ファッション業界、画期的な気候行動憲章を発表(*憲章の日本語訳ができました)
2019年02月14日
UNFCCCニュース、2018年12月10日 – グローバル・ファッション業界がきょう発表した「ファッション業界気候行動憲章(Fashion Industry Charter for Climate Action)」(日本語訳はこちら)により、気候変動対策に大きな弾みがつきました。国連気候変動枠組み条約(UNFCCC)事務局のもとで、人気ファッションブランドや小売業者、納入業者団体、さらには大手運輸会社1社を含むその他関係者が、そのバリューチェーン全体を通じ、ファッション部門の気候への影響に一致団結した取り組みを行うことで合意したからです。
Adidas(アディダス)、Burberry(バーバリー)、Esprit(エスプリ)、Guess(ゲス)、Gap Inc.(ギャップ)、Hugo Boss(ヒューゴボス)、H&M Group(エイチアンドエム)、Inditex(インディテックス)、Kering(ケリング)、Levi Strauss & Co.(リーバイ・ストラウス)、Puma SE(プーマ)、PVH Corp.(PVH)、Target(ターゲット)を含む43社のリーダーのほか、 社会的責任のためのビジネス、サステイナブル・アパレル連合、中国紡織工業連合会、アウトドア産業協会、テキスタイル・エクスチェンジなどの有力な会員組織、グローバル物流企業のMaersk、そして世界的なNGOのWWFインターナショナルは、ファッション気候憲章の基盤である16の原則とターゲットの実施または支援を約束しています。
この憲章は、他の企業や組織も加入できるものとして、ファッションが気候の方程式の両辺で果たす不可欠な役割を認識するものとなっています。つまり、ファッション業界は温室効果ガス排出を助長する一方で、持続可能な開発に寄与しつつ、排出量を削減する多くの機会も作り出すからです。
パリ協定の目標とも整合するこの憲章は、2050年までに正味でゼロ・エミッションを達成するという業界のビジョンを盛り込むとともに、生産段階の脱炭素化から、気候に優しく持続可能な素材の選択、低炭素の輸送、消費者との対話と意識の向上に至るまで、拡大可能な解決策の促進に向けて金融関係者や政策立案者と連携し、循環型ビジネスモデルを模索することで、署名団体が取り組むべき課題を定めています。こうした約束の実現に向けた具体的な前進を図るため、6つのワーキンググループが設置されました。署名団体はその中で、実現に向けたステップを定めていくことになります。
憲章署名団体は、こうしたステップがはっきりと定まるのを待たずに、2030年までに温効果ガス排出量を合計で30%削減するという初期目標を掲げるとともに、2025年から、自社内と直接納入業者の石炭燃料ボイラーや、その他の石炭を燃料とする熱源と発電を段階的に廃止するなどの具体的措置も定めました。
パトリシア・エスピノーサUNFCCC事務局長は、「ファッション業界は常に、世界の文化の二歩先を行っています。よって私は、業界が気候行動も主導することになったことを嬉しく思います。この重要な憲章は、多数のファッション・リーダーによる独自の約束と協力を体現するものであり、私はその署名団体を祝福したいと思います。憲章は、世界各地で行われるファッションショーと同様、他の人々も追随することが望まれる模範を定めるものだからです」と語りました。
憲章は業界の主導で策定されていますが、さらに幅広いファッション関係者もこれに加入できるようになっています。また、多様な関係機関やNGOからも支持を受けており、こうして高まった野心は、UNFCCC事務局により追跡、認識されていきます。憲章のねらいは、気候行動の充実を目指すファッション業界による他の取り組みを補完、支援することなどにより、この部門での気候行動を推進することにあります。
「私たちは、PUMAのカーボン・フットプリントの90%以上が、共有のサプライチェーンで生じていることを認識しています。当社のサプライチェーンで炭素排出量を削減したければ、同業他社と連携することが必要です。ファッション業界気候行動憲章は、業界全体でパリ協定の目標実現を支援するための一致団結した取り組みを定めています。私たちは、UNFCCC事務局がグローバルなプラットフォームを立ち上げ、同業他社にも取り組みへの参加を呼びかけていることを高く評価します」PUMAのCEOビヨン・グルデン氏はこう語っています。
また、H&MグループのCEOカール・ヨハン・パーション氏は、「この憲章は、重要な気候変動対策で業界の結束を図るものです。私たちの業界は全世界で活動しており、緊急に必要とされる変化を作り出すには、力を合わせねばならないからです。私たちのバリューチェーンで クライメット・ポジティブを達成するという野心の一環として、この憲章に署名できたことを嬉しく思っています」と語りました。
2018年初頭、ファッション・リーダーたちは、PUMA SEとH&M Groupが議長を務めるワーキンググループでの議論を通じ、自発的な気候運動を立ち上げました。ポーランドのカトヴィツェで開催中の国連気候変動会議(COP24)で行われたきょうの発表は、この運動が部門全体で盛り上がりを見せていることを反映するとともに、気候行動への参画を全世界のファッション業界に求める明確な呼びかけにもなっています。
憲章の原署名者には、adidas、Aquitex、Arcteryx、Burberry Limited、Esprit、Guess、Gap Inc.、H&M Group、Hakro Gmbh.、Hugo Boss、Inditex、Kering Group、Lenzing AG、Levi Strauss & Co.、Mammut Sports Group AG、Mantis World、Maersk、Otto Group、Pidigi S.P.A、 PUMA SE、re:newcell、Schoeller Textiles AG、Peak Performance、PVH Corp.、Salomon、Skunkfunk、SLN Textil、Stella McCartney、Sympatex Technologies、Target、Tropic Knits Groupが名を連ねています。
また、支援組織として、社会的責任のためのビジネス(BSR)、中国紡織工業連合会(CNTAC)、中国紡織情報中心(CTIC)、グローバル・ファッション・アジェンダ(GFA)、オーガニックテキスタイル世界基準(GOTS)、国際金融公社(IFC)、アウトドア産業協会(OIA)、サステイナブル・アパレル連合(SAC)、サステイナブル・ファッション・アカデミー(SFA)、テキスタイル・エクスチェンジ、WWFインターナショナル、有害化学物質排出ゼロ・グループ(ZDHC)も参加しています。
これら組織のCEOと社長は「ファッション業界気候行動憲章」に署名することにより、気候変動に取り組むという約束と、よりクリーンな低炭素の未来に向け、ファッション部門の内外と連携していく意思を確認しています。原材料の生産や衣料、アクセサリー、履物の製造から、その流通と消費に至るまで、繊維や衣料品、皮革、履物業界を包含するファッション業界は、長いサプライチェーンやエネルギー集約的生産を特徴としています。
Burberryの最高経営責任者マルコ・ゴベッティ氏は、「Burberryはファッション業界気候行動憲章に署名できたことを誇りに思います。私たちは自社の業務でカーボン・ニュートラルを約束していますが、2030年までにグローバル・ファッション業界全体で温室効果ガス排出量を30%削減するためには、イノベーションと協業が必要となります。私たちは、憲章のその他署名団体と協力することにより、組織的な変革を達成し、より持続可能な未来を構築できると信じています」と述べています。
また、デザイナーのステラ・マッカートニー氏は次のように語っています。「気候変動が私たちの一生で最大ではないにせよ、最大の部類に入る課題の一つであることは間違いありません。気候変動はこれからも、地球上のあらゆる人と私たちの未来に影響することでしょう。だからこそ私は、ファッション業界気候行動憲章に署名できたことを誇りに思います。私は他のブランドから小売業者、納入業者に至るまで、同業者に対し、今すぐこの憲章に署名し、それぞれのビジネスとバリューチェーンで、気候変動問題の現実に取り組むために必要な行動を取るよう呼びかけたいと思います。私たちには全体として、変化を生み出すための発言力と能力があるのです」
「ファッション業界気候行動憲章」に定められた原則と行動は、2019年初頭にUNFCCC事務局が開催予定のワーキンググループを通じ、集団的に追求、啓発していくことになります。環境対策の道のりでどの辺にいるかに関係なく、ファッション部門にプロとして関わる企業や組織はいずれも、憲章に署名することで、その原則の遵守を約束することにより、この作業に加わることができます。
さらに詳しい情報または憲章への署名をご希望の方は、下記にお問い合わせください。
Lindita Xhaferi-Salihu
LXhaferi-Salihu@unfccc.int or +49 (0)228-815-1076.
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