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気候変動に、一口ずつ取り組もう: 国連、サステナブル・フードに関するキャンペーンのリーダーに シェフを起用(プレスリリース日本語訳)

プレスリリース 19-039-J 2019年06月19日

ニューヨーク、6月18日 — 本日の「持続可能な食文化の日」を迎えるにあたり、全世界のシェフが国連による新たなキャンペーンの立ち上げに協力することになりました。このキャンペーンは、健康で持続可能な食料の選択を通じ、人々にグローバルな気候変動対策への参画を呼びかけることをねらいとしています。

著名なシェフたちは先頭に立ってこの課題に取り組むとともに、人々の間でお気に入りのレシピや写真の共有が流行する中、これらのシェフたちの創作料理を国連のプラットフォームで取り上げることで、創作料理ブームを世界に巻き起こすことをめざします。

国連のActNowキャンペーンのねらいは、2019年9月23日に事務総長が開催する「気候行動サミット」に向けたうねりをつくり出すことにあります。気候行動サミットでは、各国政府や企業、市民社会のリーダーが、温室効果ガスの排出量を大幅に削減し、気候変動に対するレジリエンスと適応能力を築くために意欲的な計画を示すことになっています。

「2015年以来、持続可能な開発目標(SDGs)の多くのゴールについて進展が見られていることは確かです。持続可能な開発のための2030アジェンダと気候変動に関するパリ協定は、各国政府や民間セクター、地方自治体、市民社会、科学界をはじめ、多方面から大がかりな早期対応を引き出すきっかけとなりました。しかし、2030年までに私たちの目標を達成するためには、はるか遠くまで、はるかに速く前進しなければならないことも明らかです。私たちが2030年までにSDGsを達成することは可能です。気候変動との競争に勝つこともできます。しかし、そのためには私たち一人ひとりに果たすべき大きな役割があります。だからこそ、私たちはActNowキャンペーンを通じて、気候変動を抑え、持続可能な世界をつくるための一致団結した取り組みに、すべての人に参加してもらおうとしているのです」アミーナ・J・モハメッド国連副事務総長は、このように語っています。

このキャンペーンには、コペンハーゲンを拠点とする非営利団体MADも加わっています。世界的に有名なレストラン「ノーマ(noma)」のシェフ、レネ・レゼピ氏が設立したMADは、真に持続可能な変化をつくり出すためのスキル、コミュニティー、そして機会をシェフとレストラン経営者に提供することにより、私たちの食料システムの変革を図っています。MADとともにキャンペーンに参加する国際農業開発基金(IFAD)、SDG2 Advocacy Hub、Kitchen Connectionも、サステナブル・フード運動へのシェフの参画を働きかけています。

農業は主として食品廃棄物と肉の消費を通じ、全世界の温室効果ガスの約5分の1を排出していることから、国連のActNowキャンペーンでは、温室効果ガスと環境へのダメージの削減に役立つ食材を用いた料理を創作している有名シェフの取り組みやレシピを紹介することになっています。

食料の消費は多くの形で気候に影響します。農地開発目的での熱帯雨林の破壊は、肉に対する需要の拡大とともに、温室効果ガスの増大を助長する大きな要因です。また、国連食糧農業機関(FAO)によると、世界の年間食料生産量の3分の1に相当する約13億トンが失われたり、廃棄されたりしています(この13億トンの生産のために農家や企業、消費者に9,400億ドル-およそ100兆円-の経済コストが生じています)。食品ロスは全世界の温室効果ガス排出量のおよそ8%を発生させます。これを1つの国とみなせば、“食品ロス”は世界で3番目に大きな温室効果ガス排出国となります。

地元のオーガニック食材を主に活用し、肉を中心とした食事やファストフードを敬遠するシェフや供給業者が増えていることを踏まえ、国連のActNowキャンペーンには、持続可能で気候に配慮し、しかもおいしい食べ物を味わってもらえるよう、さらに多くの人々に働きかけるというねらいもあります。

MADのメリナ・シャノン=ディピエトロ事務局長は、次のように述べています。「私はMADにいる時も、世界中のシェフと話している時も、レストランの世界が創造性やケア、もてなしという感覚で導かれていることを幾度となく実感しています。この同じ価値観が、環境を大事にするという気持ちにも結び付いています。国連のActNowキャンペーンは私たちレストラン界に、そのベスト・プラクティスと最も創造性の高い発見を業界内で、そして一般の人々との間で共有する機会を与えてくれます」

日本担当FAO親善大使を務めるシェフの中村勝宏氏は、「野菜や果物、魚介類をはじめ、すべての食材は自然の恵みです。それらがすべて、気候変動の影響を受けています。これは私たちにとって大きな損失です。環境汚染が気候変動へとつながり、最終的には私たちの食べ物に影響が及ぶからです」と語りました。

イタリアの有名シェフ、カルロ・クラッコ氏は、気候変動が一日のメインの食事に不可欠な食材にも影響を与えているとして、次のように語っています。「IFADやカンボジア、モロッコの農家と協力してわかったことがあります。こうした家族経営の農場が気候変動の影響への適応を迫られていますが、気候変動への適応でIFADと協力すれば、食料安全保障と所得が実際に向上するということです」

ActNowキャンペーンはシェフだけでなく、全世界の一般の人々にも、持続可能な食料消費への個人的な貢献を呼びかけています。ここでの課題は、おいしいだけでなく、地球や私たちのためにもなる料理、つまり肉を控え、その代わりに多様な野菜を食材としてふんだんに使う料理を創作することです。

ニューヨークを拠点とするシェフのグレース・ラミレス氏は、次のように語っています。「気候の危機に立ち向かうというと大それたことのように感じられるかもしれませんが、ActNowフードチャレンジは、あなたの食事という、シンプルな出発点を提供してくれています。より持続可能な料理を作って楽しむために、少しだけ環境に優しい手法を取り入れるだけで、私たち全員が環境への悪影響を減らす決断になるのです」

ActNowは、各個人に気候変動対策を呼びかけるグローバルな取り組みです。このキャンペーンは、気候変動に関する意識、野心、対策の強化と、パリ協定の履行加速を図る国連の協調的取り組みに欠かせない要素です。

ActNowキャンペーンは2018年12月、国連気候変動枠組条約締約国会議(UNFCCC)で、デイビッド・アッテンボロー氏がActNow.botを立ち上げたことでスタートを切りました。キャンペーンは技術革新を取り入れながら、人工知能(AI)の進化を行動変革の促進に活用しています。ActNow.botは、より持続可能な移動や省エネ、肉の摂取量削減など、私たちのカーボン・フットプリントを縮小するための日常的行動を推奨しています。

詳しくは、un.org/actnowをご覧ください。
ハッシュタグ:#ActNow #ClimateAction #フードチャレンジ

さらに詳しくは、下記にお問い合わせください。
Tolu Olubunmi, ActNow Campaign Manager, UN Department of Global Communications
tolu.olubunmi@un.org | +1 240 505 5921

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原文(English)はこちらをご覧ください。