2022年の優先課題に関するアントニオ・グテーレス国連事務総長の総会発言(ニューヨーク、2022年1月21日)
プレスリリース 22-008-J 2022年03月15日
皆様、
私たちは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的大流行(パンデミック)に見舞われる中、また新たな年を迎えました。
COVID-19は、引き続き暮らしや計画、希望を混乱に陥れています。
唯一確かなことは、不確実性が増大したことです。
一方で、不平等が拡大しています。
インフレ率が上昇しています。
気候危機や汚染、生物多様性の喪失が勢いを増しています。
政情不安と激しい紛争が非常に危険な状態にあります。
世界の大国間の相互不信が頂点にに達しつつあります。
そして情報スーパーハイウェイは憎悪と嘘で塞がれており、人類の最悪の衝動をかき立てています。
皆様、
私たちは皆、このことを理解しています。
今は単に課題を列挙して嘆く時ではありません。
今は行動を起こす時です。
これらすべての課題の根底にあるのはグローバル・ガバナンスの失敗です。
グローバル・ヘルスからデジタル・テクノロジーに至るまで、今日の多国間の枠組みの多くは時代遅れであり、今やその目的にかなっていません。
これらの枠組みは、グローバル経済・金融システムから地球の健康に至るまで、人類の福祉を支えるための非常に重要なグローバル公共財を守っていません。
また、平和、持続可能な開発、すべての人々の人権と尊厳に対する私たち共通の願望も実現していません。
私の報告書『私たちの共通の課題(Our Common Agenda)』は、団結と連帯に基づいてこれらの課題と脅威に対処するための出発点です。
開発途上国はこれまでになくこれらへの対処を必要としています。
皆様、
私は、年のはじめにあたり、5つの警鐘を鳴らしたいと思います。それらはCOVID-19、グローバル金融、気候行動、サイバー空間における無法状態、そして平和と安全の5つについてです。
私たちは、すべての国を全面的に動員する必要がある、最大級の警戒を呼びかけるほどのグローバルな火災に直面しています。
第1に、私たちはCOVID-19との闘いにおいて緊急事態モードに入らなければなりません。
オミクロン株はさらなる警告です。
次の変異株はより深刻な可能性があります。
感染拡大を止めることが、あらゆる場所で最優先の課題としなければなりません。
同時に、ウイルスを口実にして人権を侵害し、市民空間を縮小させ、報道の自由を抑圧することがあってはなりません。
各国政府はまた、開発途上国を罰することとなる不当な制限を課してきました。例えば、私が以前「渡航アパルトヘイト」と呼んだものが含まれます。
私たちの行動は、科学と常識に基づいたものでなければなりません。
科学は明白です。ワクチンには効果があります。ワクチンは命を救うのです。
昨年10月、世界保健機関(WHO)は、昨年末までにすべての国で人口の40%に、そして今年半ばまでに70%に、ワクチン接種を行う戦略を発表しました。
私たちは現在、この目標からかけ離れたところにいます。高所得国の接種率はアフリカ諸国の7倍です。このままでは、アフリカは2024年8月まで、70%の基準を満たすことができません。
現在、世界中の医薬品メーカーの月間生産量は15億回分です。
しかし、分配状況は恥ずべきほど不公平です。私たちは、あらゆる場所でワクチンを接種できるようにする必要があります。
ウイルスを森林火災のように拡大させるのではなく、ワクチンを素早く普及させる必要があります。
私たちは、すべての国とすべての医薬品メーカーに対しCOVAXへのワクチン供給を優先させ、生産能力のある世界中の多くの国で検査やワクチン、治療薬を現地で生産する条件を整えさせる必要があります。
これには、製薬会社がより迅速にライセンス、ノウハウ、そして技術を共有することが含まれます。
私たちは、ワクチンに関する誤情報という厄介なものとも闘わなければなりません。
そして、WHOの権限を強化するなど、パンデミックへの備えに関する独立パネルの勧告に沿って、世界が次の疫病の流行に備えるためにより多くのことをなさなければなりません。
皆様、
第2に、私たちはグローバル金融を改革するために緊急事態モードに入らなければなりません。
率直に言うと、グローバル金融システムは道徳的に破綻しています。
それは富める人々に有利に働き、貧しい人々を罰しています。
グローバル金融システムの主要な機能の一つは、各国経済が金融ショックを乗り超えるための支援を行って安定性を確保することです。
しかし、まさにそのようなショックである世界的なパンデミックに直面しながら、金融システムはグローバル・サウスを見捨ててきたのです。
偏った投資は偏った回復につながります。
低所得国の成長率はこの一世代で最も低くなっています。
サハラ以南アフリカでは、今後5年間の1人あたり累積経済成長率が世界の他の地域より75%低くなる可能性があります。
多くの中所得国は、貧困が急拡大し気候危機の影響が高まっているにもかかわらず、債務救済の対象となっていません。
ほとんどの地域で貧困層の大半を占めている女性と女児が、医療や教育を受けられず、失業するという高い代償を払っています。
私たちが今行動を起こさなければ、記録的なインフレ、エネルギー価格の急騰、法外な金利によって2022年に債務不履行が頻発し、最も貧しい人々や最も脆弱な立場に置かれた人々に悲惨な結果をもたらす可能性があります。
先進国と開発途上国の間の格差は連鎖的になりつつあり、不安定や危機、強制的移住のもととなります。。
これらの不均衡はグローバル金融システムの不具合ではなく、特徴なのです。
不均衡は内在的で構造的なものです。
不均衡は、型通りに開発途上国に低い信用格付けを行い、民間金融の機会を奪うシステムの産物なのです。
信用格付け会社は、グローバル金融システムにおける事実上の決定権者です。
信用格付け会社は説明責任を果たし、透明性を確保すべきです。
開発途上国は、政府開発援助、気候変動対策資金などのいくつかの状況でも透明性の欠如に悩まされています。
そのため、転用や二重計上が可能になります。
これらの不均衡は、実体経済と金融経済との間、労働者とマネーマーケットとの間の分断の結果でもあります。
私たちは昨年、特別引出権(SDR)の発行を国際通貨基金(IMF)に要請し、発行が決定されたことを称賛しました。
しかし、そのSDRの大半は、規則に従って、それを最も必要としていない最も大きく富める国々に振り向けられました。再分配が非常に重要な理由はここにあります。
また、低コストの資金を貧しく脆弱な立場に置かれた国々にさらに長期にわたって提供することにより、不公正への対処を全面的に支援する、IMF強靱性・持続可能性トラストの創設などの取り組みも同様に非常に重要です。
皆様、
私はパンデミックの発生以来、グローバル金融システムを包摂的で透明性のあるプロセスを通して改革し、開発途上国のニーズを支援するように呼びかけてきました。
力強い復興を実現するために、各国政府は、持続可能な開発目標(SDGs)に支えられた国家予算と計画を通じて人々とレジリエンス(強靱性)に投資するリソースを必要としています。
すべての国々が、強力な保健・教育システム、雇用の創出、普遍的な社会的保護、ジェンダー平等とケア・エコノミー、再生可能エネルギーへの公正な移行に投資しなければなりません。
そのためには、世界で最も裕福な国々が支配するグローバル金融ガバナンスのメカニズムを真剣に見直す必要があります。
脆弱性、気候リスクと投資リスクを評価するためには、金融の評価尺度は、国内総生産(GDP)をしのぐものでなければなりません。
信用格付けは、有害な先入観ではなく、比較可能なファンダメンタルズとエビデンスに基づくべきです。
グローバル金融アーキテクチャを改革するためには、運用可能な債務救済と再編枠組みが必要です。
それは、今支援を必要としている国に特別引出権を振り向けることを意味します。
そのためには、パンデミック中に億万長者が築いた何兆ドルもの資金の一部をより広く共有する、より公平なグローバル税制が必要です。
それは、アフリカだけでも年間880億ドルを超える資金を流出させている違法な資金の流れに対処することを意味します。
そのためには、多国間開発銀行のリソースを増やし、直接的支援と民間投資の活用の両方によって開発途上国をよりよく支援できるようにする必要があります。
私は2022年に引き続きこれらの抜本的な改革を推し進め、関係者をまとめる国連の力を利用してSDGsへの投資を拡大します。
私たちは2030アジェンダを救わなければならず、皆様の支援に期待しています。
皆様、
第3に、私たちは気候危機に対して緊急事態モードに入らなければなりません。
1.5℃目標を堅持する闘いの勝敗は、この10年で決まります。
しかも、私たちははるかに立ち後れています。
地球の気温はすでに約1.2℃上昇しており、その結果は破壊的です。
2020年には、気候ショックによって3,000万の人々が故郷を追われました。これは、戦争や暴力によって故郷を追われた人々の3倍に相当します。
小島嶼国、後発開発途上国、そしてあらゆる場所の貧しく脆弱な立場に置かれた人々は、あと1回ショックが起きれば破滅する状況にあります。数字は嘘をつきません。
今世紀半ばまでにカーボンニュートラルを達成するためには、2030年までに世界の排出量を45%削減する必要があります。
しかし、現在のコミットメントに基づくと、世界の排出量はこの10年で14%近く増加する見込みです。
これは破滅を意味します。
今年、私たちは多くの行動を短期間のうちに起こす必要があります。
先進国と開発途上国のすべての主要排出国が、共通ではありながらもそれぞれ異なる責任を考慮しつつ、(気候危機の)予測を覆し被害を軽減するためにより多く、より速く行動しなければなりません。
2030年までに排出量を大幅に削減することを約束した国は増加しています。
一部の主要排出国を含むその他の国々は、石炭への高い依存度という排出量の削減を妨げる経済構造を持っています。
これらの国は、石炭から再生可能エネルギーへの移行を加速するためのリソースと技術を必要としています。
援助を必要とするこれらの国々のそれぞれに財政的・技術的支援を提供する連合の創設を私が呼びかけている理由はここにあります。
先進国、多国間開発銀行、民間金融機関と必要な技術的ノウハウを備えた民間企業のすべてがこれらの連合において力を合わせ、必要な支援を大規模かつ迅速に届ける必要があります。
同時に、各国は、2030年までに必要な排出量の45%削減を全体で実現するまで、自国が決定する貢献(NDC)を強化しなければなりません。
石炭火力発電所の新設をなくし、
石油とガスの採掘拡大をなくす。
今こそ、再生可能エネルギーのインフラへの投資をこれまでにない規模で拡大し、2030年までに3倍の年間5兆ドルとする時です。
これは、新興国と開発途上国において特に喫緊の課題です。
再生可能エネルギーへの依存度を高めることは、現在の化石燃料価格の変動を避ける上で極めて重要です。
あらゆるセクター、そして海運業界と航空業界を含むあらゆる業界は、2050年までに排出量正味ゼロを実現する軌道に乗らなければなりません。
より豊かな国々は、開発途上国に対する1,000億ドル規模の気候変動対策資金のコミットメントを2022年に始め、最終的に履行しなければなりません。
開発途上国はこれ以上待つことができません。
そして私たちは、適応に向けて抜本的な後押しをする必要があります。
適応資金を200億ドルから倍増するというグラスゴーでのコミットメントは、緊急優先事項であると共に適切な第一歩ですが、それでも私たちは大きく立ち後れたままでしょう。
開発途上国が必要な資金を必要な時に入手できるように、アクセス制度と資格制度を見直さなければなりません。
エジプトで開催される2022年の国連気候変動枠組条約締約国会議(COP27)や、生物多様性と海洋に焦点を当てた今後の会議も、地球とすべての種を守るための重要な機会となるでしょう。
必要な努力は莫大ですが、人々が協力した時の大胆な行動の可能性も同様に莫大です。
私たちは、未来に最も関わる人々である若者たちから、インスピレーションを得ることができます。
他の多くの課題と同様に、若者たちは最前線に立って前進を強く求めています。彼らの呼びかけに、行動で応えようではありませんか。
皆様、
これまで説明した最初の3つの危機、すなわちCOVID-19、道徳的に破綻した金融システム、そして気候危機は、開発途上国にとって三重の非常事態であり、グローバルな不平等を3倍に増やします。
これらは人権を侵害し、社会不安と不安定を爆発させる危険をはらんでいます。
それぞれにおいて公平さを取り戻し、SDGsを救い、人類という家族のすべての人々に固有の尊厳と平等で不可侵の権利を擁護するコミットメントを果たすためには、より良いグローバル・ガバナンスが不可欠です。
皆様、
4つ目の分野は、グローバル・ガバナンスがほとんど存在しない分野です。私たちは、人類をテクノロジーの中核に据えるための緊急事態モードに入らなければなりません。
テクノロジーに利用されてはなりません。
私たちがテクノロジーを利用するのです。
適切に管理すれば生まれる機会は桁外れであり、特にあらゆる場所で安全かつ安心なインターネット接続を確保できればなおさらです。
しかし、デジタルを巡る混乱が拡大して最も破壊的な勢力を利するとともに、普通の人々から機会を奪っています。
ブロードバンド接続が普及していない国々では、学校をインターネットに接続するだけでGDPを20%成長させることができます。
そのような恩恵を実現するためには、主に開発途上国に住む、インターネットに依然接続していない29億の人々を安全に接続させる必要があります。
女性は、インターネット接続に関して男性より依然として大きく遅れています。
今年の「教育変革サミット(Transforming Education Summit)」は、デジタル格差を狭め、すべての人々にとっての安価で安全かつ安心できるインターネットサービスの確保を支援する重要な機会となるでしょう。
私たちがデジタル世界の機会を捉える一方、データの悪用や誤情報、サイバー犯罪などのリスクは、それらに対処する有意義な取り組みの先をすでに進んでいます。
私たちの個人情報が、私たちを支配・操作し、行動を変え、人権を侵害し、民主主義制度を弱体化させるために悪用されています。
私たちの選択肢は、知らず知らずのうちに奪われているのです。
ソーシャルメディア企業のビジネスモデルは、公共の安全を犠牲にして、中毒や憤り、不安を優先するアルゴリズムから利益を得ています。
私たちには、こうしたビジネスモデルを変える強力な規制枠組みが必要です。
この問題に対処するために、私は2023年の「未来に関するサミット」の一環としてグローバル・デジタル・コンパクトを提案しました。
同コンパクトは、各国政府、民間セクターと市民社会を結集し、グローバルなデジタル協力を支える主要原則に合意するものです。
これにより、民間人と民間インフラを保護するためのサイバーセキュリティーに関する、進行中の協調的アプローチが強化されるでしょう。
そして私は、インフォデミックに終止符を打ち、科学との闘いを終わらせ、オンラインを含む公開情報の誠実性を高めるグローバルな行動規範を提案しました。
私たちは、各国政府、メディアと規制当局との間でこれを策定することを期待しています。
この領域では、極めて多くの技術的進歩が進行しています。『私たちの共通の課題(Our Common Agenda)』で概説したように、私は自律型殺戮兵器の禁止に関する作業を加速させ、バイオテクノロジーとニューロテクノロジーに対する新たなガバナンス枠組みの検討を開始することを、引き続き加盟国に要請します。
皆様、
第5に、私たちは緊急事態モードに入って、平和がほとんど実現していない世界に平和をもたらす必要があります。暴力的紛争の数は1945年以降で最も多くなっています。
軍事クーデターが復活しきています。
不処罰が定着しつつあります。
核兵器保有量はいまだに1万3,000発を超えています。
人権と法の支配は攻撃を受けています。ポピュリズム、移民排斥主義、白人至上主義、その他の形態の人種差別主義や過激主義が、あらゆる場所で社会の結束と制度をむしばんでいます。
人権、特に女性と女児の権利が抵抗を受け続けています。
私の「人権のための行動呼びかけ(Call to Action for Human Rights)」は、そのような抵抗に対する抵抗です。
私たちは、人権を擁護するために常に抵抗し、前進します。
一方で、気候危機は、紛争に拍車をかけ、人道危機を深刻化させています。
そしてテロは依然として恒常的な脅威であり、世界で最も脆弱な国々の一部をさらに不安定にしています。
国連は、平和維持・平和構築能力を通じて、戦闘に巻き込まれた人々に常に寄り添って保護するとともに、より強力で、レジリエント、かつ、平和なコミュニティーの構築のために努めます。
そして紛争予防は、提案した「新たな平和への課題」の中核にあります。
私は、国際社会を動員し、平和に向けた活動を強化するための努力を惜しまないことを誓います。何点か言及させてください。
アフガニスタンでは、アフガニスタンの人々に支援の生命線を提供し、経済破綻を防ぐために現金を注入し、国際人道法と人権、特に女性と女児の人権が全面的に尊重されるようにし、効果的にテロと闘うことを。
コロンビアでは、和平履行を維持・深化させ、国連の支援を強化することを。
エチオピアではすべての戦闘行為の終了とあらゆる場所への人道支援も保証し、持続的な停戦と外国部隊の撤退を確保し、すべてのエチオピア人を含めた包摂的な対話を促進することを。
ハイチでは、深刻化する政治・制度的危機に終止符を打ち、新憲法を制定し、安全かつ平和な環境で選挙を計画するための、ハイチ人の主導による解決策を促進・支持することを。
イランについては、包括的共同作業計画や、イランと近隣諸国の間の関与を再開させる交渉を支援することを。
イスラエルとパレスチナでは、入植地の拡大と暴力を含む一方的な措置を自制するよう当事者に促し、和平プロセスの再開と、占領を終わらせて実現可能な2国家共存による解決を達成する道を開くことを支援することを。
リビアでは、対話を促進し、可及的速やかな大統領選挙・議会選挙を支援し、外国人戦闘員の協調的な撤退を促進することを。
マリでは、憲法秩序の回復に向けて国、地域のすべてのステークホルダーとの協力を継続し、受け入れ可能な日程表による選挙スケジュールを決め、和平合意を強化することを。
ミャンマーでは、民主主義の回復のために努力し、人道援助を提供し、地域の結束に根差した国際的支援を動員することを。
サヘル地域では、貧困、低開発、ガバナンスの課題の根本的原因に対処し、予測可能で持続的な資金提供によってサヘル5カ国(G5サヘル)とその共同部隊を強力に支援できるようにすることを。
スーダンでは、人々の民主的理想の実現を助け、スーダン国民の間の包摂的な政治プロセスを支援することを。
シリアでは、安全保障理事会決議第2254号(2015年)の全面的な履行を推進し、シリア人が主導し、シリア人が主体となり、国連が支援する信頼できる憲法委員会を再招集し、被拘束者を釈放し、すべての困窮者に人道援助を届ける取り組みを継続することを。
ウクライナでは、緊張を緩和し、専ら外交を通じてすべての問題に対処するよう要請することを。
イエメンでは、持続的な停戦に達し、同国へのアクセスを開放し、7年間にわたる悲惨な紛争に終止符を打つ包摂的な政治プロセスを再開することを。
核軍縮と不拡散については、第10回核兵器不拡散条約(NPT)運用検討会議を最大限に活用し、核のリスクを軽減し、核軍縮に向けた措置を講じることを。
そして、私たちは、西バルカン諸国からコーカサス、中央アフリカ共和国からキプロスおよびコンゴ民主共和国、イラクから朝鮮半島およびレバノン、モザンビークからソマリア、南スーダンからベネズエラおよび西サハラとそれ以遠に至るまで、紛争を予防し、民間人を保護し、平和を確立するための取り組みを粘り強く続けます。
この世界は、これほど多くの紛争地域を抱えるほど広くはありません。
私たちは、それらの対処に全面的に関与すべく結束した安全保障理事会を必要とします。
地政学的な分断を管理して世界全体の混乱を避けなければなりません。
私たちは、協力分野を最大化する一方、激化を回避する強固なメカニズムを確立する必要があります。
そして私は、平和を確保するためのすべての行動において女性が紛争予防、平和創造、そして平和構築の取り組みの中核にいるように尽力します。
私たちは、女性が意思決定や仲介、和平プロセスに全面的に関与すると、和平の取り組みが成功する可能性が高く、持続可能となることを知っています。
私たちは、女性の平和維持部隊員の数を増やしています。
現在、フィールド・ミッションを率いる女性の数は過去最高となっており、ミッションの代表者と副代表者の中で男女比同率が実現しています。
そして、平和構築基金の40%がジェンダー平等と女性の権利に重点を置いています。
私たちは、今年も引き続きこの重要な取り組みに基づいて前進していきます。
皆様、
私がこれまでに触れた非常に多くの数の紛争は、紛争の予防と平和の構築よりも紛争の管理にはるかに多くの資金とリソースを費やしていることのさらなる証拠です。
私たちは、途切れることのない平和全般の優先事項とリソースを真剣に見直し、予防と平和構築への投資を強化する必要があります。
これらすべての課題にわたって結果を出すために、世界は強力かつ効果的な国連を必要としています。
国連改革は決定的に重要であり、過去数年間で大きく前進してきました。
これらの前進をさらに進めるためには、特に年次計画予算について、加盟国による継続的な支援が不可欠です。
皆様、
私が本日説明した5つの非常事態への対応によって、今後数十年間に人々と地球が進む方向が決まるでしょう。
私たちは、緊急事態モードに入って、この最大級の警戒を呼びかけるほどの火災を鎮火しなければなりません。
COVID-19のパンデミックと闘い、
グローバル金融システムを改革して公正な復興を確保し、
気候危機に対処し、
人類をデジタル世界と先端テクノロジーの中核に据え、
持続的な平和を実現することによって。
2030アジェンダとSDGsを強化する、『私たちの共通の課題』に関する私の報告書は、世界が一丸となって連帯し、このようなガバナンスの課題に対処し、21世紀にマルチラテラリズム(多国間主義)を再活性化させるためのロードマップを提示しています。
ともに2022年を、新たな、より希望に満ちた、平等な道を築く年としようではありませんか。
ありがとうございました。
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原文(English)はこちらをご覧ください。