国連に対する日本外務省作成デジタル・ファイルの寄贈式典に寄せて
北岡伸一大使による挨拶文
プレスリリース 064-J 2005年07月22日
(2005年7月13日)
このたび、日本外務省作成による国連文書デジタル・ファイルが、「国連公文書システム(ODS)」の更なる充実のため、国際連合に寄贈されることとなり、本日、記念式典が開催される運びとなりましたことを大変嬉しく思います。何よりも、この式典の準備にご尽力頂きましたダグ・ハマーショルド図書館職員の皆様に対し、深く感謝申し上げます。
最初に、このたびの電子文書寄贈に至るまでの経緯につきまして、手短にご説明を差し上げたいと存じます。私ども外務省の国連行政課は、その下に国連資料室を設置し、専従の担当職員1人が国連文書の収集にあたっておりますが、実は今回、国連に寄贈することとなりました電子文書はこの資料室の長年にわたる献身的な作業の賜物でございます。これまで、この資料室を担当してきた職員たちは皆、外務省内における利用を目的として、国連文書の電子化作業を継続してきましたが、実際のところ、最近まで、これらファイルは誰にも利用されることのないまま、国連資料室のコンピュータに保存されておりました。
そんな中、今年2月、国連広報センターの野村彰男所長が、この隠れた宝の存在をお知りになり、外務省に対して、この宝をODSの遡及的拡大のため国連に寄贈するよう、ご提案になったのです。このたび、この寄贈が実現いたしましたことにつきまして、野村所長がおそらく、最もお喜びになっていらっしゃるのではないかと存じております。もちろん、私どもといたしましても、国連資料室の長年にわたる、根気強い作業が国連において、今ようやく、日の目を見ることができたことに、大きな喜びを感じておる次第でございます。
これらの文書デジタル・ファイルは、1970年代、80年代からの国連総会、安全保障理事会、経済社会理事会という国連の三主要機関の3万件以上に及ぶ書類を38枚のCDに収めたものです。
私どもは、国連広報局(DPI)が、シャシ・タルーア事務次長のリーダーシップの下、事務局の改革において、主導的役割を担っていらっしゃることをよく承知しております。国連では、これまでに様々な進展が図られてきましたが、そのなかでも、国連ウェブサイトについては、そのめざましい充実ぶりに異議を唱える人はほとんどいないであろうと思います。とくに昨年12月以降、ODSへのアクセスが無料公開となり、2004年の一年間に23億を超えるヒット件数を記録した国連ウェブサイトとの統合が図られたことを嬉しく思っております。
世界中の人々の国連に対する理解を育むうえで、DPIによる情報提供活動が成功を収めていることを喜ばしく思っております。今回の電子文書の寄贈が示唆致しますとおり、日本政府としては、今後も引き続き、国連事務局および加盟国と協力し、国連広報活動の強化、改善に努めてまいる所存でおります。