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軌道に乗っているターゲットは5分の1に満たず、世界はSDGsの約束を果たせなくなりつつある ― 新たな国連報告書が警鐘(2024年6月28日付プレスリリース・日本語訳)

プレスリリース 24-043-J 2024年07月02日

©UN Photo

グローバルな課題に取り組む最良の手段であるSDGsの達成は、未だ不透明なまま

ニューヨーク、6月28日 — 「残すところ6年となった今、現在の進捗状況は、持続可能な開発目標(SDGs)を達成する見込みには遠く及ばない。大規模な投資と行動の拡大がなければ、よりレジリエント(強靭)でより繁栄した世界の青写真であり、現在のグローバルな危機から抜け出すロードマップであるSDGsの達成は、予断を許さない状態に留まるだろう」 本日発表された『持続可能な開発目標(SDGs)報告2024』は、このように警鐘を鳴らしています。

激動の中にある世界

報告書からは、SDGsのターゲットのうち、現時点で達成に向けた軌道に乗っているのはわずか17%であり、半数近くは最低限かわずかに進捗、3分の1超は停滞または後退していることが明らかになりました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の長引く影響、紛争の悪化、地政学的緊張、気候カオス(大混乱)の拡大により、進捗が大きく妨げられています。

報告書によると、2022年には2019年と比較して極度の貧困に陥った人々が2,300万人増加し、飢えに苦しむ人々は1億人超増加しました。2023年には、武力紛争で命を落とした民間人の数が急増しました。また、2023年は観測史上最も暑かった年でもあり、世界の気温上昇が危機的な1.5°Cの閾値(いきち)に迫りました。

「選択のとき」とその重要性

「この報告書は、より強力でより効率的な国際協力によっていますぐに前進を最大化させることが、緊急に必要であることを強調しています。6年余りを残す中で、私たちは、貧困に終止符を打ち、地球を守り、誰一人取り残さない、という2030年の約束に対して手を緩めてはなりません」アントニオ・グテーレス国連事務総長は、このように述べています。

緊急の優先課題:

  1. 開発のための資金調達:開発途上国へのSDG投資の不足額は、今や年間4兆ドルに達している。開発途上国は一層の財源と財政的余裕を必要としている。持続可能な開発の促進に必要な資金を動員する上で、国際金融アーキテクチャの刷新が極めて重要。
  2. 平和と安全:強制的に故郷を追われた人々の数は、2024年5月までにおよそ1億2,000万人という、かつてない水準にまで達している。民間人の死傷者は、暴力が拡大する中で2022年から2023年の間に72%急上昇し、平和が緊急に必要であることを浮き彫りにしている。現在も続いている紛争を対話と外交を通じて解決することが不可欠。
  3. 実行の急拡大:食料、エネルギー、社会的保護、デジタル接続性などの重要な移行を推進するためには、大規模な投資と効果的なパートナーシップが必要。

成功事例と行動のための機会

持続可能な開発目標(SDGs)報告2024』は、決定的な行動に基づき、成功およびレジリエンス(強靭性)の事例に光を当てています。

例えば、再生可能エネルギーの展開に関する近年の目覚ましい進歩は、公正なエネルギー移行に向けた明確な道筋を示しています。ほとんどの地域で、女児があらゆるレベルの学校教育を修了する上において男児と肩を並べ、男児を上回ることさえありました。わずか8年の間にインターネットへのアクセスが約70%増えたことも、変革をもたらすために急速に変化することがいかに可能であるかを物語っています。同様にHIV/AIDSに対する数十年にわたる前進は、世界的な連帯と、科学的な躍進のための資金調達を通じて、他のパンデミックに打ち克つための好事例となっています。

李軍華(リ・ジュンファ)国連経済社会問題担当事務次長は、次のように述べています。「人類は、力を合わせて意見をまとめることができれば、困難に思える問題でも解決策を見出だせるのだということを、これまで幾度となく証明してきたのです」

SDGsの重要な節目

9月22日から23日にかけてニューヨークの国連本部で開催される「未来サミット」は、世界をSDGs達成に向けた軌道に戻す上で、極めて重要です。サミットでは、あまりに多くの開発途上国を引き留めている債務危機への対処や、国際金融アーキテクチャを刷新する喫緊の必要性などについて、協議が行われます。

報告書によると、「開発のための資金調達」会合と「世界社会開発サミット2025」は共に、SDGsの機運を高める上で重要な機会となります。しかし、李事務次長が強調するように、「言葉で語る時期は過ぎました。政治宣言を直ちに行動につなげなければなりません。私たちは今すぐ、大胆に行動しなければならないのです」

報告書で主に明らかになったこと:

  • 今世紀で初めて、世界で最も脆弱な国々の半数の一人当たりGDPの成長率が、先進諸国を下回った。
  • 2022年には、世界の60%近くの国々が、中程度または異常なまでの食料品価格の高騰に直面した。
  • 2022年に120カ国で収集されたデータによると、世界の55%の国々には、女性に対する直接的・間接的差別を禁止する差別禁止法がない。
  • 治療へのアクセスが拡大したことで、過去30年で2,080万人のAIDS関連死が回避された。
  • 小学校を卒業するまでに最低限の読解力を身につけられる生徒は、世界中でわずか58%にとどまり、教育における前進が重大な懸念としてあり続けている。
  • 世界の失業率は、2023年に5%という歴史的低水準を記録したものの、ディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)の実現には根強い障壁が残っている。
  • 世界の再生可能エネルギーによる発電量はかつてない速度で増加しつつあり、過去5年間は年率1%で成長している。
  • モバイル・ブロードバンド(3G以上)にアクセス可能な世界人口の割合は、2015年の78%から95%に上昇した。
  • 記録的な海水温の上昇により、4度目となる世界的なサンゴの白化現象が起きている。
  • 開発途上国の対外債務残高が、かつてない高い水準で推移している。低所得国の約60%が、債務危機の高いリスクにあるか、すでにそれを経験している。

詳細については、https://unstats.un.org/sdgs/report/2024/ をご覧ください。

ハッシュタグ:#SDGreport、#SDGs、#GlobalGoals

メディア関係者のお問い合わせ先(取材の申し込みを含む):

UN Department of Global Communications(国連グローバル・コミュニケーション局)
Sharon Birch
birchs@un.org

UN Department of Economic and Social Affairs(国連経済社会問題局)
Helen Rosengren
rosengrenh@un.org

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原文(English)はこちらをご覧ください。