国連、北朝鮮の人権に関し日本での聞き取り調査開始へ
プレスリリース 13-054-J 2013年08月23日
朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)の人権に関する国連調査委員会
国連、北朝鮮の人権に関し日本での聞き取り調査開始へ
東京、8月23日 – 朝鮮民主主義人民共和国(DPRK)における人権状況を検討する国連調査委員会は来週、DPRKによる日本人の拉致に関する証言を含む2日間の公聴会(パブリック・ヒアリング)を日本で開催します。
8月27日(火)に活動の場を東京へと移すDPRKの人権に関する国連の調査委員会の3名の委員は現在、ソウルにおいて様々な人権問題に関する5日間の公聴会その他の協議を開催しているところです。韓国では、DPRKにおける政治犯収容所や拷問から、宗教的な迫害、差別、食料への権利に至るまで、幅広い問題が取り上げられています。最近の脱北者を含む多くの証人が委員会で証言し、自分たちが受けた人権侵害について直に報告しました。
3名で構成される国連委員会で委員長を務めるマイケル・カービー氏は、ソウルと東京での公聴会のねらいが、DPRKにおける人権状況に関する世論の認識を高めることにあることを明らかにしました。DPRKはこれまで委員会による再三の訪問要請に対して回答していません。委員会の公聴会への参加招請もDPRKに対して行われていますが、これに対する回答も得られていません。
「DPRKに直接アクセスすることはできないものの、近年、同国を脱出した人々から多くの体験談を集めることができました」カービー委員長は、このように語っています。
「私たちは、こうした人々が証言をするという勇気ある決断を下したことで、世界の一般の方々だけでなく、国連加盟国の間でも、北朝鮮における人権状況に対する国際的関心が高まるものと期待しています」
カービー委員長は、委員会が公平に、先入観を持つことなく活動を行っていることを改めて強調しました。
日本は2013年3月、DPRK調査委員会の設置につながる人権理事会決議を欧州連合(EU)と共同で提案しました。日本は引き続き、委員会の活動を強く支持しています。
8月29日(木)朝から8月30日(金)にかけて国連大学で行われる東京での公聴会では、DPRKによる日本人の拉致とDPRKにいる日本人の行方をはじめ、日本にとって特に重要な問題が取り上げられる予定です。
DPRKによる日本人の拉致は、日本国内で依然として深刻な問題であるほか、二国間の緊張の原因にもなっています。1970年代半ばから1980年代初頭にかけ、多数の日本人が北朝鮮政府の工作員と見られる者に拉致されました。拉致被害者の総数についての議論は決着していませんが、少なくとも17人の拉致は確認されています。実際の被害者の数は、これより多いと見られています。
公聴会の模様はメディアでの報道や、委員会ウェブサイトの定期的な更新により、一般に公表されます。ウェブサイトには公聴会後にビデオも掲載される予定です。調査委員会への情報提供をお望みの方は、次のアドレスにメールを送信ください(E-mail: coidprksubmissions@ohchr.org)。
調査委員会は3月、国連人権委員会によりジュネーブに設置されました。委員会は1年の任期で、DPRKにおける組織的、広範かつ深刻な人権侵害の疑いについて調査する権限を与えられています。人権理事会は5月、カービー委員長を含め、セルビアの人権活動家ソニア・ビセルコ氏とインドネシアのマルズキ・ダルスマン氏の3名を委員に起用すると発表しました。ダルスマン氏は調査委員会に加え、2010年からDPRKの人権状況に関する国連特別報告者も務めています。
委員会の調査対象となりうる人権侵害としては、食料への権利に関するもの、拘禁施設に関するもの、拷問と非人間的な処遇、恣意的な拘束、差別、表現の自由の侵害、生命に対する権利の侵害、移動の自由の侵害、さらには、外国人の拉致を含む強制失踪があげられます。
委員会はその任務の一環として、特にアカウンタビリティ(説明責任)の問題に着目し、どの程度の人権侵害が人道に対する罪となりうるのかについても調査します。
「私たちは、様々な人権侵害の疑いの全貌を明らかにする決意を固めています」カービー委員長はこのように語りました。「このような人権侵害が起きたことを確認できる程度において、私たちは人道に対する罪が犯されたか否か、そして、北朝鮮の様々な国家機関や当局者の中で、誰がその責任を負うのかについても判定していくつもりです。しかし現状では、責任の線引きができたとしても、委員会がどれだけ詳細にこれを成し遂げられるのかを予測することは不可能です」
委員会はジュネーブの国連人権理事会に対して9月に、また、ニューヨークの国連総会に対して10月に、それぞれ口頭で進捗状況の報告を行う予定です。最終的な報告書は2014年3月、人権理事会に提出されることになっています。人権理事会はすでに、最終報告書を適切な国連機関に回付し、フォローアップを求めることを約束しています。
委員会の作業が進めば、多くの特異な細部にわたる衝撃的な証言が得られ、それによって国際社会の対応が求められるようになることを信じている、とカービー委員長はソウルで述べました。
「現代世界では、単に国連の報告書をもう1本出せばよいというわけにはいきません」委員長はこう語っています。「今日では、指導者や政府の責任が問われるようになっており、調査委員会もこの目的を念頭に創設されています」
「今後のことはほとんど、私たちの調査結果、そこから引き出される結論と提言、そして、私たちの提言を実施に移すか、移さないかに関する国連の担当機関その他国際機関の決定にかかっています」と委員長は述べています。
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