

2016年09月30日

パリ協定発効に関するハイレベル・イベントで発言する潘基文事務総長(中央左)©UN Photo/Cia Pak

潘基文(パン・ギムン)国連事務総長は2016年9月21日、この4月に世界のリーダーが署名したパリ協定に55カ国以上が加入したことを発表しました。これによって、世界が低炭素成長とより持続可能な未来に至る道を歩むよう目指す画期的な条約の発効に向けた2つの関門のうちの1つが、正式にクリアされたことになります。

事務総長は、ニューヨークの国連本部で開かれたパリ協定発効に関するハイレベル・イベントで「私が任期を終える年末までに、パリ協定が発効することを確信しています。それは多国間協調主義にとって、大きな成果となることでしょう」と述べました。

会合では、新たに31カ国が協定批准文書を寄託したことで、批准国は合計で60カ国となり、合わせて世界の温室効果ガス排出量の47.5%以上を占めるに至りました。

昨年12月、国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)の締約国195カ国が、パリで開催された会議(通称COP21)で採択したこの協定は、各国に対し、気候変動と闘い、持続可能な低炭素の未来に必要な行動と投資を加速、本格化するとともに、気候変動による影響の増大に適応するよう呼びかけています。その中には、地球の平均気温上昇を摂氏2度を超えないよう抑えつつ、さらにこれを摂氏1.5度にまで引き下げるよう努めるという、具体的な目標も盛り込まれています。

4月22日、ニューヨークで開催された署名式で、1日としては史上最多の175カ国が署名したパリ協定は、世界の温室効果ガス排出量の55%を占める55カ国以上が批准書を寄託してから30日後に発効します。ハイレベル・イベントを終えた段階で、世界の排出量の7.5%を占める国々からの正式な承認が引き続き必要となっています。

9月上旬には、世界の2大排出国である中国と米国が協定に加わりました。

事務総長は、2016年中の協定発効に向けた「絶大なる支援」に心を強くしたと語り、世界のリーダーの「多様性に富んだグループ」が、今年中に批准と法的文書の寄託を公約していることを明らかにしました。このグループには、オーストラリア、オーストリア、ブルガリア、カンボジア、カナダ、コスタリカ、コートジボワール、欧州連合(EU)、フランス、ドイツ、ハンガリー、カザフスタン、ニュージーランド、ポーランドおよび韓国が含まれています。

事務総長は「これが実現すれば、パリ協定発効に向けた最後の関門を通過できます」と強調し、すべてのリーダーに対し、今年中に協定に加入するための国内手続きを加速するよう訴えました。


制作:国連広報局(日本語字幕・国連広報センター)

また、事務総長は「今年が終わるころ、私たち全員がともに共通の利益、すなわち持続可能な未来と、私たちに共通の故郷を守るために行動を起こせたことを、誇りをもって振り返ることができると期待しています」と付け加えました。

パリ気候会議から9カ月

ハイレベル・イベントの冒頭、事務総長は、署名式以降これまでの間に協定への正式加入を済ませた29カ国(世界の排出量の40%を占める国々)に賛辞を送り、協定発効に向けた積極的な取り組みが実を結びつつあることを祝福しました。

事務総長は「無駄にできる時間はありません。今日の会合で、パリ協定の年内の発効が一歩近づくことになるでしょう」と強調しました。

事務総長は、パリ協定にかつてないほどの継続的かつグローバルな勢いがついていることを歓迎しつつ、世界のリーダーに対し、この勢いに力を得て協定の発効を確実にし、地球の健全化に向けて気候リスクを削減するよう呼びかけました。

事務総長は「パリ協定に対する目覚ましい支持は、気候変動という課題の緊急性と規模の大きさを反映しています。排出量が増大する中で、地球の気温、そしてリスクも高まっているからです」と語りました。

「気候変動の影響は増大しています。どの国もコミュニティーも、その影響を逃れられませんが、最初に最も深刻な影響を受けるのが、脆弱な立場にある人々です」事務総長はこのように付け加えています。

事務総長はまた、ハイレベル・イベントで批准文書を寄託した国々、そして年内の協定加入を約束するビデオ・メッセージを提出した世界のリーダーにも謝意を表明しました。

「私はこの共通したリーダーシップの発揮を称賛します。私たちが気候変動のリスクを抑え、健全な地球ですべての人が平和と尊厳、豊かさを感じられる世界を作り上げる手段は、このような連帯以外にはないからです」事務総長はこのように述べました。

また、事務総長はハイレベル会合に続く記者会見で、パリ気候会議からまだ9カ月しか経過していないことも指摘しました。

事務総長は「このことは、私たちが抱える問題の緊急性をよく表しています」と改めて強調するとともに、パリ協定によって「私たちがグローバルな排出量を削減し、気候変動に対するレジリエンスを高める実質的なチャンスが到来した」と付け加えました。

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