事務総長、デジタル協力に関するハイレベル・パネルを設置 安西祐一郎氏(日本)がメンバーに
プレスリリース 18-042-J 2018年07月18日
2018年7月12日-アントニオ・グテーレス国連事務総長は本日、「デジタル協力に関するハイレベル・パネル」の設置を発表しました。
「デジタル技術によって可能となる変化の規模や広がり、スピードは過去に例がない一方で、現状の国際協力は、その手段においても水準においても、この課題に対応できていません」とグテーレス事務総長は述べています。
「デジタル技術は、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に大いに貢献するとともに、独特な形で国境を越えて広がっています。よって、デジタル技術の社会的、経済的な潜在能力を十分に発揮させながら、それによるリスクを軽減し、意図せぬ結末が起きないようにするためには、分野や国境を越えた協力が欠かせません」
事務総長は、ビル&メリンダ・ゲイツ財団共同会長のメリンダ・ゲイツ氏と、アリババグループ会長のジャック・マー氏をパネルの共同議長に任命しました。
パネルは政府、民間企業、市民社会、学界、技術社会でさまざまな専門分野を代表する計20人のメンバーで構成されます。メンバー全員の一覧は下記のとおりです。
事務総長はパネルに対し、関連の人権規範に配慮しつつ、すべての人にとって安全かつ包摂的なデジタルの未来を確保するため、協調的で学際的なアプローチの重要性に関し、幅広く公の議論に貢献するよう要請しました。パネルには、政策、研究、情報面でのギャップを明らかにし、デジタル空間での国際協力を強化するための提言を行うことが期待されています。
メリンダ・ゲイツ氏は次のように述べています。「テクノロジーそれ自体は善でも悪でもありません。いかに強力ではあっても、それは一つの手段にすぎません。大事なのは、世界がそれをどう利用するかです。最貧層や最弱者層をはじめ、すべての人々がデジタル技術に平等にアクセスできれば、それは自分たちと家族の生活を改善し、将来のあるべき姿に関する対話で発言するために用いられることでしょう。こうした幅広いエンパワーメントを可能にすることこそが、このパネルの趣旨です」
パネルは2018年9月下旬に第1回の直接会合を開催し、9カ月以内に最終報告書を事務総長に提出する予定です。
パネルはその活動の一環として、幅広い意見の聴取を行いますが、その中には少なくとも2回の公開イベントのほか、9月からオンライン参加活動などを通じ、全世界から意見を募るための一般参加型プロセスも含まれています。パネルの活動を支援するため、ドナーからの資金供与により、ニューヨークとジュネーブに小規模な事務局も設けられることになっています。
ジャック・マー氏は次のように語っています。「あらゆる産業が間もなくデジタル化されることでしょう。それは暮らしのすべての側面に大きく影響するはずです。今のデジタル時代では、データとテクノロジーが幅広く利用できるようになっており、これを物理的、能力的に利用できる者にとって、起業や経済成長、生活の質的改善が可能になっています。デジタル時代の恩恵が全員に行き渡るようにするためには、グローバルな部門横断的協業が不可欠です」
デジタル協力に関するハイレベル・パネルのメンバー
共同議長
- メリンダ・ゲイツ(米国) ビル&メリンダ・ゲイツ財団共同会長
- ジャック・マー(中国) アリババグループ会長
メンバー
- ムハンマド・アル・ガルガーウィー(アラブ首長国連邦) アラブ首長国連邦内閣担当・未来相
- 安西祐一郎(日本) 独立行政法人日本学術振興会 顧問・学術情報分析センター所長
- ニコライ・アストルップ(ノルウェー) ノルウェー国際開発大臣
- ヴィントン・サーフ(米国) Google副社長兼チーフ・インターネット・エヴァンジェリスト
- ファディ・チェハデ(米国) ABRY Partnersパートナー
- イザベル・ゲレロ・プルガル(チリ) IMAGOグローバル・グラスルーツ代表、ハーバード・ケネディスクール講師
- マリーナ・カリュランド(エストニア) サイバーセキュリティーに関する国際委員会議長(GCSC)
- ボゴロ・ケネウェンド(ボツワナ) ボツワナ投資通商産業大臣
- アカリザ:ケザ・ントワリ(ルワンダ) 情報通信技術(ICT)アドボケート兼起業家
- マリーナ・コレスニク(ロシア連邦) 会社役員、起業家、世界経済フォーラム(WEF)ヤング・グローバル・リーダー
- ドリス・ロイトハルト(スイス) スイス連邦環境・運輸・エネルギー・通信大臣
- キャシー・マリガン(英国) インペリアル・カレッジ仮想通貨センター客員研究員
- エジソン・プレステス(ブラジル) リオグランデ・ド・スル連邦大学情報学研究所教授
- キラ・ラディンスキー(イスラエル) eBayデータサイエンス部長
- ナンジラ・サンブリ(ケニア) ワールドワイド・ウェブ財団デジタル平等アドボカシー・マネジャー
- ソフィー・スウォン・オム(韓国) Adriel AI and Solidware設立者
- ダナンジャヤン・スリスカンダラヤ(オーストラリア) CIVICUS事務局長
- ジャン・チロル(フランス) トゥールーズ経済学院・高等研究所長
職権により参加
- アマンディープ・シン・ギル(インド)、デジタル協力に関するハイレベル・パネル事務局長
- ヨヴァン・クルバリヤ(セルビア)、デジタル協力に関するハイレベル・パネル事務局長
各メンバーはそれぞれの組織の代表ではなく、個人としてパネルに参加します。
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「デジタル協力に関するハイレベル・パネル」について、さらに詳しくはこちらをご覧ください。