“人類と自然の調和”に向けた条件の整備を ― 国連事務総長、G20大阪サミットを機に呼びかけ(UN News記事・日本語訳)
2019年07月02日
2019年6月29日-世界は「人類と自然の調和」に向けた条件を整備する必要がある ― アントニオ・グテーレス事務総長はきょう、G20大阪サミットの折に行った中国・フランス両国外相との会談で、このように語りました。
「私たちは地球を救う必要がある」と事務総長は明言しました。
グテーレス事務総長は、両国の「気候変動対策」だけでなく、気候変動に関する両国のマルチラテラルなアプローチについても感謝の意を表し、昨年12月にポーランドのカトヴィツェで開催された2018年国連気候会議(COP24)の成功にとって「絶対的に不可欠」だったと述べました。
しかし事務総長は、最近閉幕したボンでの国連気候変動枠組条約(UNFCCC)の会合で成果が見られなかったとして、現在の状況が「世界のいくつかの地域における政治的な欠陥」によって「さらに困難を極めている」と述べました。
「私たちは、政治的意志を強くする必要があります。私はパリ協定についても、気候変動対策やマルチラテラリズムについても、私たちが現状の困難を克服できる能力という点から、中国、フランス両国の決意を大きな頼りとしています」事務総長はこう断言しています。
今後の見通し
事務総長は、9月にニューヨークで開催予定の気候行動サミットについても触れました。このサミットの目的は、開発途上地域における緩和と適応の能力育成を推進するため「年間1,000億ドルを拠出するというパリでの決定を実行に移すことをはっきりと約束できるよう、野心を高める」ことにあります。
事務総長はまた、緑の気候基金(GCF)が「気候変動対策の財源として不可欠」なメカニズムであるとして、この資金をその改革と補充にも活用できるという期待も表明しました。
“私たちは、政治的意志を強くする必要があります” ― グテーレス事務総長
グテーレス事務総長は三者会談にあたり、国連事務局が「UNFCCCや気候変動に関する政府間パネル(IPCC)と非常に緊密に連携している」ことを伝えるとともに、IPCCの最近の報告書は「レッドアラート(緊急警報)」であると同時に「行動を促す強い刺激」にもなるとの見解を示しました。
「私たちは、今世紀末時点での気温上昇を1.5°Cに抑える必要があると確信しています」事務総長はこう語り、そのためには「今世紀半ばまでにカーボンニュートラルを達成し…2020年の各国が決定する貢献の見直しを受けて、さらに取り組みを強化する必要がある」と付け加えました。
事務総長は「各国が抱える困難や問題」があることを認めたうえで、「野心を高め、私たちが直面する膨大な課題に見合った国際社会の政治的意志を、多国間で確保する」というフランス、中国両国の決意に謝意を表明しました。
「私は、サミットを成功させ、各国が決定する貢献の見直しを成功させ、後ろ向きの姿勢を示している国や、問題の多い国が最終的には、自らも当事者であるという感覚を持てるようにしようという、両国の決意を大いに頼りとしています」事務総長はこのように発言を締めくくりました。
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原文(English)はこちらをご覧ください。
三者会談後に発表されたプレス・ステートメント(日本語訳)はこちらをご覧ください。