排出量正味ゼロの約束の実行に向けて企業、投資家、都市を後押し ― 深刻化する気候危機のさなか、国連事務総長の専門家グループが発足(2022年3月31日・プレスリリース日本語訳)
プレスリリース 21-019-J 2022年04月21日
ニューヨーク、3月31日 ― アントニオ・グテーレス国連事務総長は本日、企業、投資家、都市、地域などの非国家主体による排出量正味ゼロ・コミットメントについて、より強力で明確な基準を策定し、約束の実行を加速させるための専門家グループを発足しました。
「非国家主体の排出量正味ゼロ・コミットメントに関するハイレベル専門家グループ(High-Level Expert Group on the Net-Zero Emissions Commitments of Non-State Entities)」は、気候危機が深刻化し、すべてのコミットメントが透明性と信頼性を持ち、大胆な実施計画に裏打ちされ、可能な限り迅速に実際の排出量削減への転換を図ることが急務となる中で発足しました。
「気候変動対策の約束が増えているにもかかわらず、世界の排出量は過去最高を記録しています。排出量は増加し続けているのです。最新の科学によれば、気候崩壊により、あらゆる地域で今まさに大惨事が起こっています。私たちは地球温暖化を1.5℃に抑えるべく時間と闘っています。そして、その闘いに負けつつあるのです」と事務総長は述べました。
「各国政府は、今世紀半ばまでに排出量を正味ゼロにする責任の大部分を負っています。特に、G20には大きな責任があります。しかし、あらゆる企業、投資家、都市、州、地域もまた、排出量正味ゼロの約束を早急に実行しなければなりません」
「気候変動による惨禍を回避するには、大胆な約束とそれに見合った具体的な行動が必要です。排出量正味ゼロの基準をより厳しくし、掲げたコミットメントの実施についての説明責任を強化することで、実質的に、かつ速やかに排出量を削減することが可能になります」
専門家グループによる、野心を高め、環境保全を強化するための提言は、以下の4つの分野を対象としています。
- 排出量正味ゼロの目標設定に関する現行の基準と定義
- 排出量正味ゼロ約束の目的、測定、報告の評価に使用される信頼性の尺度
- 排出量正味ゼロのコミットメントと、報告されている脱炭素化計画の進捗の検証および会計処理のプロセス
- 基準と尺度を国際および国内レベルの規制で用いるためのロードマップ
事務総長は、グラスゴーで開催された国連気候変動枠組条約締約国会議(COP26)で、非国家主体による排出量正味ゼロの約束の測定、分析、報告には、より信頼性が高く確固とした基準と尺度が明らかに必要であると指摘しました。本日の専門家グループの発足は、そのニーズに応える重要な一歩です。
同専門家グループは、ジェンダーバランスを考慮し、多様な国々や地域のグループから集められた、評価の高い独立した専門家たちで構成されます。専門家たちは、個人の資格で活動を行います。
専門家グループの議長は、カナダの元環境・気候変動大臣であるキャサリン・マッケナ氏が務めます。
「企業、投資家、都市、地域が次々と掲げている最近の排出量正味ゼロの約束は、1.5℃目標を実現可能なものとして維持し、安全で健全な地球を目指す上で極めて重要です。しかしそのためには、すべての約束に透明性の高い計画があり、当面の行動が着実に行われ、すべての約束が完全に実行されることが欠かせません」マッケナ氏はこのように述べました。
専門家グループは、年内に提言を行う予定です。
専門家グループのメンバーは、以下のとおりです。今後、メンバーは増える可能性があります。
アマンダ・スターバック氏
アルナバ・ゴーシュ博士
ビル・ヘア氏
カミラ・エスコバル氏
カルロス・ロペス氏
キャサリン・マッケナ氏(議長)
ギュンター・タリンガー氏
ヘレナ・ヴィネス・フィスタス氏
ジェシカ・オムクチ氏
ジョアキン・レビ氏
マランゴ・ムゴゴ氏
メアリー・ニコルズ氏
三宅香氏
ウマル・タタム・リー氏
ロッド・カー氏
周小川(ジョウ・シャオチュアン)氏
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