国連事務総長、国際社会にデジタル協力の拡大を呼びかけ(プレスリリース・日本語訳)
プレスリリース 20-055-J 2020年08月18日
新たに発表された『デジタル協力のためのロードマップ』で、事務総長は
デジタル時代にすべての人をつなげ、尊重し、保護するための行動を要請
2020年6月11日 (ニューヨーク)―アントニオ・グテーレス国連事務総長は本日、デジタル時代に国際社会がすべての人をつなげ、尊重し、保護する上で推奨される一連の行動を発表しました。事務総長の『デジタル協力のためのロードマップ(Roadmap for Digital Cooperation)』は、インターネット、人工知能(AI)やその他デジタル技術に関連する幅広い問題に関し、多年にわたって実施されたマルチステークホルダー型の世界的な取り組みの成果です。
『デジタル協力のためのロードマップ』は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)がデジタル化を加速し、デジタル技術の機会と課題の両方を浮き彫りにしたことにより、デジタル問題が重大な局面を迎える中で発表されました。
協調的なワクチン研究、在宅勤務や学習、eコマース(電子商取引)など、COVID-19パンデミックによって明らかになったデジタル技術の恩恵は、オンラインでつながっている人々と、つながれない人々の間の格差拡大も反映しています。国際電気通信連合(ITU)によると、世界人口の約半数に相当する46.4%は、インターネットに接続できず、デジタル時代への全面参加もできない状況にあります。女性は不当に大きな影響を受けており、その接続率は全世界で48%にすぎません。しかもさらに多くの人々をつなげようとする取り組みが進む中で、新たな脆弱性も生じてきました。サイバー攻撃やデマが、人権、プライバシー、そして安全を脅かしているのです。
国内的にも、地域的にも、世界的にも、政策やガバナンスはデジタル技術の急速な普及に対応できていません。事務総長が新たに発表したロードマップは、デジタル技術の最大の利点を活用しながら、そのリスクを緩和するための具体的な対策を提言することにより、こうした課題への取り組みを図っています。
「その利益を十分に確保しながら、潜在的な害悪を抑えるためには、国際協力の拡大をデジタル時代の決定的要素としなければなりません」アントニオ・グテーレス国連事務総長はこのように述べています。
「サイバー空間に国境などありません。私はきょう、国連の全加盟国と、産業や市民社会のパートナーに対し、デジタル技術問題に関する協力の拡大を呼びかけます。2030年までにすべての人々をつなげ、オンラインで人権を尊重し、デジタル時代の潜在的危難から最も脆弱な立場にある人々を守るための唯一の手段は、協力することです」
オンライン世界をつなげ、尊重し、守るというこの呼びかけに応えるため、事務総長が発表した行動志向のロードマップは、さまざまなステークホルダーが下記の分野で、グローバルなデジタル協力を強化できる具体的対策を提言しています。
1. 2030年までに普遍的な接続を達成する — 誰もが安全に、手ごろな費用でインターネットにアクセスできるようにすべきです。
2. より公平な世界を実現するため、デジタル公共財を推進する — インターネットがオープンソースの公共財であることを受け入れ、これを支援すべきです。
3. 最も脆弱な立場に置かれた人々を含め、すべての人のデジタル包摂を確保する — 接続ができていない集団も、開発を加速するデジタルツールへの平等なアクセスを必要としています。
4. デジタル能力の構築を強化する — 技能開発と訓練は、全世界で必要とされています。
5. デジタル時代の人権擁護を確保する — 人権はオンライン、オフラインの両方に適用されます。
6. 人口知能(AI)に関するグローバルな協力を支援する ― こうした協力は信頼でき、人権に基づき、安全かつ持続可能で、平和を促進するものとしなければなりません。
7. デジタルの信頼と安全を促進する — 持続可能な開発目標(SDGs)を前進させるグローバルな対話が必要となります。
8. さらに効果的なデジタル協力体制を構築する — デジタル・ガバナンスを優先課題とし、国連によるアプローチの焦点を絞らなければなりません。
事務総長のロードマップは、デジタル協力に関するハイレベル・パネルによる提言のほか、加盟国や民間セクター、市民社会、テクノロジーのコミュニティー、その他のステークホルダーから表明された見解を基盤としています。メリンダ・ゲイツ、ジャック・マー両氏が共同議長を務めるデジタル協力に関するハイレベル・パネルは、専門領域や部門のほか、地理やジェンダー、年齢の多様性という点で、これまでに類を見ない構成となっています。2019年6月に提出されたパネルの報告書を受けて開催された広範なマルチステーホルダー型のアウトリーチ活動や協議は、その見解の表明により、ロードマップの策定に貢献しました。
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お問い合わせ先
Florencia Soto Nino-Martinez, UN Associate Spokesperson
sotonino@un.org
Anoush Tatevossian, Office of the Under-Secretary General and Special Adviser to the Secretary-General, working on Digital Cooperation
Anoush.tatevossian@wfp.org
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原文(English)はこちらをご覧ください。
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