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世界環境デー(6月5日)に寄せる
コフィー・アナン国連事務総長メッセージ

プレスリリース 04/041-J 2004年05月24日

海洋環境は今、大きな挑戦に直面しており、迅速かつ効果的に対処しない限り、持続可能な開発に深刻な影響を及ぼすと思われます。2004年の世界環境デーのテーマ “Wanted! Seas and Oceans: Dead or Alive? (私たちの選択 - 海は死ぬのか、生きるのか?)”は、海を便利なゴミ捨て場にしたり、限りない資源の宝庫と考えたりすることは、もうできないと強調しています。

事実は明白です。世界の海と大洋は、未処理の廃水、大気汚染、工場廃液、管理の悪い水域からの沈泥などにより、ますます汚染されています。世界各地の沿岸水域では、肥料の窒素が過剰に流れ込んで酸素不足に陥った「デッド・ゾーン」が増えています。海に捨てられたゴミが、毎年、100万羽もの海鳥や10万頭もの海洋哺乳類、海ガメなどの命を奪っています。現在、全人口の40%以上が海岸から60キロメートル以内の地域に住み、しかもその割合は増える一方であることから、今後もこのような問題が減ることはないでしょう。また、商業漁業の範囲と規模が拡大しているにもかかわらず、全世界の漁獲量は減っています。世界の漁業資源の4分の3近くは、繁殖を上回るスピードで水揚げされているのです。

国レベル、地域レベル、および国際レベルにおいて、陸と海で緊急に計画行動を取る必要があります。陸上活動からの海洋環境保護に関する世界行動計画、国連海洋法条約、国連食糧農業機関(FAO)の漁業に関する行動計画など、いくつかの仕組みがすでにあります。それでもなお、世界の水産資源が減り続け、海洋環境が悪化の一途をたどっているのは、このような仕組みが、拘束力のあるもの、ないものを含め、十分に実施・執行されていないことを示しています。

2年ほど前の持続可能な開発に関する世界サミットの場で、各国政府は、持続不能な漁業行為をなくし、枯渇した漁業資源を再生し、海洋環境の世界的評価を定期的に行い、代表的な保護海域ネットワークを作るため、時限目標を定めることに合意しました。2012年までに達成することになっているネットワーク作りの目標は特に重要です。全世界の陸上生息環境の11.5パーセントが保護されているのに比べ、海洋の生息環境はわずか0.5パーセント以下しか保護されていません。しかし、温・冷水域の珊瑚礁、海草藻場やマングローブなどの重要な海洋環境を保護することで、魚の大きさと量が飛躍的に増大することが研究からわかっており、大規模商業漁業にも地元の漁業にも利益があるのは明らかです。

私は、この世界環境デーにあたり、すべての政府、民間企業、および個人に対し、地球上のあらゆる生命の起源である海と大洋に対して、新たな敬意を示してくれるよう望みます。世界中で最も豊かな自然資源を将来にわたって利用できるよう、これを保護し持続可能な管理を行うため、全力を尽くそうではありませんか。