アナン国連事務総長、オリンピック会期中の停戦を呼びかけ
~国連本部に聖火リレーを迎えて~
プレスリリース 04/053-J 2004年07月01日
コフィー・アナン国連事務総長は6月19日、ニューヨーク国連本部において五輪聖火リレーを迎え、次のように述べました。
史上初めて国連本部に五輪聖火を迎えることができ、心より光栄に思うとともに深い感動を覚えます。
国家間の友好を象徴するこの灯火こそ、まさに国連を明るく照らすものです。
12週間前に古代都市オリンピアを出発し、アジア、中東、アフリカ、ラテンアメリカをめぐり、実に長い道のりをたどってきた聖火です。世界中の人々が聖火の放つメッセージに感銘を受けたことでしょう。
若い世代の方々、特に紛争による被害を受けたお二人が、ここまで聖火を運び、受け渡しを行なったことは意義深いことです。
皆さん、ここ数年は、家族であるべき世界の国々にとって困難に満ちた歳月でした。
だからこそ、最も根本的かつ普遍的な理想を息づかせるために、私たちが力を合わせることがますます求められているのです。その理想とは、寛容と理解、平等と公正であり、そして何にも増して平和です。これらはみな、オリンピック運動と国連が共有する理想です。
その方法のひとつに「五輪停戦」の順守があります。五輪会期中は武器を置くよう世界中に呼びかけることです。
五輪停戦の意義は独特です。古代ギリシアの伝統が国連総会の決議で蘇り、全ての加盟国に対して、聖火という崇高な炎のもとに世界のあらゆる地域から選手たちが集う間は、争いをやめるよう呼びかけたのです。
「五輪停戦」は単なる象徴以上のものとしてとらえるべきです。停戦の期間と規模は限られたものですが、心を合わせる瞬間をつくり、対話への道を開き、戦禍に苦しむ人々に安堵の時を与えることができます。ひいては、希望をもたらすことになるのです。
今夜あらためて、あらゆる紛争の当事者に対して、「五輪停戦」を順守することを呼びかけます。そして、この機会に平和と対話と和解を進めることを提案します。
2004年アテネ五輪開催中に、静穏な聖火によって戦いの砲声が消え去りますように。そして、より良い平和な世界の到来を願う私たちの想いが、五輪聖火と共に世界中を廻り、全ての人の心に届きますように。