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朝日地球会議2024に寄せるメリッサ・フレミング国連事務次長ビデオ・メッセージ(2024年10月25日)

プレスリリース 24-078-J 2024年10月26日

友人の皆様、

きょう、ニューヨーク国連本部から皆様とご一緒できることを光栄に思います。

私たち国連には、ビジョンがあります。

地球上の一人ひとりが健全な地球で平和と尊厳、平等のうちに暮らすというものです。

世界は、このビジョンを実現するためのロードマップ、すなわち持続可能な開発目標(SDGs)に合意しました。

しかし、2030年までの中間点を過ぎ、SDGsは深刻な問題を抱えています。

ターゲットのうち、軌道に乗っているのはわずか17%に過ぎません。

3分の1以上は進展が止まっており、後退しているものさえあります。

つまり、国際社会は失敗しているのです。平和を確保し、不平等に取り組み、気候変動に立ち向かうことに。

私は、グローバル・コミュニケーション担当 国連事務次長のメリッサ・フレミングです。

私の仕事は、世界の現状を伝え、世界をより良くするよう訴えることです。

より平和で、持続可能かつ人間的な社会、そしてより健全な地球を推進することです。

しかし、この仕事は、年々難しくなっていると言わざるを得ません。今日の「ポスト真実」の時代において、そうしたメッセージを聞いてもらうことはますます複雑になっています。

世界規模の調査によると、今や世界中の多くの人々がソーシャルメディアから情報を得ています。

しかし、そうしたオンラインプラットフォーム自体が、純然たる事実や建設的な解決策を促すように作られてはいません。

大半は、センセーショナルなコンテンツを増幅させるように設計されたアルゴリズムによって動いています。

国連からのもの含め、信頼できる情報を積極的に格下げするプラットフォームさえあります。

その結果とは?憎悪、陰謀、疑似科学が渦巻く、よどんだオンライン空間です。

近年の生成AIの飛躍的な進歩は、新たな警鐘を鳴らしています。

本物のように見せかけたフェイクニュースサイトが増加しています。

非常に説得力があり、極めてパーソナライズされたディープフェイクも拡散しており、経験豊かなジャーナリストやファクトチェッカーたちでさえ、瞬時にそれを見抜くのに苦労するほどです。

多くの人々が信じるべきものが分からなくなっているのも、不思議ではありません。

このような情報環境が、制度、民主主義、気候科学、ワクチンに対する信頼性をますます損なっています。

より良い世界に向けた青写真に対する信頼も。

これらすべてが、世界をより良い場所にするための国連の取り組みに影響します。

グリーンエネルギーへの移行の信用を落とすことを目的とした、気候変動に関する偽情報の拡散との闘いにおいても。

あるいは、女性たちを公共空間から締め出そうとするジェンダーに基づく憎悪への対抗においても。

個人もまた、苦しんでいます。

今、私が話している間にも、若者たちがいじめを受けて絶望の淵や、自殺にすら追い込まれています。

気候変動の活動家たちが攻撃を受けています。

がん患者たちが偽りの治療法を約束されています。

そして親たちは、ワクチンが子どもたちに害を与えると教えられています。

友人の皆様、

このような状況にある必要はなく、希望の兆しもあるのです。

世界中の人々が、科学や事実に対する信頼を回復し、情報エコシステムをより健全な状態に戻す必要性に気づきつつあります。

昨年、私はこのフォーラムで、私と私のチームが新たに強力なアドボカシー・ツールを策定していることをお伝えしました。

それは、誤情報や偽情報、ヘイトスピーチの蔓延に対処するための、人権に強く根差した一連の提言です。

そうした提言を公開できたことを誇りに思います。

すべてのステークホルダーを対象とした「情報の誠実性のための国連グローバル原則」は、より人間的な情報空間のビジョンを提示しています。

もはや有害コンテンツが推進されず、偽情報が収益化されない空間。

最も信頼でき、最も正確な情報が、最も入手しやすい空間。

私たちの願いは、このグローバル原則が変革のための光明となることです。

そしてこの原則が、デジタル格差を埋め、信頼を回復し、新興テクノロジーのリスクを軽減しながらその利益を享受する、国連と加盟国による幅広い取り組みを補完することです。

先月、世界の指導者たちは、「未来サミット」でここニューヨークに集いました。

指導者たちは、デジタル協力と人工知能(AI)ガバナンスに関する初めての世界的枠組みである「グローバル・デジタル・コンパクト」を採択し、私たちの共通のデジタル未来に向けて歴史的な飛躍を遂げたのです。

このコンパクトを通じて、指導者たちは、オンライン環境をすべての人にとって安全なものにし、デジタル空間において情報の誠実性、寛容さ、尊重を促進することを誓いました。

友人の皆様、

私たちは、手を緩めるわけにはいきません。より良い未来を築くことは、私たち全員にかかっています。

国連の「Act Now」キャンペーンを通して、SDGsの達成に皆様がどのように貢献できるのかヒントを見つけてください。

皆様が私たちの取り組みに加わり、それを広める手助けをしてくださることを願っています。

これから数日間の議論でも、より良い世界のための建設的な解決策に焦点を当て続けてください。

そして、私たちが約束を果たすのに役立つアイデアを称えてください。

今こそ、貧困に終止符を打ち、地球を守り、誰一人取り残さないようにすると同時に、事実の価値を高め、人々を変革へと鼓舞する時なのです。

ありがとうございました。

* *** *

*本メッセージは、メリッサ・フレミング事務次長が「朝日地球会議2024」
( https://www.asahi.com/eco/awf/ )に寄せました。