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国連、グローバル・ガバナンスを変革するための画期的な「未来のための協定」を採択(2024年9月22日付・プレスリリース日本語訳)

プレスリリース 24-066-J 2024年10月01日

©UN Photo/Loey Felipe

ニューヨーク、2024922 — 世界の指導者たちは本日、グローバル・デジタル・コンパクトと将来世代に関する宣言が盛り込まれた「未来のための協定」を採択しました。この協定は、国際協力を今日の現実や明日の課題に対応させるための、包摂的な、数年にわたるプロセスの集大成となります。ここ何年もの間の中で最も広範に及ぶこの国際協定は、全く新しい分野や過去何十年も合意を得られなかった諸問題を扱っており、何よりも、国際的な制度が創設時から劇的な変化を遂げた今日と将来の世界において、確実に成果を出せるようにすることを目指しています。国連事務総長が述べているように、「私たちは、祖父母世代のために作られたシステムで、孫世代の未来を築くことはできない」のです。

全体的に、未来のための協定は、国連や国際システム、国際法に対する各国の強いコミットメントの表明です。指導者たちは国際システムについて明確なビジョンを打ち出しました。それは約束に対して結果を出すことができ、今日の世界をより代表し、各国政府、市民社会そして他の主要パートナーの活力と知見を活用するビジョンです。

事務総長は「未来サミット」の開会において、「『未来のための協定』、『グローバル・デジタル・コンパクト』、そして『将来世代に関する宣言』は、新たな機会とこれまで埋もれていた可能性に対して扉を開くものである」と述べました。総会議長は協定について、「すべての人々と国々にとって、持続可能で公正、かつ平和な世界秩序のための基礎を築くものだ」と指摘しました。

未来のための協定は、平和と安全、持続可能な開発、気候変動、デジタル協力、人権、ジェンダー、若者および将来世代、グローバル・ガバナンスの変革など、広範な課題を対象としています。協定の主な成果は、以下のとおりです。

平和と安全の分野について

  • 1960年代以降で最も進歩的かつ具体的な安全保障理事会(安保理)改革へのコミットメントで、アフリカの代表性が歴史的に低いままとなっている問題を優先的に是正するなど、安保理の実効性と代表性を改善する計画を盛り込んでいる。
  • 過去10年余りで初となる核軍縮に向けた多国間のコミットメントの再確認で、核兵器の全面的な廃絶という目標に向けた明確なコミットメントを伴う。
  • 宇宙空間を管理する国際的な枠組みの強化に向けた合意で、宇宙空間における軍拡を防止する明確なコミットメントと、宇宙空間の安全かつ持続可能な探査からすべての国々が恩恵を受けられるようにする必要性を含む。
  • 自律型致死兵器などの新たな技術の兵器化や乱用を回避するための措置と、これらの新たな技術の多くに戦時国際法が適用されるべきであることの確認。

持続可能な開発、気候、開発のための資金調達について

  • 協定全体が、持続可能な開発目標(SDGs)の実施を大きく加速させることを意図している。
  • 国際金融アーキテクチャの改革の必要性に関して国連におけるこれまでで最も詳細な合意であり、開発途上国の代表性を高め、これらの国により資するものになることを目指す。その内容は、以下のとおり。
    • 国際金融機関における意思決定方法について、開発途上国の発言権を高める。
    • 開発途上国が自国の開発ニーズを満たせるよう支援するために、国際開発金融機関からより多くの資金を動員する。
    • 国際通貨基金(IMF)、国連、G20などの主要関係者が協力し、開発途上国が自国の将来に投資するために持続可能な借り入れができるよう、ソブリン債のアーキテクチャを見直す。
    • IMFと加盟国による具体的な行動を通じて、金融・経済ショックの発生時に最も貧しい人々を守るための、世界的な金融セーフティネットを強化する。
    • 各国が気候変動に適応し、再生可能エネルギーに投資できるよう資金援助を拡大することを含め、気候変動の課題に対処するための措置を加速させる。
  • 国内総生産(GDP)を超えて、人類および地球のウェルビーイングと持続可能性を捉えるために、人類の進歩の測定方法を改善する。
  • 富裕層に対する国際的な最低課税水準を導入する方法について検討することへのコミットメント。
  • 気候変動に関して、世界全体の気温上昇を産業革命以前の水準と比べて1.5℃に抑え、2050年までに排出量正味ゼロを実現するため、エネルギー・システムにおいて化石燃料から脱却する必要性を確認。

デジタル協力について

  • 協定の付属文書である「グローバル・デジタル・コンパクト」は、デジタル協力と人工知能(AI)ガバナンスに関する初めての包括的な世界的枠組みである。
  • コンパクトの中核にあるのは、すべての人々の利益のために、テクノロジーを設計、利用、規制するというコミットメントである。これには、世界の指導者たちによる以下のコミットメントが含まれる。
    • すべての人々、学校、病院をインターネットに接続する。
    • デジタル協力を、人権と国際法に根差したものにする。
    • 各国政府、テクノロジー企業、ソーシャルメディアの行動を通じて、すべての人々、特に子どもたちにとって、オンライン空間を安全なものにする。
    • 国際科学パネル並びにAIに関するグローバル政策対話を含めたロードマップにより、AIを統治する。
    • オープンソースのデータ、モデル、標準に関する合意を基に、データをよりオープンでアクセス可能なものにする。
    • このコンパクトはまた、データガバナンスに関する初の国際的なコミットメントである。データガバナンスを国連の議題に載せるとともに、各国に対し、2030年までに具体的な行動をとるよう求めている。

若者および将来世代について

  • 史上初となる将来世代に関する宣言で、将来世代担当国連事務総長特使の任命の可能性も含め、私たちの意思決定において将来世代を考慮するための具体的な措置を伴う。
  • 特にグローバル・レベルにおいて、若者が自分の人生を形作る決定に参加するための、より有意義な機会を提供することへのコミットメント。

人権とジェンダーについて

  • 人権、ジェンダー平等、女性のエンパワーメントに関する取り組みの強化。
  • 人権擁護活動家を保護する必要性に関する明確な呼びかけ。
  • 地方・地域政府、市民社会、民間セクターその他も含め、グローバル・ガバナンスにおいて他のステークホルダーも関与することの重要性に関する強力なシグナル。

こうしたコミットメントが確実に実施されるよう、協定と付属文書には、採択後にとるべき行動についての規定が設けられています。

サミットのプロセス

「未来サミット」のプロセスと「未来のための協定」は、世界中の何百万もの声と何千ものステークホルダーの貢献によって、真に充実したものとなりました。

未来サミットでは、国家元首・政府首脳、オブザーバー、政府間機関、国連システム、市民社会、非政府組織から4,000人を超える参加者が一堂に会しました。多様なアクターの関与を促す広範な取り組みの一環として、正式なサミットに先立ち、9月20日と21日に「アクション・デー」が開催され、社会のあらゆる分野を代表する7,000を超える人々が参加しました。「アクション・デー」では、すべてのステークホルダーによる行動に向けた強力なコミットメントのほか、デジタル包摂を推進するおよそ10億5,000万ドルの誓約がありました。

さらに詳しい情報については、https://www.un.org/en/summit-of-the-futureをご覧ください。

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メディア関係者のお問い合わせ先:

United Nations Department of Global Communications(国連グローバル・コミュニケーション局)Francyne Harrigan
harriganf@un.org

Executive Office of the Secretary-General, United Nations(国連事務総長室)
Stefania Piffanelli
piffanelli@un.org

Executive Office of the Secretary-General, United Nations(国連事務総長室)
Jackquelyn Kay Topacio
jackquelyn.topacio@un.org

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原文(English)はこちらをご覧ください。