国連海洋会議が開幕: 海洋環境破壊を食い止めるための自主的コミットメントが本格化
プレスリリース 17-024-J 2017年06月06日
600件を超えるコミットメントを受領、各国は「行動の呼びかけ」に合意
世界の海の健全性について話し合う初の国連海洋会議が2017年6月5日、ニューヨークの国連本部で開幕しました。これに合わせ、海洋環境の改善に向けて行動を起こすための各国や企業、市民社会による自主的コミットメントは急増しており、こうした取り組みは今後さらに増えることが予測されます。
これら自主的コミットメントが現時点で600件を超え、さらに増大を続けていることを受け、各国の首脳と閣僚は海洋関係のリーダー、専門家、企業、市民社会団体とともに、世界の海の健全性を取り戻すための解決策について話し合います。自主的コミットメントは、サンゴ礁の保護や持続可能な漁業の強化、プラスチック汚染の削減、さらには気候変動が海洋に及ぼす影響への取り組みに至るまで、幅広い海洋問題を対象としています。
日本からの自主的コミットメントには、既存の「アジア太平洋3R推進フォーラム」の枠組みを活かした取り組みや、国立研究開発法人海洋研究開発機構(JAMSTEC)による小中学生を対象としたマイクロプラスチックに関する国際環境教育プログラムの立ち上げ、日中韓三カ国環境大臣会合(TEMM)の枠組みを通じた海洋廃棄物管理の取り組みなどが含まれています。
ピーター・トムソン国連総会議長は「国連海洋会議は、私たちの活動が蓄積されたことで海が陥った劣化のサイクルを逆転させるプロセスを実質的に立ち上げる場となります」と語っています。さらに議長は「会議で自主的コミットメントをさらに充実させ、『パートナーシップ対話』で海洋問題の実際的な解決策を策定し、『行動の呼びかけ(Call for Action)』を会議で確認することにより、私たちは悪循環を逆転させるプロセスをスタートさせるのです」と語りました。
会議は9日の閉幕にあたり、各国間ですでに合意ができ上がっている「行動の呼びかけ」(http://bit.ly/2rzRT2q)を正式に採択します。その他、解決策を中心に話し合う7回のパートナーシップ会話の結果と、行動への自主的コミットメントも成果に盛り込まれます。
国連海洋会議の事務局長を務める呉紅波(ウ・ホンボ)国連経済社会問題担当事務次長は「会議では、持続可能な開発のために海洋と海洋資源を保全し、持続可能な形で利用するという持続可能な開発目標(SDGs)目標14をいかに達成すべきかについて話し合います」と語り、次のように付け加えています。
「会議ではとりわけ、全体会合のほか、SDGs目標14で定められたターゲットを中心に取り上げる双方向的なマルチステークホルダー型パートナーシップ対話を7回にわたって行います。これら対話のねらいは、現在までに成果を上げている取り組みを拡大、反復することにあります。また、目標14の達成を進める新たなパートナーシップも発足する予定です」
「行動の呼びかけ」はSDGs、特に海洋問題に取り組む目標14を達成する必要性を強調しています。各国は「行動の呼びかけ」の採択により、ビニール袋や使い捨てプラスチック製品をはじめ、プラスチックとマイクロプラスチックの利用を減らすための長期的かつ本格的な戦略の実施に合意します。
各国はまた、海洋と沿岸部の酸性化、海水面と海水温の上昇、さらには気候変動が海洋に及ぼすその他の悪影響への取り組みに貢献する効果的な適応・緩和措置の策定と実施にも合意しています。「行動の呼びかけ」は、気候変動に関するパリ協定にも留意しています。
「行動の呼びかけ」には、マングローブ、潮汐湿地、海草、サンゴ礁などの沿岸・ブルーカーボン生態系や、さらに幅広く相互連関する生態系を保護するとともに、できる限り短期間で魚種資源を少なくとも最大の持続可能な漁獲水準に回復することを含め、持続可能な漁業管理を強化するための措置が盛り込まれています。各国は、過剰漁獲能力や乱獲を助長する一定種類の漁業補助金を全面的に禁止し、違法・無報告・無規制(IUU)漁業を助長する補助金を廃止するよう要請されています。
国連海洋会議の開催に先立ち、国連は世界の著名人に呼びかけ、ビデオメッセージを募りました。日本からは、先月、国連食糧農業機関(FAO)の親善大使(日本担当)に就任した国谷裕子さん、そして、「なんプロ(なんとかしなきゃ!プロジェクト)」の著名人メンバーで東京海洋大学名誉博士のさかなクンのお二人が、それぞれメッセージを寄せてくださっています。漁業資源の減少、海洋酸性化、プラスチック廃棄物による汚染など海が危機的な状況にあること、それに対して自分はどのようなアクションをとるかについて語ったビデオメッセージは、国連海洋会議、世界環境デー(6月5日)、世界海の日(6月8日)への理解を促すツールとして、ソーシャルメディアやオフィシャル・イベントで活用されます。このほか、国連環境計画親善大使で米国俳優のドン・チードル氏らもメッセージを寄せています。
国連海洋会議の模様はソーシャルメディア #SaveOurOceanでシェアされています。ぜひご覧ください。
各イベントについて詳しくは、下記のウェブサイトをご覧ください。
国連海洋会議:https://oceanconference.un.org/
世界海洋祭:https://www.worldoceanfest.org/
世界環境デー:http://worldenvironmentday.global/
世界海の日:http://www.un.org/en/events/oceansday/
SDGsメディアゾーン:http://sdgmediazone.org/oceansconference/
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