2023年国連水会議:プレスキットから【よくある質問】
プレスリリース 23-011-J 2023年03月07日
「2023年国連水会議」とは何ですか。
2023年3月、世界中の関係者が「2023年国連水会議」の開かれるニューヨークに集います。同会議は国連総会によって招集されます。会議の共催国であるオランダ王国とタジキスタン共和国は、この会議があらゆる部門のステークホルダーを一つにし、水を取り巻く幅広い課題を前進させるための行動の実施を加速させ、影響を改善する世界的な機運を生み出す重大な分岐点となるよう、力を注いでいます。国連経済社会局(UN DESA)が事務局を務め、国連水関連機関調整委員会(UN-Water)が後援します。
本水会議の開催に関する手続き規則などを含む国連総会決議に基づき、この会議のビジョン・ステートメントでは、同会議とその準備プロセスの指針として、包摂的、行動指向的、部門横断的という3つの原則を定義しています。
なぜ水が喫緊の問題であり、関心を持つべきなのですか。
水は、あらゆる人々にとっての基本です。人間の健康や福祉、エネルギーと食料の生産、健全な生態系、気候変動への適応、貧困削減などにも欠かせません。水は持続可能な開発の中心にあります。しかし、数十年に及ぶ不適切な管理、誤った使い方、地下水の過剰採取、淡水供給源の汚染によって水ストレスが増大し、水に関連する生態系が劣化しました。これは人間の健康、経済活動、食料・エネルギー供給への悪影響につながります。
安全な飲料水と衛生施設は、人の健康に不可欠であり、これらの資源へのアクセスは基本的人権です。安全に管理された飲料水と衛生施設を利用できることは、疾病の蔓延を抑え、人々の健康、教育、経済的生産性を向上させるのに役立ちます。しかし、世界では数十億人が今もこうした基本的サービスを利用できていません。毎年80万人以上が、安全でない水、不適切な衛生施設、不十分な衛生習慣に直接起因する疾病で亡くなっています。水はあらゆる人に影響する重要な問題です。すべてのニーズに対して、水を持続可能かつ公平に分配できるようにする喫緊の行動が求められているのです。
「2023年国連水会議」のテーマは何ですか。
会議のテーマは、以下の5つです。
- 健康のための水: 安全な飲料水と衛生へのアクセス
- 持続可能な開発のための水: 水、水・エネルギー・食料の間のネクサス、持続可能な経済と都市への開発を重んじる
- 気候、レジリエンス(強靭性)、環境のための水: 水源から海、生物多様性、気候、レジリエンス、災害リスク削減まで
- 協力のための水: 国境を越えた国際水協力、部門横断的な協力、2030アジェンダの水関連目標
- 水の国際行動の10年: 国連事務総長の行動計画によるものを含め、「10年」での目標の実施を加速させる
これら5つのテーマは、会議の共催国であるオランダ王国とタジキスタン共和国が2022年7月に提案し、同年10月の準備会合で加盟国の同意を得たものです。これらのテーマは、SDG6グローバル・アクセラレーション・フレームワークの5つの原則を支持しています。
会議の成果には、どのようなことが見込まれていますか。
会議は、開会式、閉会式、6つの本会議、5つの双方向での対話で構成されており、義務付けられている会議の成果文書は、総会議長が作成する会議のサマリーです。あらゆる部門、当事者、国を動員して、世界的な水問題に立ち向かう上で必要な政治的機運を生み出すには、「水行動アジェンダ」が会議のもう一つの主な成果となります。このアジェンダは、会議によって生まれる政治的機運を具体的かつ野心的な行動へと変え、進展を軌道に乗せるために共催国が立ち上げたものです。
SDG6とは何ですか。
水と衛生に関する持続可能な開発目標(SDG6)は、すべての人々に水と衛生へのアクセスと持続可能な管理を確保することを目的としています。SDG6のターゲットは、以下の通りです。
- 6.1 2030年までに、すべての人々の、安全で安価な飲料水の普遍的かつ衡平なアクセスを達成する。
- 6.2 2030年までに、すべての人々の、適切かつ平等な下水施設・衛生施設へのアクセスを達成し、野外での排泄をなくす。女性及び女児、ならびに脆弱な立場にある人々のニーズに特に注意を払う。
- 6.3 2030年までに、汚染の減少、投棄の廃絶と有害な化学物・物質の放出の最小化、未処理の排水の割合半減及び再生利用と安全な再利用を世界的規模で大幅に増加させることにより、水質を改善する。
- 6.4 2030年までに、全セクターにおいて水利用の効率を大幅に改善し、淡水の持続可能な採取及び供給を確保し水不足に対処するとともに、水不足に悩む人々の数を大幅に減少させる。
- 6.5 2030年までに、国境を越えた適切な協力を含む、あらゆるレベルでの統合水資源管理を実施する。
- 6.6 2020年までに、山地、森林、湿地、河川、帯水層、湖沼を含む水に関連する生態系の保護・回復を行う。
- 6.A 2030年までに、集水、海水淡水化、水の効率的利用、排水処理、リサイクル・再利用技術を含む開発途上国における水と衛生分野での活動と計画を対象とした国際協力と能力構築支援を拡大する。
- 6.B 水と衛生の管理向上における地域コミュニティの参加を支援・強化する。
「水行動アジェンダ」とは何ですか。
水行動アジェンダは、2023年国連水会議の主な成果となる見込みです。水行動アジェンダは、「水の国際行動の10年(2018-2028年)」の後半期及び「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の後半期の進捗を加速させるための、水に関連するすべての自主的なコミットメントを集約するものです。2022年6月のドゥシャンベ会議において会議共催国が立ち上げた水行動アジェンダは、加盟国およびすべてのセクター、産業、その他のステークホルダーが結束し、世界の水問題に取り組む自主的なコミットメントを実施するよう奨励しています。自主的なコミットメントは、2023年国連水会議の準備期間中と会議の開催期間中に集められますが、会議後も「水の国際行動の10年(2018-2028年)」と2030アジェンダが終了するまで、水行動アジェンダには新しいコミットメントが継続して追加される予定です。
水行動アジェンダの詳細はこちらからご覧いただけます。
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原文(English)はこちらをご覧ください。