経済社会理事会 開発資金フォーラムにおけるアミーナ・J・モハメッド国連副事務総長挨拶(ニューヨーク、2018年4月23日)
プレスリリース 18-025-J 2018年05月01日
経済社会理事会議長のマリー・チャタルドバ大使、
来賓の方々、
皆様、
私は皆様とともに、このように多様なステークホルダーの方々にお会いでき、嬉しく思います。
皆様は、2030アジェンダの達成に必要な資金の動員を先頭に立って進めていらっしゃいます。
グローバル経済は上向いています。
すそ野の広い景気回復が、多くの分野での前進を支えています。
しかし、世界経済の大きな弱点と中期的リスクは、依然として私たちの取り組みに挑戦を投げかけています。
その結果、数億人の開発見通しが、今でも危険にさらされています。
私たちが順調に取り組みを進めるためには、包括的かつ組織的な対応が必要です。
私は5つの分野に注目しています。
第1に、国内での資金の動員が基本です。
各国によるリーダーシップ、主体性、そして実施は、2030アジェンダの核心となっています。
各国の持続可能な開発戦略と資金調達枠組みを統合すれば、国内での資金調達を支援する長期的なビジョンとプラットフォームを作ることができます。
この点は特に、開発途上国で緊急に必要とされているインフラ投資との関連で重要となります。
また、国際社会も脱税やマネー・ローンダリング、国内の資金基盤を損なう不正な資金の流れとの闘いを支援する必要があります。
第2に、持続可能な開発目標(SDGs)の達成を支援するためには、開発協力が欠かせません。
政府開発援助(ODA)に関する公約を守ることを優先課題とせねばなりません。
ODAは実質額でこそ増大しているものの、最も資金を必要とする国々に対する資金供与は伸び悩んでいます。
第3に、私たちには、長期的な投資を支援するグローバルな環境の整備も必要です。
短期的視点は恒常的に、貧困根絶の取り組みに対する脅威となっています。
最近の関係機関タスクフォース報告書からも分かるとおり、ほとんどの企業幹部は、四半期ごとの利益目標を達成するためには、プラスの収益が期待できるプロジェクトでも、投資を控えると述べています。
この考え方を変える必要があります。
第4に、国際社会は危機や災害の影響を受けた国をはじめ、緊急なニーズを有する国々に対して、迅速に資金と金融アクセスを提供する方法を見出さねばなりません。
2017年の大西洋のハリケーン・シーズンには、カリブ海全域で壊滅的な被害が生じ、被災国は開発への道を逆戻りしました。
これら災害は、気候変動適応資金の供与を含め、こうした課題に直面する国を支援するために、幅広い措置が必要であることを如実に表しています。
この分野では、必要に応じて支援が可能な保険的メカニズムや、危機の際に返済額を減らす貸付など、いくつか革新的な解決策も考案されています。
しかし、これらはまだ実施の段階にも、規模を拡大できる段階にも達していません。
SDGsの達成に欠かせない部門への、より効果的に照準を絞った資金の提供も必要です。
例えば、きれいな水と衛生施設への普遍的アクセスを達成するためには、支出額を年間1,140億ドル程度へと、3倍に増やさなければなりません。
これは、投資の規模を一気に拡大することを意味します。
同様に、安価でクリーンなエネルギーについても、再生可能エネルギーの価格が低下する中で、長足の進歩が見られていますが、ここでも、投資額を現状よりも大幅に引き上げねばなりません。
そして第5に、現状の資金難を克服するためには、各国政府と民間セクターのパートナーがより実効的に活動せねばなりません。
私たちは、SDGs達成に向けた民間投資に対する関心と、その潜在性に対する関心の高まりをいかに活用すべきかについて、革新的に考える必要があります。
皆様、
国連システムは、2030アジェンダの資金調達と実現に向けた加盟国の取り組みを支援することを約束しています。
事務総長は9月、金融に関するハイレベル会合を開きます。
国連は、各国によるパートナーシップの仲介、革新的な金融の追求、持続可能な開発に向けた資金の活用、そして必要な能力の構築を支援していきます。
私たちは、現場で一致団結した成果を上げることを特に重視しながら、一貫性と実効性の改善に努めています。
これは、国連開発システムの立ち位置を変えるという事務総長の提案と一致するだけでなく、その全般的な改革のビジョンにも関連づけられる活動です。
これからの4日間、私は皆様に対し、関係機関タスクフォースの作業を検討し、経験とアイディアを共有するとともに、私たちの前進を維持するパートナーシップを模索、形成することをお願いしたいと思います。
すべての人にとってのよりよい未来に投資するため、皆様の変わらぬ決意とリーダーシップを期待しています。
ありがとうございました。
* *** *
原文(English)はこちらをご覧ください。