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国連招集のパネル、各国政府や産業界に向けて グローバルなエネルギー移行を導くための提言を発表(2024年9月11日付・プレスリリース日本語訳)

プレスリリース 24-077-J 2024年10月24日

提言および指導原則は、排出量正味ゼロへの道のりにおいて、エネルギー移行のための
重要鉱物のバリュー・チェーン全体にわたり公平性と正義を前進させることを目指す

ニューヨーク、2024911再生可能エネルギー技術に不可欠な鉱物の需要が2030年までにほぼ3倍に増加すると予想される中、国連事務総長が招集した多様な専門家で構成されるパネルは、世界的なエネルギー移行の機会が公平性、正義、持続可能性をもって追求されるようにするため、各国政府と産業界、その他のステークホルダーに向けた一連の提言と指導原則を発表しました。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、次のように述べています。「『エネルギー移行のための重要鉱物に関するパネル』が発表した本日の報告書は、クリーンな電力とともに繁栄と平等も生み出す助けとなる具体的な手引書です。これは、極めて重要な時期にあたっての、重要鉱物に関する提言です。報告書は、再生可能エネルギー革命を正義と公平性に根差したものにする方法を明らかにすることで、持続可能な開発に拍車をかけ、人々を尊重し、環境を保護し、資源が豊富な開発途上国の繁栄を促進するものです。今後の対応として、私は共同議長とパネルに対して、今年開催される国連気候変動枠組条約第29回締約国会議(COP29)に先立ち、加盟国やその他のステークホルダーにこの報告書とその提言を共有し、協議するよう要請しました」

パネルの報告書『エネルギー移行に資源を投入する:エネルギー移行のための重要鉱物を公平性と正義へ導くための原則(Resourcing the energy transition: principles to guide critical energy transition minerals towards equity and justice)』は、持続可能な開発に拍車をかけ、人々を尊重し、環境を保護し、資源が豊富な開発途上国の繁栄に力を与えるために、再生可能エネルギー革命を正義と公平性に根差したものにする方法を明らかにしています。この報告書は、鉱物が採掘される場所だけでなく、精錬や製造から、輸送や使用後のリサイクルに至る鉱物バリュー・チェーン全体にわたって、公平性、透明性、投資、持続可能性、人権に関する提言を行っています。

「エネルギー移行のための重要鉱物に関するパネル」の共同議長を務めるムチャカト=ディセコ大使は、次のように述べています。「各国が複合的な危機に効果的に対処するために、今こそ協力が欠かせません。これらの危機の中心に気候変動があることから、私たちは共に沈むのか、あるいは共に立ち上がるのかの二択しかないことを明確に理解した上で、これまで各国を結びつけてきた共通の価値観に基づいて、力を合わせることが急務です。そしてそこでは、人権、正義、公平性、そして利益の共有によって、私たちを世界共有の繁栄に導くようにしなければなりません。開発は世界経済の成長において不可欠です。エネルギー移行のための重要鉱物について提案された7つの指導原則の中心にあるのは、このような協力、正義と公平性、そして何よりも、人権尊重を核とした開発の必要性です」

「エネルギー移行のための重要鉱物に関するパネル」の共同議長を務めるディッテ・ユール・ヨルゲンセン欧州委員会エネルギー総局長は、このように語っています。「こうした変革の課題に取り組む国連事務総長のリーダーシップに敬意を表します。これこそ、まさにマルチラテラリズム(多国間主義)です。昨年のCOP28では、すべての国が世界の再生可能エネルギー容量を3倍に、エネルギー効率を2倍にすることに合意しました。重要鉱物の需要は急増することでしょう。今こそ私たちは、気候危機に取り組みながら、経済を成長させ、社会を守り、環境を保全し、利益をより公平にわかち合うチャンスをつかまなければなりません。私たちに過去の過ちを繰り返す余裕はありません。私は、今こそこれらの原則と提言を現場で現実のものにできるよう願っています。そうすることでのみ、私たちはエネルギー移行の可能性を引き出し、すべての人々のために新しい共有の利益を創出することができるのです」

これらの原則は、各国政府がすでにコミットしている既存の国際規範や法的義務を足がかりに、再生可能エネルギーへの移行に内在する機会から誰もが利益を得るための、一連の具体的かつ実行可能な提言を伴っています。

パネルの提言は多岐にわたります。鉱物バリュー・チェーンにおける経済問題についてマルチステークホルダーによる政策対話や調整を促進するハイレベル専門家諮問グループを国連の中に設置することから、世界的なトレーサビリティ、透明性、説明責任の枠組みをつくること、放置されたり、所有者がいなくなったり、放棄された鉱山から生じる問題に対処する基金を創設すること、人力・小規模採掘業者が開発、環境に対する責任、人権を促進する変革の主体となるためにエンパワーメントすること、そして材料の効率性と循環性を強化することにまで及びます。

気候変動による最悪の影響を回避すべく地球温暖化を1.5℃に抑えることは、銅やリチウム、ニッケル、コバルト、レアアースといったエネルギー移行のための重要鉱物を、十分に、信頼性高く、手ごろな価格で供給することにかかっています。これらの鉱物は、風力タービンやソーラーパネル、電気自動車やバッテリー貯蔵まで、クリーンエネルギー技術に不可欠な要素です。

COP28で各国政府は、2030年までに再生可能エネルギー容量を3倍に、エネルギー効率を2倍にすることに合意しました。目標を達成するには、エネルギー移行のための重要鉱物の供給量を大幅に増やすしか道はありません。国際エネルギー機関(IEA)によれば、2050年までに世界全体で二酸化炭素の排出量正味ゼロを達成する途上において、クリーンエネルギー用の鉱物の需要は、2030年までに3倍近くまで増加すると見込まれています。

エネルギー移行のための重要鉱物の埋蔵量が豊富な開発途上国には、自国の経済を変革・多様化し、グリーン・ジョブを創出し、持続可能な地域開発を促進する機会があります。しかし鉱物資源の開発は、常にこうした見通しに見合うものではありませんでした。適切な管理が行われなければ、これらの鉱物に対する需要増は、鉱物への依存を永続化させ、地政学的な緊張を悪化させるリスクがあり、また、生計や環境、健康、人間の安全保障、人権に対するものも含め、持続可能な開発に悪影響を及ぼす環境的・社会的課題を引き起こします。

責任ある、公平で公正なバリュー・チェーンを確保するための世界的に合意された指針を求める開発途上国の要請に応えるべく、2024年4月26日に国連事務総長によって設立されたこのパネルは、信頼を構築し、公正な移行を導き、再生可能エネルギーへの競争を加速させることを目的として、各国政府、政府間機関、国際機関、産業界、市民社会を招集しました。パネルの会合は、産業界や市民社会を含めた広範なステークホルダーとの協議や対話のプログラムによって補完されました。

これらの提言は、エネルギー移行とパリ協定の目標達成において極めて重要な複雑かつ困難な一連の問題における、さまざまな利害の誠実な仲介者・招集者としての事務総長および国連の中心的役割を認識しています。

今後の対応として、事務総長は、共同議長とパネルに対して、今年開催されるCOP29に先立ち、加盟国やその他のステークホルダーとともにこの報告書とその提言を社会に適合させるよう要請しました。

報告書、パネルのメンバーリスト、その他の詳細については、こちらをご覧ください。
www.un.org/en/climatechange/critical-minerals

メディア関係者のお問い合わせ先:
Department of Global Communications(国連グローバル・コミュニケーション局)
Martina Donlon
donlon@un.org

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原文(English)はこちらをご覧ください。

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