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世界難民の日(6月20日)に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ

プレスリリース 04/051-J 2004年06月20日

~庇護国の重要な役割を指摘、再定住努力への継続的支援を呼びかけ~

 

国世界中で数百万人を数える難民と避難民にとって、「故郷」とは、命の危険を感じ、安全を求めて必死で逃げ出した場所を意味します。また、故郷とは、家族、友人、財産、そして馴染みの深いものすべてを失うという冷酷な絶望状態と苦闘を続ける多くの人々にとって、二度と戻ることのできない場所にもなっています。紛争と迫害から逃げ惑う中で、難民キャンプのテント村の中で、そして先がまったく見えないという耐え難い状況の中で、故郷に戻り、尊厳と安全の中で暮らすことは、難民たちの切実な夢となっているのです。今年の「世界難民の日」が「故郷と呼べる場所」をテーマとしている理由はここにあります。

これまで50年以上にわたり、国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)は、紛争の混乱の中で故郷を追われた5,000万人以上の人々が故郷を見つけ、新生活をスタートさせることに力を貸してきました。しかし、今日もUNHCRの保護を受けている1,700万の人々うち、圧倒的大多数が自分たちの故郷に戻ることを切に望んでいます。昨年だけでも、110万人の難民が故郷に戻りました。2002年以来、300万人を越えるアフガニスタンの難民と避難民が帰還しているという事実は、たとえ荒れ果てていたとしても、我が家へ戻りたいという強い願望を如実に示しています。アンゴラやボスニア・ヘルツェゴビナ、ブルンジ、コートジボワール、イラク、リベリア、ルワンダ、シエラレオネ、さらにはソマリアからの難民の中にも、帰還を決心している人々が多くいます。また、アフリカの難民と避難民200万人が、さらに故郷へ帰れるだろうという明るい見通しも立っています。

しかし、決して故郷へ戻れない難民もいます。こうした人々にとって残された道は、最初の庇護国に溶け込むか、それが無理であれば、新たな生活をスタートできる第三国に再定住するかのどちらかしかありません。その過程でも、必要な時期に難民に避難所を提供している庇護国の寛大な心を、私たちは忘れてはなりません。世界で数百万人に上る難民や避難民に故郷と呼べる場所を提供するために、国際社会に必要なのは、まさにこの寛大な精神と持続的な支援なのです。今年の世界難民の日を迎えるにあたり、この任務を全うする決意を新たにしようではありませんか。