プレスリリース:移住の管理は、現代の国際協力の最も緊急かつ重要な課題の一つ(ニューヨーク、2018年1月11日)
プレスリリース 18-001-J 2018年01月12日
「移住は世界全体に広がっている現実である」アントニオ・グテーレス国連事務総長は、きょう発表された報告書でこのように断言しています。「この分野で協力する必要性について議論する時期はすでに終わっており、それを管理することが、現代における国際協力の最も緊急かつ重要な課題の一つ」となっています。
報告書『Making Migration Work for All(移住の利益をすべての人に)』は「安全で秩序ある正規移住のためのグローバル・コンパクト」の策定プロセスに対する事務総長の貢献として2018年1月11日、国連総会に提出されました。報告書は、建設的な国際協力に向けた事務総長のビジョンを披露するとともに、移民自身のほか、その受け入れコミュニティーと出身社会を含め、すべての人の利益となるように、移住の管理をどう改善できるかについて検討を加えるものとなっています。
事務総長は「移住が経済成長とイノベーション、持続可能な開発の原動力である」ことを強調しています。報告書は、現実的な課題こそあるものの、移住は経済的にも社会的にも、移民と受け入れコミュニティーの双方に利益をもたらすことを示すはっきりとした証拠が固まっていることを明らかにしています。グローバル・コンパクトは加盟国にとって、こうした利益を最大限に高め、移住の課題によりよく取り組む機会となることでしょう。
報告書によると、国際移民の数は2億5,800万人と、世界人口の3.4%に上りますが、この数はさらに増えるものと見られています。移民の大半は安全で秩序ある正規の方法で移動しているものの、生死に関わる危険に直面する移民もかなりの数に上ります。報告書の指摘によれば、約600万人の移民が強制労働の状態に陥っているほか、サヘルや東南アジアを含む地域では、最近の移民と難民の大規模移動により、深刻な人道危機が生じています。報告書は、この問題に取り組む特別な戦略をグローバル・コンパクトに盛り込むよう求めています。
報告書は、移住の経済的な利益を強調しています。移民はその収入の85%を受け入れコミュニティーで使い、残りの15%を母国に送金しています。2017年だけでも、移民の送金額はおよそ6,000億ドルに達していますが、これは政府開発援助(ODA)総額の3倍に相当します。移民全体の48%を占める女性は、男性よりも収入の多くを母国に送金していますが、男性に比べて労働政策と雇用慣行面での制限が大きいため、その経済収入と社会貢献は制約を受けています。加盟国は、グローバル・コンパクトの中心要素として「ジェンダーの平等、および、女性と女児のエンパワーメントを促進する」よう強く促されています。
事務総長は各国政府に対し、主権を損なうのではなく、これを強化するような生産的かつ人間的なグローバル移住システムの確立に向けて連携することを奨励しています。政府が労働市場ニーズの現実的分析に基づき、合法的な移住の経路を拡大すれば、国境検問所の数も、違法に働く移民も、非正規移民の虐待も減る公算が大きいからです。
事務総長は、移住に対する新たなアプローチが必要だと主張しています。「今こそ、国際移住機関(IOM)をはじめとする国連システムのすべてを結集し、加盟国による移住への取り組みを支援すべき時である」事務総長はこのように述べ、加盟国がグローバル・コンパクトに基づき移住をよりよく管理できるよう、国連システム内部で新たな方法の発掘に努める決意を表明しています。
追加情報:
国連加盟国は間もなく「安全で秩序ある正規移住のためのグローバル・コンパクト」の最終交渉に取り掛かります。その後、グローバル・コンパクトは2018年中に最終化される予定です。
事務総長報告書は、http://refugeesmigrants.un.org/2017-secretary-generals-report でご覧になれます。
グローバル・コンパクトについてさらに詳しくは、http://refugeesmigrants.un.org/migration-compact をご覧ください。
お問い合わせ先:
Nora Sturm, sturm@un.org, +1 212 963 9338
Office of the UN Special Representative for International Migration(ニューヨーク国連本部)
Jon Greenway, greenway@un.org, + 1 212 963 2124
Donna Cusumano, cusumanod@un.org, +1 212 963-1148
Strategic Communications, UN Department of Public Information(ニューヨーク国連本部)
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