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グローバル経済の回復は依然として不安定: 4.7%の反転増も、2020年の損失をかろうじて取り戻すに過ぎない(2021年1月25日付 国連経済社会局プレスリリース・日本語訳)

プレスリリース 21-005-J 2021年02月17日

投資を刺激し、世界貿易を再活性させ、時期尚早な緊縮と金融バブル、不平等拡大を防止することが強靭な復興に引き続き不可欠、と新たな国連報告書

ニューヨーク、2021年1月25日 — 国連は本日、経済と社会の復興、気候変動に対するレジリエンスへのスマートな投資によってグローバル経済の強靭かつ持続可能な回復を確保しない限り、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)による壊滅的な社会経済的影響は今後何年も続くことになると警告しました。

2020年の世界経済は、2009年のグローバル金融危機の2.5倍を超える4.3%の縮小となりました。最新の『世界経済状況・予測(World Economic Situation Prospect: WESP)』報告書によると、2021年には4.7%という緩やかな回復が見込まれていますが、これは2020年の損失をかろうじて取り戻せる水準に過ぎません。

報告書は、今回のパンデミックからの持続的復興が、刺激策の規模やワクチンの迅速な提供だけでなく、こうした措置に将来のショックに対するレジリエンスを構築するだけの質と有効性があるかどうかにもかかっていると強調しています。

「私たちはこの90年来で最悪の保健と経済の危機に直面しています。私たちは、増え続ける死者を悼むと同時に、今私たちが下す選択が私たち全体の未来を決定づけることも忘れてはなりません」アントニオ・グテーレス国連事務総長は、きょうの「ダボス・アジェンダ」イベントでの挨拶を前に、このように語っています。

「スマートな政策やインパクトの強い投資、そしてあらゆる社会経済的取り組みの中心に人々を据える強力で実効的な多国間体制に駆動される、包摂的かつ持続可能な未来に投資しようではありませんか」

2021年に4%の経済成長が予測される先進国は2020年、経済活動の停止とその後の数波に及ぶパンデミックで、5.6%と最も大幅な経済縮小に見舞われていますが、時機尚早の緊縮措置が取られれば、世界的な復興への取り組みを頓挫させてしまうおそれがあります。開発途上国の経済縮小幅は2.5%と比較的小さく、報告書の推計によると、2021年には5.6%の成長に転じると見られています。

影響を受ける主な分野

国連経済社会局は、2020年に1億3,100万人が新たに貧困に追い込まれたとしていますが、その多くは女性や子ども、社会的に隔絶されたコミュニティーの人々です。COVID-19のパンデミックは女性と女児に不当に大きな悪影響を及ぼし、経済状態の悪化や貧困、暴力、非識字のリスクが高まっています。

小売、接待、観光など、都市封鎖(ロックダウン)で最も大きな打撃を被った分野を含め、リスクの高い労働やサービス集約的部門における労働力の過半数は女性です。その中には、社会保障へのアクセスが限られているか、これをまったく受けられない人々も多くいます。

総額12.7兆米ドルに上る大規模で適時の刺激策により、世界経済の全壊と大恐慌は回避されました。しかし、報告書が明らかにしているところによると、先進国と途上国では、導入された刺激策に大きな格差があるため、その復興の軌跡は著しく異なることになります。

先進国による刺激策の国民一人当たりの金額は、後発開発途上国(LDCs)の580倍近くに上りますが、先進国の一人当たり平均所得は、LDCsの30倍にすぎません。この極端な格差は、最も脆弱な立場に置かれた国々にとって、債務救済を含む国際的な連帯と支援が必要であることを明らかに示しています。

しかも、こうした刺激策の財源として、平時としては最大規模の借入が行われたため、全世界の公的債務は15%も増えています。この債務の著しい増加は、その大部分を生産的かつ持続可能な投資に回し、成長を刺激しない限り、将来の世代に不当な負担を強いることになります。

報告書によると、2020年の世界貿易は、グローバル・サプライチェーンと観光業の大規模な混乱を背景に、7.6%縮小したものと見られています。経済大国間で続く貿易摩擦と、多国間貿易交渉の行き詰まりは、パンデミックの発生以前からすでに世界貿易の足枷となっていました。

「今回の危機は、世界経済を強靭かつ回復力のある成長軌道に乗せるためには、ルールに基づく多国間貿易体制を再活性化する必要があることを改めて物語っています」こう語るのは、国連経済社会局(UN DESA)局長を務める劉振民(リュー・ジェンミン)事務次長です。「私たちは、世界貿易のショックに対するレジリエンスを高め、貿易が引き続き、開発途上国にとって成長の原動力となれるようにしなければなりません」

報告書は、人間開発を前進させ、イノベーションと技術を受け入れ、強靭なサプライチェーンを含むインフラを整備する投資を優先させることができれば、開発途上国に機会があることを明らかにしています。

報告書は投資を刺激することの重要性を強調しつつ、刺激策による支出の大半が雇用の保護と当面の消費支援に回る一方で、全世界で資産価格のバブルを助長し、株式市場指数はこの数カ月間に最高値を更新していることも示しています。

「未曽有の危機の深さと大きさは、遅々とした痛みを伴う復興の前兆と言えます」国連チーフ・エコノミストを務めるエリオット・ハリス経済開発担当事務次長補は、このように述べています。「私たちは、COVID-19ワクチンの提供によって、長い復興段階へと足を踏み入れる中で、より強靭な復興に向けた道のりを定める中長期的投資の促進に着手する一方、時期尚早な緊縮措置を避ける財政スタンスの採用や、持続可能な債務枠組みの再設定、普遍的な社会保障制度の導入、グリーン経済への移行の加速も図る必要があります」

2,00万人を超える命を奪い、さらに多くの人々の生活を破壊し、家族を貧困へ追いやり、コミュニティー間の所得と富の不平等をさらに拡大し、国際貿易を混乱に陥れ、世界経済を麻痺させた未曽有の危機には、並外れた対応が必要となります。報告書は最終的に、公正かつ平和で回復力のある世界に向けた青写真として、持続可能な開発目標(SDGs)を達成することの重要性を強調しています。

「包摂的で公平な成長を促進し、不平等を減らし、環境の持続可能性を高めることこそが、この危機から復興を遂げ、将来の危機から世界を守るために私たちが持ち合わせている最善のプランです。レジリエンスの構築を、この復興のあらゆる側面で指針とすべきであり、女性はレジリエンス構築の推進者として、不可欠な役割を果たすことになるでしょう」国連経済社会局のマリア・フランチェスカ・スパトリサーノ政策調整・機関間連携担当事務次長補は、このように付け加えています。

世界経済状況・予測2021 | #WorldEconomyReportについて

『世界経済状況・予測2021』は、国連経済社会局(DESA)が国連貿易開発会議(UNCTAD)および5つの国連地域委員会とのパートナーシップにより作成した報告書です。今回の報告書には、国連世界観光機関(UNWTO)からの寄稿も含まれます。さらに詳しい情報については、www.bit.ly/wespreportをご覧ください。

メディアのお問い合わせ先:

Devi Palanivelu, UN Department of Global Communications, palanivelu@un.org
Helen Rosengren, UN Department of Economic and Social Affairs, rosengrenh@un.org

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原文(English)はこちらをご覧ください。